オンリーワン神話
チロン 「せ~かい~に、ひ~と~つだ~けの、は~な~♪」
黒崎 「こういう場所で他人様の歌を唄うとJASR●C様に殴られるからやめれ」
チ 「おー。YouTubeで拾ったインド映画の動画とアニソンでシンクロムービーを作って遊んでる御主人に著作権の意識があったとは、〝999〟を読んでもいないのに同じようなフレーズを思いついたと言い張る男色ポンチュウさんもビックリなのです」
黒 「ポンチュウなんて言葉、善良な一般人さんは知らないんじゃないかな」
チ 「カリッと揚げたピカチュウにポン酢をかけていただく珍味なのです。ちなみに生きたまま踊り食いするのが生チュウ」
黒 「違うわ。国民的キャラクターをカリッと揚げるな。せめてコイキングにしろ。あれは食えそうだ」
チ 「でもって今回のお題は?」
黒 「何が〝でもって〟なのか問いつめたいところだが、まぁ、いい。今回のお題は『オンリーワン神話』だ」
チ 「なに? それ」
黒 「ナンバーワンよりオンリーワンの方が良い、とする志向」
チ 「ほほー。なにやら底辺ワナビ殿が好きそうなのです」
黒 「実際、オンリーワン志向を自尊心の拠り所にしてる意識高い系ワナビもいるだろうな。そのあたりも含めて、僕様的には究極の〝引きこもり理論〟だと思ってる」
チ 「引きこもり理論?」
黒 「ナンバーワンがいるからには当然、ナンバーツー以降が存在するわけで、そこには他者との関係性ってものがある。けど、オンリーワンにはそれが無い。というか、ありえない」
チ 「きゅきゅ……?」
黒 「我こそはオンリーワンだと主張しても、誰かに順位付けされた瞬間にオンリーワンではいられなくなる。つまり、競合相手や評論家になりうる他者との関係性を完全に断ち切って自分だけの世界に引きこもらないと、オンリーワンにはなれないのだよ」
チ 「うーん……でも、誰にも真似できないオンリーワンの技術を持った町工場みたいなものも、あったりするのです」
黒 「その場合の〝オンリーワン〟は観念的な比喩であって、実際には〝他者の追随を許さない圧倒的ナンバーワン〟だったりする」
チ 「言われてみれば、そうですね……」
黒 「すなわち世間でオンリーワンと賞賛される存在の大半は、誰もが認める比類無き勝者に他ならない。
オンリーワンでありたいと願う人の多くがイメージしている〝オンリーワン〟って、実はこれだったりするんだよね。でなければ競争に疲れた落伍者の虚勢か、そもそも競いあう気概すら無いのに勝ち組を標榜したがる人の詭弁か」
チ 「言いたいことは分かるけど、その発言には反感を抱く人が多そうなのです。とゆーか自分で地雷をまいて自分で踏み踏みするドM行為なのです」
黒 「Mかな。対象が自分なだけで、やってることは嗜虐的だから、むしろSな気もするが」
チ 「それはそれで香ばしく拗れてるのです」
黒 「確かに……」
──終劇──
チ 「──うきゅ? もう終わり?」
黒 「うん」
チ 「短くね? なのです」
黒 「もともとツイッターの追補みたいな感覚で始めたものだから、無理して文字数を稼がなくてもいいかなと。今後は短いやつも書いていこうと思う次第」
チ 「ふーん」
黒 「てなわけで今度こそ終劇」