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星の瞳症候群  作者: solar
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2030/07/07 - 1

星野 瞳 : 次女、中学3年生、15歳

星野 朝子 : 長女、臨床研修医、25歳

星野 明 : 父親、作家、48歳

 翌朝、差し込んできた朝日に眩んで目を覚ますと、朝食を作っている音と匂いがした。

 リビングへ向かうと、ちょうどごはんを盛り付けているお父さんの姿があった。

「……おはよう」

「おはよう瞳、ちょうど起こそうと思っていたんだ、ごはんの用意しておくから顔洗ってきなさい」

 言われた通り、洗面所に行き顔を洗って、リビングに戻ったら焼けた鮭と味噌汁の美味しそうな香りが漂ってきた。

「もう少ししたら朝子も来るはずだ、ささっと食べてしまおう」

「そうだね」

 手を合わせてからご飯を食べていると、テレビで流れていたニュースが今日は七夕である事を伝えていた。

「今日は晴れてるし、天の川も見えるかもなぁ」

「天の川は一年中見れるよ」

「七夕に見るからいいんじゃあないか」

 そんな会話をしていると遠くから車のエンジン音が響いてきた。

 徐々に大きくなる音は家の前で止まったようだ。

「お姉ちゃんかな」

「多分そうだろう、僕が見てくるから瞳は用意を済ませておいで」

 そう言ってお父さんは、まだ残っている食事を取り置いて玄関へと向かって行った。

 私も急いで食べてから自室へ戻り、出かける支度をして玄関へ向かう。

 外へ出ると、お父さんとお姉ちゃんが何か話していたようだ。

 しかしこちらに気がつくと、お姉ちゃんがものすごい勢いで迫ってきて抱きしめられた。

「ひ・さ・し・ぶ・り〜、瞳ちゃん〜元気だった?お姉ちゃん寂しくて仕方なかったよ〜」

「お、お姉ちゃん……苦しいよ、それに春休みはこっち帰ってきてたでしょ!」

「なによ〜、瞳ちゃんは寂しくなかったっていうの?お姉ちゃん悲しい〜」

 まるで酔っ払いの相手をしているみたいだ。

 助けを求めてお父さんの方を見れば、口元を押さえて笑いを堪えていた。

「笑ってないでどうにかしてよ!」

「まあまあ、もう少し辛抱してあげなよ、瞳も朝子が戻って行った時は寂しがっていたじゃないか」

「もー!それとこれとは話が違うでしょー!」

 その後、一頻りお姉ちゃんが満足したところで、改めて挨拶を交わした。

「――久しぶりお姉ちゃん、仕事は大丈夫なの?」

 息を整えながらお姉ちゃんに問いかける。

「大丈夫に決まってるでしょ〜、お姉ちゃん天才だから」

 お姉ちゃんは得意げに腕を組みながらこちらを指差す。

「瞳ちゃんも今年受験でしょう?お姉ちゃんが勉強見てあげよっか」

「大丈夫だよ、それにお姉ちゃん普段帰って来れないでしょ」

 そんなこともあって少し時間を食ったものの、予定通りお姉ちゃんと出かける事になった。

「それじゃあ瞳の事よろしく頼むよ、夜ご飯の用意もしておくからあまり遅くならないうちに帰ってきてくれ」

「わかった、それじゃあ行ってくるねパパ」

「行ってきます、お父さん」

 お姉ちゃんが車をゆっくりと発進させる。

 後ろを振り返ると、手を振り家の中へ戻るお父さんが見えた。

「なんでお父さん来なかったんだろ」

「さぁね〜、パパ私にも何も言わなかったから」

「ふぅん、そっか」

「大方、何かサプライズでも用意しているんじゃないかなぁ」

 車は家に続く林道を抜け大通りに差し掛かる。

 どのつく田舎なだけあって、日曜日にも関わらず私たち以外の車は殆ど走っていなかった。

「これからどこ行くの?」

 お姉ちゃんに聞いてみると、お父さんと同じ様にニヤリと笑う。

「まだ内緒、少し遠出になるから寝ててもいいわよ」

「眠くなったらそうする」

 実のところ中途半端に寝る時間がずれてしまったため、まだ少し眠気が残っていた。

「――だったんだけど瞳ちゃんどう思う〜?」

「……うん、いいんじゃない」

 少し走ったら揺れも相まって、眠気はすぐピークを迎えた。

「――」

 もはや言葉を聞き取ることもできず、私はいつのまにか寝てしまっていた。

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