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おまけ

クリストファー視点のおまけです。


クリストファーは無事、意中の相手であるローズと恋人関係になり、自室で初めてのデート先について、どこにすべきか、パソコンで調べていた。


思えば、この数ヶ月間、色んなことがあった。


ローズが入学する前までは、架空の悪い虫のことを想像し、懸念しては、ヤキモキしていた。

そして、ローズが入学して、ようやく、アプローチが出来ると思った矢先、ローズは別の男と付き合い始めた。


アラン・ロバン。

二年生の料理科で真面目で部活動も精力的に励んでいる。

悪いところが思いつかないくらい、学生としては優秀で、人望もあった。


どこぞの馬の骨に、奪われたと思うと、腹わたが煮えくりかえる思いがしたが、アランという男はまともな男だった。最も、ローズが選んだ男であれば、婚約破棄された男が文句を言う権限もないだろう。


アランとはきっと合宿中に仲が深まったのだろう。

合宿の後、ローズの誕生日を祝うと同時に改めてプロポーズをしようと考えていたのが、水の泡となってしまった。


今思うと恥ずかしくて仕方がないが、俺はローズがアランと付き合い始めた日、クラシックを聞きながら、ホットジンジャーを飲み、ベランダで黄昏ていた。


まだ春先で寒かったこともあり、俺は風邪をひいてしまった。


幻覚でローズに看病される夢を見るくらい、俺は重症だった。


もう、ローズへの想いを告げることも出来ない。そう思うだけで、苦しくなった。


ダミアンがリリアはきっと俺に気があると言ったことがあった。

俺には真意が最後まで分からなかったが、もしリリアが俺に好意があったとしても、俺はリリアのことを好きになれなかったと思う。


俺は歳を重ねるごとに、ローズに溺れていたのだ。それに気がつくのは、ローズがアランと付き合った後だった。


自分がローズを想っていたことに気がついたタイミングの遅さに、俺はとても悔やんだことを今でも覚えている。


だから、卒業式にローズから告白されて、俺を選んでくれた時、本当に嬉しかった。


そして、ひとしきり喜んだ後、俺はふと考えてしまったのだ。


ローズはアランとどこまで進んだのだろう、と。


付き合っている彼女の過去の男のことなんて、探るだけ無駄なのは分かっているが、どうしても、そんなことを考えてしまう。


噂では、アランとローズは毎週のように逢瀬を重ねていたと聞いた。


高校生で行ける範囲のデートスポットはあらかた行っているのでは、なかろうか。

二番煎じみたいになって、がっかりさせないだろうか。


それに、アランとは手を繋いだのだろうか、キスやその先も……と俺は想像を膨らませて、首を振る。


考えていても仕方ない。

比較して、燻っても、ローズを幸せにすることなんて出来ない。


俺は自分が出来る精一杯のことをして、ローズを喜ばせるのだ。



数日後、俺はローズと初めて恋人としてのデートをした。


映画を見て、レストランでまさかのお互いがサプライズを企画していたことに笑い合い、レストランを出た後、辺りはすっかり暗くなり、俺達は噴水広場のベンチに腰掛け、ホットコーヒーを片手に談笑した。


「そういえば、アランとはどこまで行ったんだ?」


俺はずっと気になっていた疑問が自然と口から出てしまっていた。

俺は一拍置いて、ハッとした。


「すまない、今のは……」


忘れてくれ、と言おうと思ったが、ローズは頬を赤らめて、俯いた。


「ひ、秘密です。」


ローズはアランと恋人ごっこをしていたことを思い出し、自分の浅はかな行いを恥じていただけだが、クリストファーはそんなことは露知らず。


(最後まで持っていったのか、あの男……)


落雷と同じような衝撃が俺の中に走る。


「く、クリス?」


俺はローズを強く抱きしめた。

大人気のない子供っぽい嫉妬だということは分かっている。

それでも、俺は。


……絶対に誰よりも俺がローズを幸せにしてやる。


俺は夏の夜、彼女との初めてのデートでそう決意したのだった。

おまけや番外編含め、これで完結です。

長い間、お付き合いくださり、ありがとうございました!

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