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唐の詩人と三人の弟子

作者: たなか

 唐の時代に李杜王という大変有名な詩人がおりました。あるとき彼は三人の弟子を集めて一首の詩を披露しました。それは平仄も押韻も無視した出鱈目な五言絶句で、思わず目を覆いたくなるような作品でした。李杜王は弟子たちにこう告げました。


「この詩を百回推敲しなさい」


 一人目の弟子は言いつけ通りに百回の推敲を丁寧に行い、見違えるほど素晴らしい詩を完成させました。


 二人目の弟子は言いつけを無視して推敲を重ねた自作の詩を捧げました。


 三人目の弟子は何度も研磨を繰り返してつるつるぴかぴかになった泥団子を提出しました。


 李杜王は満足げな笑みを浮かべて頷きました。


「言いつけを守り根気よく百回の推敲をやり遂げ詩を完成させたのは見事だ。課題の真意を読み取り、自らの詩を完成させたのも上出来だ。漢詩という既成概念に囚われずに求められているものを泥団子で表現したのも素晴らしい。これからも怠ることなく絶えず研鑽を重ねなさい」


 三人の弟子たちは、その後も互いに切磋琢磨しながら厳しい修行を続け、後世に名を残す立派な泥団子職人になりましたとさ。めでたし、めでたし。

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― 新着の感想 ―
[一言] 泥団子の道の方を極めるんかい!
[一言] 乾燥させた泥団子にね、さらに泥を塗りたくっていくんですよ。 それをまた乾燥させて泥を塗って、乾燥させて泥を塗って。 次はね、その泥団子をね、磨くんですよ。 丸くてツルツルになるまでね。 どう…
[良い点] ファーーーー!?!?!?(ええ話やなぁ…思うてたら、オチに腰を抜かしました)
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