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串揚げ食べ放題を楽しむ

 串揚げの食べ放題にやってきた。ある程度並んでいる事を覚悟していたけど丁度入れ替わりの時間だったみたいで待つ事なく座る事が出来た。


「先ずは定番だよね。海老、海老、海老!。」

 具材を取りに行った心実が持ち帰ったのは海老だけだった。定番と言いつつ一種類しか持ってこないのは斬新だと思う思う。別にバランスよく食べないといけないルールなんてないのだからこれはこれで個性だ。


「…あぁ、そんなに海老ばっかり…。私だって今日はいっぱい食べるんだから。」

 美咲は全種類を満遍なく取ってきた。こうして串の選び方一つとっても性格が分かるのが面白い。


「…え、パパ凄っ。いきなり炭水化物?。それにサラダとかサイドメニューも⁉︎。それに串揚げも…取ってるし。…なんでそれで太らないの?。」


「こういう時いっぱい食べられる人が羨ましくなるわね。それに善一さんは体型も変わらないし。やっぱり筋トレをしているとそうなるのかしら?。」

 僕の取ってきたメニューを見て心実と美咲がそんな感想を漏らす。僕は炭水化物大好きだし、どうせならサイドも食べたい。勿論本題の串揚げも逃さない。食べる量は高校や大学の時と比べると減ったが一般的な僕の同年代と比べると多いと思う。それなのに体型はこれ以上大きくならない。体重が百キロを超えることはない。日頃の筋トレのおかげで基礎代謝が上がっているのだと思う。やはり筋トレは神だね。


「…熱っ……美味しい〜。やっぱり揚げたては美味しいよね。」


「そうね、いくらご飯前に揚げるといっても少しは冷めて衣がベチャついちゃうのよね。ここなら揚げてすぐに食べられるからカラっとしてるわね。」

 美咲と心実が揚げたての串を次々食べていく。その顔は語るまでもないが幸せそうだ。自分の好きな素材を目の前で自分で揚げて食べる。ある種のライブ性とエンターテインメント性も含んだこの店は値段のお手頃さもあり高校生達の間でも打ち上げなどで活用されていると聞いている。強いて難点を挙げるとすれば対象年齢が下げづらいことか?。…小学生入学未満の子供のいる家庭は少し不安を覚えるんじゃないだろうか。油はテーブルの真ん中にあるから手は届きにくいと思うがそれでも親とすれば子供からは目を離せないだろう。食材を取りに行く場所の高さも大人の腰の辺りにあるので子供からは見えない。…夫婦が揃っていればどちらかが子供を見ている間に取りに行けるだろうが…1人親家族では少し厳しい。…今度会社で話してみようかな。みんな優秀だから何か解決案が出るかもしれない。


「…パパ?どうしたの。串揚げ焦げちゃうよ?。」

 おっと考え事をしすぎてきたようだ。折角の串揚げが焦げるところだった。


「ごめん、ごめん。あ、このレンコン美味しい。」

 慌てて揚げたての串を食べたけど、中のレンコンが想像より美味しい。ほとんど全種類食べてみたけど野菜の串揚げが美味しかった印象だ。熱が通ることで甘みが出るし食感も良くなっていた。


「野菜が美味しいの良いよね。これなら野菜が嫌いな子でも食べれそうじゃない?。」


「そうね、ヤングコーンとかは普段中々見ることもないし…興味が引かれるかもね。」


「…ねぇ、パパ。カレーライス美味しかった?。」

 思い思いの串揚げを食べてひと段落ついた様子の美咲と心実。だが心実が僕がさっき食べていたカレーの皿を見ながら言う。どうやら食べるか悩んでいるようだ。


「美味しかったよ、やっぱり一気にたくさん作るカレーにそれにしか出せない深みがあるね。コクがあったしトッピングで揚げた野菜とかを乗せると更に美味しくなるよ。」

 僕は全力で推す。実際美味しくて三杯食べちゃってたし、心実も多分食べたいはずだ。だけど炭水化物だから気にしている。食べたい物を食べる理由を探しているのだ。だから美味しいと伝える。それを聞いた心実は


「…そ、そこまで言うならココも食べよ。」

 と言ってカレーを取りにいった。それを見てウズウズしだしたのは美咲。美咲も僕がカレーを食べている時に熱い視線を送っていた。だけど美咲は心実と違って動かない。心の中で最後に何処かでカロリーへの恐怖があるみたいだ。なら…仕方ない。


「僕も、もう一杯食べようかな。」

 僕はカレーを取りに行く。なにも美咲に嫌がらせをしたいわけじゃ無い。


「…ごめん、美咲。少し取り過ぎたみたいだ。ちょっと食べてくれないかな?。」

 食べても良い口実を与えるのだ。取り過ぎてしまった、残すのは勿体ない。だから…食べるしかない。この三段活用で美咲をカレーへと導く。


「…そ、そう?…なら…」

 僕の言葉に美咲は遠慮しながらもカレーを頬張る。そして…心実と共に幸せそうな顔を見せる。これこれ、この表情が見たかった。お腹と心が満たされた僕はその後スイーツを爆食いした。甘味は別腹だよ。それは女性陣も完全同意だった。

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