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器用貧乏のプロ野球サバイバル記  作者: あるでぃす
『3カード目 vs横浜シャインズ』編

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30/33

#27『7戦目④ 〜死球を恐れず〜』





「──おい人見ィ!! やってくれたなァ!!」


「ホームラン2本で5打点とかどうしちゃったんだ!?」


「ここまで来たら、3本目も打っちゃってくださいよ!!」



そうして、グラウンドから帰ってきた人見は初回と同じく、ベンチで掛け声とハイタッチによる手荒い歓迎を受けていた。


しかし、それはこのベンチ内。そして球場全体ともに。先ほどの『それ』を上回る盛り上がりっぷりなのであった。




「──ナイスバッティング。……まったく。さっきといい、今日はお前に助けられっぱなしだな、蒼矢」


そして、そんな盛り上がりの中心である彼の肩に手をかけ、そう声をかけたのは廣中悠佑。

人見はそれを見て、少し嬉しそうにニヤけて。



「まま、いいってことよ。だからこの後のピッチングは頼むぜ。これですぐにあっさり追いつかれたりしてヒーロー逃したらたまったもんじゃないからな」


「そうだな、今日のとこは仕方ねぇからヒーローは譲ってやる。だから安心しとけ」


と、そんな軽口をベンチに座った2人は言い合うのだった。





「──にしても珍しいな。蒼矢がああいう場面であんな感じで強引に打ちに行くなんてよ。俺はてっきり四球で満塁になるかと思ってたんだが」


暫しの間の後、廣中がそう呟いた。

あの場面。お前なら相手が勝負を避け気味だったことは分かっていただろ? とでも言うように。


ただ、人見はそんな彼の言葉に対して苦笑して。



「うーん、まぁ確かにいつもだったらそうしてたと思うんだが。なんつーか、さっきは『いける』……っていう確信めいたものを感じたんだよ。そしたら、気がついたら手が出てた」


「……なるほど。確信めいたもの、か」


「いや、なんてそれっぽいこと言ってるけど、もし追い風がなかったら普通にアウトだったかもしれないんだが」


廣中が興味深げに呟く中、人見は自嘲気味に目を瞬いた。




……だが、廣中はそんな彼の言葉を聞いて思ったのだった。



やはり相性というのは理論化できるようなモノではなく、運命や因縁に近しいモノなのかもしれないな────と。







「──それに、あの服部さんを相手にして、よく逆方向のスタンドまで持っていきましたよね。流石は蒼矢兄さんです」


「ははっ、そんなに褒めても愉快で楽しそうな笑い声しか出ないぞカズキ。……まぁ、つってもアウトコースのボールにだいぶ踏み込んで打ちに行った訳だからな。感覚的にはもうセンター返しくらいの感じなんだよな」



と、廣中の反対側から会話に入ってきた諸星一輝に対して、人見がそう少しおちゃらけて答える。


すると、そんな彼の言葉に廣中も反応して。



「……あぁ。蒼矢、やっぱあんときかなり踏み込んでたよな。インコースは頭になかったのか?」


「……それはまぁ、あの場面は絶対にアウトコースで続けて来るだろうと決めきってたし。まぁ、もしインコースに来ちまったらどんまいって感じだよな」


「いやいや、そんな簡単に割り切れます? というか、それでもし体付近に来てたらどうするつもりだったんですか」



平然とそう答える人見に、一輝がそう問いかける。

すると、彼はニヤリとして。




「ま、そんときは()()できるんだから儲けもんだろ?」




「……それは……そうかもしれないですけど……」


「…………まぁ、蒼矢らしいと言えばらしい……のか?」



そうして、深いため息を吐く廣中と一輝なのだった。









「──そういえば、蒼矢兄さん。『出塁』といえば、今季なんだかデッドボールが多くないですか?」


そして、少しの間が空いてから。

諸星一輝は、人見にそんな疑問を投げかけた。



「……デッドボール?」


「はい。今季が開幕してからこの7試合。別に数えた訳じゃないんですが、よく当たっているイメージがあるんです。気のせいではないと思うんですが……自覚はあったりします?」



「──あぁ。いや、それについては………」


と、人見が()()()を口にしかけていたそのとき。





「──諸星一輝。キミのその感覚は正しいよ」



そんな指摘の声が、後ろからはっきりと聞こえてきた。

3人が反応して振り向くと、そこにいたのは。




「…………なんだ助川か、びっくりした」


そう安心したように声を漏らして、人見が息を吐いた。



──助川(すけかわ)(つばさ)


後列のベンチに座ってメモ帳に目を向けている彼は、下町ブレイブハーツ生え抜きのキャッチャーである。


社会人卒だがプロ3年目のため、年齢は人見や廣中の1つ下。

ドラフト下位出身でありながら、ルーキーイヤーの昨季からブレイブハーツの控え捕手として、地味ながらもチームにとっては大切な役割を担う活躍を見せている。


そして、そんな彼の得意なことは。

()()()()()()()()()、『データ』の収集・分析である。




「……助川さん、やっぱりそうですよね?」


そんな彼が、自分の考えのことを()()()()()のだ。

一輝が彼に、再度確認するようにしてそう問いかける。



すると、助川はトレードマークの眼鏡に手をかけて。






「──そう、そこに間違いはない。……何故なら、人見蒼矢さんは今季。()()()()()()()()()のだから」




そう、端的に言ってのけたのだった。










【助川翼 選手名鑑】


《2年目》

昨季ブレイブハーツに7位で指名された社会人卒捕手。

2年目の今季はチームの控え捕手としてほぼ1年間一軍に帯同した。ただし、守備能力は変わらず安定感を見せたものの、1年目に見せた意外性のある打撃は鳴りを潜めた。

来季は打撃方面でもさらなるステップアップを果たし、チームの正捕手筆頭候補の真壁を脅かす存在になることができるか。


[野手成績]

.189(*74-*14) *2本 *7打点 0盗塁 OPS.588

49試合 二塁打3 三塁打0 四球8 死球1 犠飛0

出塁率.277(83-23) 長打率.311(74-23)

IsoD.088 IsoP.122 4犠打 (84打席)


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