第十四話
「おいおい、入り口で突っ立ってないでとりあえず入れよ」
お店の人がそう俺達に話しかけてくる。
「あ、すみません……」
俺達はビクビクしながら店に入る。
店は温かみのある木で作られており、10m程先にある小さいカウンターを挟んで奥にお店の人が座っていた。
「お前らはこの店初めてだよな? 珍しい格好をしているが遠くから来たのか?」
「福井……というか日本ってところからなんですけど……ここって何処なんですか?」
俺は何となく感づいていたが、その気持ち押し殺して聞いてみた。
「ん、フクイ? ニホン? そんな国あったか? どうやらかなり遠くから来たんだな」
やっぱりここは地球じゃないのか……?
そう考えているとお店の人は話を続ける。
「ここはルリという国で、俺の名前はネェガ。この店は見ての通り道具屋だ。まだまだ小さい店だが俺は自分の店をこの国一のでっかい店にしたいんだ!」
この国はルリというのか……んで、ここはネェガさんの道具屋。
「ねえ解、見た事ない物がたくさんあるよ!」
ネェガさんの話そっちのけで楓は商品を見ている。
確かに見た事のない物ばかりだな。
俺は瓶に入った液体を手に取る。
「何だお前、ポーションも知らないのか?」
ネェガさんが目を丸くして聞いてくる。
「これがあのよくゲームで耳にするポーション!?」
俺と楓は顔を見合わせる。
すぐに鑑定を使い商品を見ると…
【ポーション(下級)】
鑑定でそう告げられる。
「へぇ、これがポーションか……これってどれくらい効果があるんですか?」
俺は気になってネェガさんに聞いてみた。
「そのポーションは下級だから、かすり傷や切り傷、軽い火傷に効果があるくらいだな。値段は1000ディルだ、買ってくか?」
1000ディル?
ディルと言うのがこの国のお金の単位なのか?
「えーっと……ちなみにこのパンはどのくらいするんですか?」
俺は目に入った黒く硬そうなパンを指差す。
「ああ、これは10ディルだな。」
なるほど、このパン1つ100円と考えて、大まかに1ディル=10円くらいって考えればいいのかな?
と言う事はポーション(下級)1つで1000円?
うーん、高いのか安いのかなんとも言えないな……。
ただここに売っているものは是非ともダンジョンで使いたい。
俺はどうにか手に入れられないか考える。
「あの……俺達ディルを持ってないんですが、円は使えないですか?」
無理だと思うが一応聞いてみる。
「えん……? お前らの国の金の単位か? すまんがこの国の金じゃねーと売れねぇな」
やっぱりそうだよな。
「手っ取り早くお金を稼ぐ方法ってありますか?」
横で商品を見ていた楓がネェガさんに尋ねる。
「そりゃ、モンスターを倒して出る魔石を売ればディルに交換してやれるけど……お前ら魔石持ってるか?」
「「え!? モンスターを倒すと魔石って落ちるんですか!?」」
俺達は声を揃えて驚く。
「あ、ああ……と言うか常識だろ、今までどうやって生きてきたんだお前ら……」
俺達のテンションに若干引きつつもネェガさんは答える。
「ねえ解、もしかして前に倒したスライムも魔石落としてたのかな?」
「分からん、全然意識してなかったからな……」
くそぉ、ちゃんと見ておけばよかった……。
そう悔しがってると、ふと壁にかかってる剣に目が行く。
「ネェガさん、この剣はどれくらいするんですか?」
「ああ、この剣は10000ディルだ。ただ筋力値が20無いと重くて上手く扱えねぇぞ。」
き、筋力値……?
「あの……筋力値って何ですか?」
「おいおい寝ぼけてんのか? ステータスを見ればそんな事すぐ分かるだろ……」
ネェガさんは呆れたように話す。
ちょっと待って、なんだステータスって?
〈天啓紙〉の事か?
「えっと、これの事ですか?」
俺は〈天啓紙〉を出してネェガさんに見せる。
「何だそれ、初めて見るな。それじゃなくて普通にステータスオープンて言や出てくるやつだよ。」
初耳だ……。
「ステータスオープン! ……あっ、出た出た! ほら解、ステータス出たよー!」
さっそく楓が試している。
俺も楓に続きステータスオープンと言ってみる。
『南條解の〈天啓紙〉が更新されました』
(お、また機械音声のアナウンスか)
俺は自分のステータスを確認する。
【名前】南條解
[レベル]4
[職業]なし
[スキル]なし
【天啓】キーメイカー☆0、鑑定(初級)☆2
【天啓力】245
[MP]8
[筋力]19
[敏捷]18
[魔力]8
[運]60
なんだこれ、いきなり情報が増えてる……
てかなんか〈天啓紙〉の内容がステータスに混ざってる感じになってるし!
良いとこ取りの欲張りさんめ!
あかん、1回家に帰って作戦を練ろう……と楓の方を向くと楓もどうやら同じ気持ちだったようだ。
俺達はネェガさんにまた来ます……。とだけ伝え道具屋を出て家に戻ってきた。
なにがなんやら、といった感じで楓が俺を見てくる。
俺は真剣な表情で楓にこう告げる。
「とりあえず、マジでおしっこ漏れそう。」
ここまで読んで頂きありがとうございます<(*_ _)>
■次回の更新は【7月21日12時】の予定です。
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