表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/39

第十九話

「例のごとく、ボス部屋なのかな?」


 楓がマジックバッグから取り出したミネラルウォーターを飲みながら聞いてくる。


「多分そうだろうな、しっかり休んでから挑もう。装備を整えたからといって何があるか分からないし、油断せずにいこうな。」


 俺達は休んだ後、目の前にある大っきな扉を一緒に開ける。

 スライムのボス部屋と同じ様な広さの部屋があり、松明の炎もユラユラと揺れている。


 部屋の中央には、さきほど倒してきたものより一周り大きく15cmほどの角を持ったウサギがデンと座っていた。

 俺はすぐに鑑定を使う。


【ホーンラビット】


「なるほど、このウサギはホーンラビット。ベビーが無くなっているから成体なんだろうな。」


「解、二人で攻めよう。私が先に行って隙を作るからその隙をついて倒して!」


「お、おい。危ないぞ楓……」


 俺が止める間も無く楓は走り出す。

 俺もすぐに走り出し楓を追う。

 ウサギも向かってくる楓に飛び跳ねながら角を突き出して迎撃する。

 楓はホーンラビットの突き出してくる角に上手く特殊警棒をぶつけ、動きを止める。


「解! 今だよ!」


 楓が叫ぶ。


「よし! まかせろ!」


 俺は空中で動きの止まったホーンラビットの胴体に思い切り特殊警棒をぶつける。

 吹っ飛んだホーンラビットは短い断末魔をあげた後、ダンジョンに吸い込まれる様に消えた。


「楓、ちょっと頼もしすぎないか?」


 俺は呆れながら楓を見る。

 楓はエッヘンと胸を張り答えた。

 

ホーンラビットが消えると、スライムのダンジョンのときと同じく魔法陣と、宝箱が出てきた。


「やっぱり魔法陣と宝箱は出るみたいだな。お、ボスの魔石は今までよりちょっとでかいな。」


 俺がボスウサギの魔石を拾う頃には楓は既に宝箱に手をかけていた。


(なんという素早い身のこなし……なんという宝箱への執着心……)


「さあ、何が入ってるかなぁ〜。…あ! 解、前と同じビー玉だよ!」


 !?


「またあのビー玉が出たのか!?」


 俺はてっきりあの〈天啓〉が降りるビー玉はレアで、たまたま手に入ったのだと思っていたのだが、こうもあっさり出ると別に大したレアアイテムでも無かったのかと考える。

 すぐに近くに行き、鑑定を使いそのビー玉を見る。



【天啓のオーブ(幸運)】


「このビー玉の名前は“〈天啓〉のオーブ”って言うらしい、名前の後ろには幸運と書いてあるから、幸運の〈天啓〉が手に入るのかもな」


 俺は楓に伝える。


「えー! 幸運とか最高じゃん! 私が使ってみてもいい!?」


 楓は目をキラキラさせて聞いてくる。


「ああ、もちろん。前回は俺が使ったからそれは楓が使うといいよ。」


 楓はやったー! と言い宝箱に入っている天啓のオーブを取り出す。

 しかしそれはいつまでたっても楓の体に吸い込まれず、うっすらと光り続けている。


「なにこれー! 壊れてるんじゃないのー?」


 プンプンという擬音がぴったり似合う様に楓は怒っている。


「なんで使えないんだ? ちょっと貸して。」


 俺が楓の手からオーブを手渡された瞬間、一段とそのオーブが輝き出す。

 そして光となったオーブが俺の体に吸い込まれていく。


『南條解に新たな〈天啓〉が降りました。南條解は幸運を習得しました。』


(あっ……)


「まただぁ……また解の方にビー玉が吸い込まれてっちゃったぁ……」


 楓はがっくりと落ち込んでいる。


「なんでだ? 鍵を作った本人じゃないと〈天啓〉のオーブは使えないのか?」


 俺はそう考えるも答えが出るわけもなく、がっくりとうなだれている楓を連れ、魔法陣の前に行く。


「元気だせよ楓、オーブを使わなくてもまだまだ俺より〈天啓力〉高いだろ?」


 俺は楓を何とか慰めようとする。


「そんなこと言っても、これから解どんどん強くなってくじゃん…私置いてかれちゃうよ。解〜、私を見捨てないで〜。」


 楓は大げさにすがりつく素振りを見せる。


「当たり前だ、俺は絶対に楓を置いていかない」


 俺は真剣に答える。楓を見捨てるなんて事は絶対にしない。

 楓は俺の方を見て少し間があった後、“うん……”とだけ答えて顔を逸らす。


(あれ? めちゃくちゃ気まずい! そんなにオーブ使えなかったのが嫌だったか!?)


「てかどうする!? この魔法陣に乗ったら家に帰れるんじゃなくて、雄島の塔に飛ばされたりしてなっ?」


 俺は空気を変えるために少しおどけてみる。


「え、それめちゃくちゃ面倒くさいじゃん。やだよそんなのー!」


 楓は元気よく答える。

 よかった、いつもの楓だな。



 そう言い合いながら俺達は魔法陣に飛び込む。



 もちろん、飛び込む時の掛け声は“せっ!”で飛ぶ、いっせーの、せっ!だ。

ここまで読んで頂きありがとうございます<(*_ _)>



■次回の更新は【7月23日12時】の予定です。



■お願い


宜しければブックマーク、感想、レビュー、下の☆をちょんと押して評価を頂けると励みになります。


よろしくお願いします!!



■その他


Twitterやってます。

作者のマイページにURLを載せていますので、絡んでもいいよって方がいましたらよろしくお願いします!

絡んでくれるとめちゃくちゃ嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