夢への第一歩
「…うーん、やっぱり在学中に挑戦するなら…2回生からは科目受験を出来る様にした方がいいよね。となる受験資格は…単位数じゃなくて簿記の1級合格を使う事になるから…」
私は今パソコンを使って税理士資格について調べている。税理士資格には所謂受験資格みたいなのがあった大学在学中に税理士資格を取るにはある一定の単位を取ってから受験するか簿記1級を取得して受験するかが現実的なんだと思う。ただ単位数の方はどうしても受けられるのが3回生からになるからそれなら簿記1級からのルートを狙う。
「簿記は年3回か。…うーん、今年の11月の回に3級を受けて…2月に2級。来年の11月に1級かな。」
もし3月の2級を落ちても6月に受けられる。この予定通りいけば2回生から税理士資格の受験が出来るようになる。税理士資格は複数の科目から5科目合格すると良いんだけどその資格は個別で1度合格すればずっと有効なんだって。だから数年かけて取るのが一般的らしい。
「標準勉強時間は…うわぁ、1級から一気に難しくなるのか。…でも1級の範囲が税理士資格の会計の科目と被っている…と。んー、問題は半年で1級に合格出来るかなんだよね。」
そこがずれると大きく計画がずれ込む事になる。毎年2月には1級の試験がないから。
「パパの知り合いに税理士さんいないかな。…話、聞いてみたいな。」
私はとりあえず今読んでいたページを印刷する。それからパパに相談しに行こう。今は多分自分の部屋にいると思う。パパの部屋に向かうとパパは本を読んでいた。多分ラノベの新刊だと思う。
「…ねぇ、パパ。相談があるんだけど。」
無駄話はしないで本題に入る。時間も遅いしパパに迷惑になることはしたくない。パパは嫌な顔一つせずに私を迎え入れてくれる。私はパパに税理士を目指したいこと、その為に資格取得者に話を聞きたいことを伝える。
「…んー、簿記か。…一応僕も2級までなら持ってるけど…。税理士の資格を持ってる人はいるけど、経理部の部長を任せているからね。かなり忙しいと…あ、1人紹介できるかもしれない。」
パパの人脈でも難しいかなと思っているとパパが思い出したように1人いると言った。待って、税理士の資格なんて持っている人を忘れるってどういうこと?。それに、
「え、本当!…でも経理部なら同じくらい忙しいんじゃ。」
その部長さんだけ忙しいってことはないはず。…あれかな、若手だからとか?。だから社長のパパの言葉には逆らえないとか?。…パパに権力を使ってそんな事をさせるのは申し訳ない。もしそうなら断ろう。
「あぁ、彼は僕の秘書をしてくれているんだ。だから僕が仕事を減らせば時間は取れると思うよ。」
頭の中が混乱する。税理士資格を持っているのに…秘書をしているの?。適材適所を…無視しすぎじゃないかな。それにしても…秘書か。前に一度女の人には会ったことがある。早見さんという人にはお世話になった。でもパパが言っているのは早見さんではないっぽい。
「…秘書なのに税理士資格を持ってるの?。ならその人は経理部にいるべきじゃない?。」
私の質問にパパは高丸君(その秘書の名前ね)はパパのブレーンだと言った。どうやら相当優秀な人らしい。…あれかなパパが何年か前からやってるクラウドファンディング。面白い子がいるって言ってたけどその人なのかもしれない。
「そっか、じゃあ会ってみたいな。どうしたらいい?。」
あまり優秀すぎるとモノの考え方が人とは違いすぎて参考にならないって聞いたことがあるけど私的にはパパがそこまでいう高丸さんへの興味が勝った。それにパパの話も聞きたいし。日程は次の月曜日にパパの会社に行くことになった。
「ちゃんと可愛い可愛い娘が来ます。って言っといてよ。」
私は冗談のつもりでそう言う。さてパパはなんて返してくるか。会社でそんな事を言えないよ、とかかな。
「…そうだな、僕の愛する娘が来るって伝えておくよ。」
帰ってきたのは想定外の言葉だった。一気に顔が赤くなるのが自分でもわかる。私はパパに見られないように慌てて部屋を出て行った。
(…もー、びっくりした。突然愛してるなんて…。そりゃ揶揄ったのは私だけど。…不意打ちはだめだよぉ。…あー、顔が熱い。)
私はパパにいつまで経っても勝てない。