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第三十七話

 ネェガさんの道具屋で新しい防具を手に入れた次の日、久しぶりのダンジョンの前に俺の家のリビングでステータスを確認することになった。


「昨日楓のステータスは見せてもらったから、今度は俺の番だな」


 俺はステータスを出す。




【名前】南條 解

[レベル]16

[職業]鎖使い

[スキル]チェイン

【天啓】キーメイカー☆1、鑑定(初級)☆2、幸運☆1

【天啓力】505

[MP]46

[筋力]75

[敏捷]63

[魔力]42

[運]75


 “明けゆく森”のダンジョンの後、俺の〈天啓〉のキーメイカーはなんと☆1になった。

 ルキに聞くと「合成を使った事でランクがあがったんじゃろ?」との事。

 〈天啓〉も成長する事を知り、俺はこれからの変化がとても楽しみになった。


「後はルキなんだけど……」


 俺が聞くと、ルキにもステータスはあるらしく、見せても別に構わんぞと言ったので見せてもらう事にした。




【名前】■■■◾■

[レベル]1

[職業]■■■■(元)

[スキル]闇魔法(初級)、光魔法(初級)、収納魔法(初級)

【称号】■■■

[MP]95

[筋力]52

[敏捷]50

[魔力]120

[運]1



 なぁに、これぇ……?

 本当になんだこのステータスとスキルは、レベル1のステータスじゃないぞこれは。

 【称号】ってのも意味わからん。


「うわぉ……」


 楓は目を丸くしてルキのステータスを確認している。


「色々と突っ込みどころがあるが、まず【称号】って何だ?」


「称号は神に認められた者に与えられるものじゃ、まあそれが良いものか悪いものかは与えられた人物の行いによるがの」


「へぇー! そしたらルキちゃんって神様にも認められたってことなんだね!」


「まあ……そうじゃの……」


 何故かルキは一瞬寂しそうな顔をする。

 俺は気になりながらも次の質問をする。


「ステータスとスキルは置いておくとして……ルキには〈天啓〉は無いのか?」


「〈天啓〉はこの世界の人に与えられる希望じゃ、儂はこの世界の住人ではないからの」


 今となってはルキの発言を疑うことはないが、本当にこの世界の人間じゃないんだな。

 てかなんかめちゃくちゃ重要な情報がさっきからポンポン出てくるぞ……。


「だから儂に〈天啓〉のオーブは使えん。昨日楓に使った風神のオーブは中々に強力じゃ、使えるなら魔力の多い儂が使うべきだとは思うがそれは出来んからの、解と楓を比べてみて魔力の多い方に風神の〈天啓〉を授けたわけじゃ」


「〈天啓〉の強さと魔力って関係あるのか?」


 俺は気になってルキに聞いてみる。


「確かに〈天啓〉は〈天啓力〉を使って奇跡を起こすのじゃから、あまり魔力は関係ないと思うじゃろうが、風神のような魔法に似通った〈天啓〉は魔力が多い方が恩恵は大きい、と儂は考えておる。」


 ああ、それで間違って魔力の低い俺に使用しないようルキが預かってたわけね!

 あれ、なぜか涙が……。


「じゃあルキちゃん、このステータスにあるたくさんの黒い四角は何?」


 楓は不思議そうにルキに聞く。

 それ俺も気になってたんだよな。


「それはの……秘密じゃ☆」


 そう言ってルキは目のあたりにピースを作り、ウインクをしながら舌をペロッとだすあのポーズをする。

 いつそんなポーズを覚えたこのお子様は。



……



…………



……………………



「よーし出来た! 鍵の名前は“淡い死者”の鍵だってさ」


 俺はキーメイカーで作られた鍵の名前を楓とルキに伝える。

 ちなみに今回も〈天啓力〉20を消費して作った。

 てかゾンビとか出てくるのか? 俺グロいの苦手なんだよなぁ……。


「死者!? て事はゾンビとか出てくるのかな!?」


 楓も俺と同じ意見だった。

 まあ大体そんな想像するよね。


「多分そうじゃろ、今回も問題なく攻略出来るとは思うがの」


「楓はゾンビとか出て来ても大丈夫か?」


 楓は虫が苦手な事もあり、俺は心配になって聞いてみる。

 俺は超苦手だぞ。


「え? 気持ち悪いとは思うけど別に大丈夫、出てきたら倒すよ?」


 なんて心の強い子なんでしょう……末恐ろしい子……。

 今回は個人的にあんまり行きたくないなぁ……。


「まあ行ってみん事には出てくるモンスターも分からんしの、早う行くぞ」


 そう言ってルキはトイレの方へ歩きだす。

 渋々その後に続き、俺は鍵を使ってダンジョンへの扉を開く。


「お、今回はなんか開けた場所に出たな」


 今回は“明けゆく森”の鍵の時よりももっと広く、西部劇などに出てくるような小高い丘が点々とある荒野にいた。


「うわぁ……空はどんより薄暗いし、なんか漂ってる匂いも臭いしであんまり長居したくないね……あ、とりあえずプロテクションかけとくよ!」


 そう言って楓は俺達にプロテクションをかける。

 とりプロあざす!


