第十話
八話と九話の間に抜けがあり、話が繋がっていないミスを修正しました!
九話の冒頭に差し込んでいます!
ご報告して頂いた方に感謝です<(_ _)>
「なんて清々しい朝なんだ!」
俺はパチリと目を覚まし体を起こす。
スマホを見ると時刻はもうすぐ12時を回ろうとしている。
昨日の夜から12時間以上寝て俺の心と体は寝起きでジャンプ出来るほどにバッチリ回復していた。
「いや、もうお昼だし」
!?
「楓!? なんで俺の部屋にいるの!?」
ちょっと楓さん、いくら幼馴染でもストーカー行為は流石に俺もひくよ!?
「人をストーカーみたいな目で見ないでよ……ほら、自分のラ○ン見て」
俺は怪訝な顔をしてラ○ンを開く。
そこには楓から『おはよー、起きてる?昨日の事で話がしたいから今から解の家行っていい?』というラ○ンに『いいよ』としっかり返信していたのだ。
(俺はいつの間に返信していたんだ……)
「ほらね、大方寝ぼけて返信してたんでしょ? チャイム鳴らしても出てこなかったから植木鉢の下の合鍵使って入らせてもらったよ」
「それは申し訳なかった、どんだけ待っててくれた?」
「1時間程かな? 勝手にマンガ読んでたよー」
そういうと、楓の手には本を持った主人公と王様になりたい子どもが表紙の漫画が持たれていた。
俺の所有している漫画の中でも一押しの作品だ。
「そのままもう少し読んでてもらっていいか? 俺シャワー浴びてくる。」
「は~い」
楓は漫画を読みながら答えた。
部屋を出て階段を降り1階のリビングを通って浴室へ向かう。
浴室に入りシャワーをサッと浴びた。
「ふぅ〜、さっぱりした!」
俺は下着のまま浴室を出てリビングにある着替えを取りにいく。
「あ、解……」
なんと、そこには2階にいるはずだった楓がソファに座りテレビを見ていたのであった。
「きゃああああああ!!!! 楓さんのえっちーーーー!!!!」
俺は思わず某ネコ型ロボットの漫画に出てくる女の子キャラよろしく元気よく叫んだ。
「いや、逆。普通は反応逆でしょ……遊んでないで早く着替えてよ」
「あ、はい」
どうやら話し合うため下に降りてきてたみたいだった。
着替えた俺と楓はそのままリビングのテーブルに座り、昨日の事を話し始めた。
「とりあえず昨日は塔の件、本当にお疲れ様でした」
俺が厳かに挨拶をする。
「こなれた社会人か。てか確認したい事いっぱいあるんだけど!」
楓は昨日の事を思い出しているのかやけに興奮気味だ。
それもそうだろう、あんな体験をしたら誰だってテンションが上がる。
俺だって正直めちゃくちゃテンションが上がってるからな。
「そうだな、一旦塔での話を整理しようか。」
俺達は昨日の体験を思い出しながら話をまとめる。
まとめた内容はこうだ。
・キーメイカーで作った鍵で塔の中のダンジョンに入れる。
・一緒にいた人も転移される。
・ダンジョンではモンスターが現れ、最奥にはボスモンスターがいる。
・モンスターを倒すと〈天啓力〉が増える。
・ボスを倒すと帰還する魔法陣と、〈天啓〉を習得するビー玉がもらえる。
・塔の中と外の世界では時間の進み方が違う。
「そうそう、それと鑑定っていう〈天啓〉が増えたな」
俺は〈天啓紙〉を出して、楓に見せる。
「あ、なんか新しく〈天啓〉が降りたって言ってたよね……え!? 〈天啓力〉が248まで上がってるよ!?
「ん? 楓も同じくらい増えたんじゃないのか?」
「そういえば言うの忘れてたけど私の〈天啓力〉なんでか分からないけど減っちゃったんだよね」
「増えるならまだしも減るってどういう事だ?」
そう言うと楓も〈天啓紙〉を出し、こちらに見せてきた。
【名前】佐藤楓
【天啓】治癒師☆4
【天啓力】859
「本当だな……なんで減ったんだ? 楓なんか変わった事したのか?」
「うーん、これと言って特別な事は……あ、もしかして治癒を使ったからかも」
「ああ、確かに〈天啓〉を使うと減るな。有名Y○uTuberも言ってたし、俺もキーメイカーで鍵を作った時〈天啓力〉を消費したからな」
「ちょっと確かめてみる!」
楓はそう言うと、俺に治癒を使う。
「お、おい……無駄遣いするなよ」
すぐに俺の体が緑の光に包まれる。
(くっ……優しさが俺を狂わせるっ……!)
