第十八話
「じゃあ、ダンジョンに入るぞ」
俺の言葉に楓は頷く。
俺はトイレのドアに手をかけ、ガチャリと開ける。
するとそこには“儚きスライムの鍵”のダンジョンと似たような洞窟が続いていた。
昼ごはんを食べた後、俺達は“か弱いウサギの鍵”を使い俺達はダンジョンに入った。
塔でのダンジョンと違う点はダンジョンから帰還する為のドアがあるという点だ。
「普通に帰れそうだな……何かいよいよ塔の必要性が無くなってきたんじゃないか?」
「何で塔ではすぐ外に戻る事が出来なかったんだろうね?」
俺と楓は暫く考えてみるものの、答えが出ず諦めた。
「ここでこんなことしてても時間が過ぎるだけだし、進もうか。」
「そだね」
そう言って洞窟の奥に進む。
進む事5分、洞窟の横穴から小さいウサギが現れた。
「あ、解。ウサギさんが出て来たよ」
「ちょっとまって、鑑定で調べてみる」
俺はすぐに鑑定を使う。
【ベビーホーンラビット】
「どうやら、ベビーホーンラビットっていうモンスターらしいな」
「ベビーホーンラビットって事は頭に角があるのかな?」
そう会話していると、そのベビーホーンラビットは俺達に気づき、俺の方へ小さな角を突き出し突進をしてきた。
「うわっ!」
いきなりの事で焦ったが俺はその突進を躱し、腰に付けていた特殊警棒をシャキンと伸ばし、横薙ぎにウサギを攻撃する。
ウサギは「キュッ」と言って倒れた後、動かなくなったと思ったら、そのまま洞窟に吸い込まれるように消えてしまった。
「スライムと同じで消えるんだな。てかいきなり攻撃してきたな……」
「そうだね、ただスライムと一緒で一撃で倒せるのはいいね! ……あ、ほらこれ見て、これが魔石なんじゃない?」
楓がウサギが消えたところを調べると、とても小さい菱形の石を見つける。
大きさは3cm程、色は薄い紫色でキラキラして綺麗だった。
【魔石(H)】
鑑定で調べると、それは魔石だと分かった。
「……うん! やっぱり魔石だ。Hというのはレア度かな? 前回スライムを倒した時もしっかり調べておけばよかったなぁ〜!」
「何も知らなかったんだし仕方ないよ。これからはしっかり回収してこー!」
「そうだな、過ぎたことを悔いても良いことないな。ガンガン倒してこう!」
そう言って俺は魔石を腰に下げたマジックバッグに吸い込ませる。
今回いつものバックパックから“静かな宝の鍵”で手に入れたマジックバッグに変えた事により、嵩張らないし重くないしで本当に助かっている。
これからダンジョンで色々なアイテムが手に入ると思うとワクワクして堪らない。
そう考えている内にまた目の前にベビーホーンラビットが現れる。
「解、今度は私が戦うね」
楓はズイッと前に出る。
「怪我しても治癒を使えばいいとか思って、油断はするなよ?」
「分かってる、〈天啓力〉が減ったら嫌だしっ!」
そう言って楓は駆け出す。
素早くベビーホーンラビットに近づき、特殊警棒で殴打する。
ベビーホーンラビットは何も出来ず倒れ、その場には小さな魔石だけが残った。
正直俺よりスマートに戦えている、なんか楓って何でも平均以上にこなすよな……。あ、勉強はそうでもなかったっけか?
その後、俺達は危なげなくベビーホーンラビットを倒していく。
15匹目を倒すか倒さないかという頃に、いきなり目の前に宝箱が現れる。
「!? 楓、宝箱が出てきたぞ!」
「あー! ほんとだ! もしかして敵を倒しても宝箱が出てくるのかな?」
「そうなのかも……開けてみるぞ……?」
そう言って俺は特殊警棒の先で宝箱をつついて開ける。
罠があった時の為に用心は必要だ。
「解……ちょっとかっこ悪いね。」
楓はプスプスと笑っている。
「おいっ! かっこ悪いとは何だ、安全の為だよ安全の!」
「ごめんごめん、んで中身なんだったの?」
「ったく、人が真剣なのに笑うなよなぁ…。おや?」
中身を確認すると、見覚えのある小瓶が入っていた。
まさかこれは……。
俺はすぐ鑑定を使う。
【ポーション(下級)】
「やっぱりポーションだ! ほら楓、ポーションを手に入れたぞ!」
「凄い!」
楓が目をまん丸にして驚く。
「ネェガさんの店で買い取ってもらって資金の足しに出来るかもだし、次行った時は魔石売るついでに聞いてみよう」
「おー、道具屋に行く時が楽しみだね!」
そういうやり取りをしながら目の前に出てくるベビーホーンラビットを倒し、俺達は一本道の最奥、大っきな扉の前まで着いた。
ここまで読んで頂きありがとうございます<(*_ _)>
■次回の更新は【7月23日8時】の予定です。
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