「これは死臭だの、ほんの少し魔力を帯びた瘴気も混じっとるし……これはやはりゾンビが出てくるの」


「そうなんだー?」

「へぇ凄いな、そんな事も分かるんだな」


「まあこのくらいはの!」


 ルキが腰に両手をつけドヤ顔で言う。

 その時、俺達の近くの地面がボコボコと盛り上がり、いきなり10体程のゾンビが地面から生えてくるように現れる。


「「いやぁぁぁああああ!!!!」」


 !?


 楓さん!? なんで貴女も俺と一緒に叫んでるんですか!? 別に大丈夫って言ってましたよね!?


 俺は鑑定のスキルを使ってモンスターを調べる。


【ゾンビ】


 なんのひねりもないゾンビだった。

 いやまあ、ゾンビだしな、仕方ないよな。

 てかこれマジでグロいぞ……剣で戦いたくねぇな……。


 俺はとりあえずゾンビに向けて[スキル]のチェインを使ってみる。

 するとチェインで絡まったゾンビはボロっと崩れ、溶けて消える。

 おお! これなら離れて戦えるな!


「解! 飛び道具なんて卑怯だよ! 剣で戦いなさいよ剣で! ひぇえ……」


 そう言って楓は石の剣でゾンビを倒している。

 因みにルキは何食わぬ顔で手のひらの上に光弾のような物を作り、それをゾンビに投げ跡形もなく消滅させている。

 色々納得できないが、まあルキだしな。


 ゾンビは幸いにも動きは鈍く脆いので油断さえしなければ、この広い荒野で捕まることもないだろう。


「楓、お主は風神の〈天啓〉があるじゃろ、練習がてら使うてみい」


 見かねたルキがキャーキャー言っている楓にアドバイスをする。

 楓は「あ、そっか」といってすぐ風神を起動した。


その瞬間――


ズゴォォォオオオオオ! と辺りに台風の様な強い風が巻き起こり、次々と生まれてくるゾンビ20体ほどをバラバラに消し飛ばしてしまった。


「なんじゃこりゃぁ!」 


「えぇ……すっごい威力だね……というか今ので〈天啓力〉100くらい消費したんだけど……」


 楓がステータスを確認しながら言う。


「この威力じゃ、それくらい消費するじゃろうの」


「そしたら風神はポンポンと使えないな、ここぞという時に使う様にしないとな」


「そうだね、てか私の〈天啓〉やスキルって燃費悪くない?」


 確かに……。


「まあ、高レベルの呪文や技はそれ相応にMPも使うのがゲームの基本だし〈天啓〉もそうなんだろな。 てかゾンビまだまだ湧いてくるけどこの中にボスっているのか?」


 俺は不思議に思い辺りを見渡す。


「おそらく近くに隠れてゾンビを操っておる奴がいるのじゃろ、丘の陰とかに隠れてるやもしれんし手分けして探せば良い」


「なるほどそういうタイプもいるんだね! わかったよ、手分けして探しちゃおー!」


 楓はそう言うと、もの凄い速さで走り出す。

 なんかいよいよ楓のスピードが人間離れしてきたな……。


 その後俺達は丘の陰にこっそり隠れていた【ゾンビリーダー】を見つけ、チェインを使い止めを刺しダンジョンをクリアする。

 

「簡単にクリア出来たな」


「そうだね、やっぱりこれから鍵は20以上を作ればいいかもね」


「お主らのステータスと儂が混ざれば、それくらいの鍵はもう苦戦もせんと思うぞ、次は30の鍵を作るといい感じにレベルも上がりやすいかもしれんの」


「ちょっと怖い気もするが、ルキがそう言うならそうしてみるか。そしたらさっさと宝箱を回収して帰りますか」


 俺は宝箱に近づき、石の剣でいつもの如く突っついて蓋を開ける。

 すると……。


「ん? これはマントかな?」


【風のマント】


 調べると“風のマント”ということが分かる。

 雰囲気的に素早さが上がるのか?


「風のマントって言うものらしいけど楓がつけてみるか? 丁度風神も手に入れたことだし風繋がりで」


 楓はそんな安直な……と笑いつつマントを羽織る。


「あ、ちょっと走ってきていい?」


 そう言うと、楓は荒野を駆け出した。


(おいどうしたいきなり、あのマントは装備者をランナーにする効果があるのか?)


 そんな事を考えていると楓がいきなり跳躍し、伸身の2回宙返りを何回も始めたのだった。


!?


「やっぱり! 体がめちゃくちゃ軽いよ! このマントをつけると身軽になれるんだね!」


 身軽どころの騒ぎじゃないだろ、なんだよ伸身の2回宙返りって、ガンバ○スト駿かよ。


「凄いなそのマント、良いもん貰ったな」


「うん! これでまた戦いやすくなったよ!」


 楓の行動に目が行きルキの事をすっかり忘れていてハッとしたが、そのルキはというと、荒野に見慣れた椅子とテーブルを出し優雅に“ロー○ルさわやか”を飲んでいた。

 家のテーブルとイス……あれも今はもう使えない複製の能力を使ってストックしておいたんだろう。大したお子様だなルキえもん。

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