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序章




 序章 エンドロール

 

 主演、月影 はとり

 

 演出、多喜 巌。


 美術、古怒田 九郎右衛門。

 

 衣装、哀矢 楓。


 音響、永楽 篝。 


 協賛、獄釜組。


 監督、雲越 零士。


 ●


 見事な焼け野原だ。

 火に焦がされた電柱と、燃えた木だけが目に入る。


 舗装されていない道路を米軍の車が走る。

 ぽつんと焼け残った一軒家から男2人がそれを眺めていた。

 

「死に損なったわ」

「そうか」

 

 蝉の声がジリジリと沈黙を焼く。

 雲ひとつ無い空、強すぎる日光が窓際に座る男を苛立たせている。

 

「こっちに来たらどうだ」

「……」


 部屋の奥、机に向き合っている男が作業をしながら声をかけてきた。

 コップと水差しを持ち、男にもたれかかる。 

 

「零士ー? 何書いてんだ」

「脚本」

「そうかい」


 素っ気もない返事に男はコップの水を飲み切ろうと口を付ける。

 零士の手がコップを取り上げ、中の水を横取りされた。


「ここどう思う」

「あ?」

 

 零士の質問に手元を覗き込む。

 この男が自分の作品に口を挟ませるのは珍しい。


「そうだなぁ、どうせなら」


 桜の下で死なせてみたらどうだ。

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