影踊り
かげおどり
クローゼットの奥には、不思議な世界が広がってて。
引き出しはタイムマシンで。
駅のホームの壁を撫でながら、空に車を探してる。
時計を持ったウサギ。山の中のトンネル。喋る猫の群れ。路地裏のバケモノ。
そんなのあるはずないのにね。
思わず知らず零るる涙雨に踵回らせば、今や空虚な部屋が教えてくる。
魔法はかけるより解く方が難しいの。
だって、お伽のような恋だった……
魔法のドレスはお揃いのパーカー。
魔法の馬車は新古車の軽。
魔法の靴は二人並んだ、コラボのスニーカー。
駆け抜けた日々を音楽に見立てて、貴方の影と踊っている。
ルルル ルルル ルルルルル
ルルル ルルルルル ルルルルル
ルルル ルル ルル ル ルルル
ルルル ルル ル ルルル ルル ルル ル ル
今夜もきっと鐘は鳴らない。
王子様に出会いながら、めでたしめでたしは未だ遠くのプリンセス。
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