「……楓、〈天啓力〉はどうなった?」
俺はそこはかとない優しさを感じつつ、楓に確認する。
「あっ、やっぱり減ったよ。1回使うごとに20消費するみたい。」
(〈天啓力〉は俗に言うMPの役割でもある……)
「という事はダンジョンに潜る以外で〈天啓力〉を増やす方法がまだ分からない以上、あんまり〈天啓力〉を無駄遣いしない方がいいかもしれないな」
俺はそう楓に告げる。
「なんで? 別に使っても大丈夫じゃないの?」
「〈天啓力〉が少し減る程度なら正直俺もそこまで問題視しないよ、けどもし治癒を連発しなくちゃいけない状況になったり、それこそ〈天啓力〉が0になってしまったら……現状〈天啓力〉が0になったと言う話はテレビでもネットでも聞かないし何があるか分からないから無駄遣いはしない方がいいと思う」
俺の話を聞いて楓はなるほどなぁと頷いている。
(……ん? と言う事は計算するとあのビー玉で鑑定を手に入れた事で俺の〈天啓力〉が200も上乗せされたのか……? あのビー玉めちゃくちゃ凄いな!)
その時、テレビで流れていたお昼のニュースが一段と騒がしくなる。
俺達は何事かと思いテレビに注目する。
『ここで臨時ニュースです。自身の〈天啓〉を使って銀行強盗を企てた男が人質をとり、今も銀行内に立てこもっています。現場には中継が繋がっています、現場の後藤さーん。』
「おいおい、まじかよ……」
全人類に〈天啓〉が降りて3日目、世界では現在自身の〈天啓〉を使い犯罪に手を染める人達が増えている。
日本ではまだ軽犯罪程度の事件しかなかったみたいだが、ついに銀行強盗までしでかす輩が出てきたみたいだ。
「銀行強盗……やっぱりそういうことする人も出てきてるんだよね」
楓が心配そうな顔でテレビを見ている。
『はい、現場の後藤です。どうやら男は今、銀行職員を人質にとり……あっ、銀行強盗の男が人質を連れて外に出てきました!』
銀行の周囲がより一層ざわざわし始める。
『早く金と車をもってきてください! この女性がどうなっても知りませんよ!』
映像では顔面にサングラス、上半身はタンクトップ、下半身はホットパンツのムキムキなおっさんが女性銀行職員にナイフを突きつけていた。
なんだこれ……えらくキャラが立ってるな。
『彼女にひどい振られ方をした僕はこの〈天啓〉で好き勝手やるって決めたんです! 今更戻ってきてと言われても戻りません! おらああああ水撃!』
(まさかこいつ……ざまぁ系主人公!?)
俺が驚愕している横で楓はゴミを見るような目で奇抜なおっさんを見ていた。
なんて冷たい目……
その間も映像では奇抜なおっさんはナイフを持っていない方の左手を前に突き出し、そこから直径30cm程の水の玉を勢い良く、警察や野次馬の人達に向けて何十発も放ち続けていた。
「水撃……この奇抜なおっさんの〈天啓〉は水を打ち出すのか……」
(というか、あんなに連発したら〈天啓力〉が無くなっちゃうんじゃないのか?)
『ひゃっはーーー! 僕は無敵ですうううううう! ……あがががっががっ!』
その時、奇抜なおっさんはいきなり苦しみながらその場に倒れた。
『現場の後藤です! どうやら銀行強盗の男は苦しみながらその場に倒れたようです! あ、今警察が男を捕らえました! もう多分安心! ではスタジオにお返ししまーす!』
『現場の後藤さん、ありがとうございました。いきなり銀行強盗が倒れる事態になりましたが、どうしたのでしょうか……ただ、今の日本ではこういった自身の〈天啓〉を使った犯罪が増えて来ています、私達もこれからは〜……』
「解、これって……」
「ああ、多分……奴自身の〈天啓力〉が空になった、んだと思う。あんだけ連発して〈天啓〉を使ったら空にもなるだろ」
楓は俺と顔を見合わせて何か話そうとしたが考えがまとまってないみたいで二人とも無言になり、俺は別の話題で無理矢理空気を変えた。
奇抜なおっさん……まだ間に合う、嫌な事があって打ちひしがれても強く生きろよ……
その後しばらくして、奇抜なおっさんの死亡が発表された。
奇抜なおっさん……南無(-人-)
ここまで読んで頂きありがとうございます<(*_ _)>
■次回の更新は【7月19日12時】の予定です。
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