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Final Gift  作者: トキハル
本編
46/49

第43話 救出作戦

 ダガーと投げナイフと今は昔なオートマチックリボルバー。

 本来であれば後方で踏ん反り返っているはずの小さな友人を前線に立たせ、狙撃銃(スナイパーライフル)を携える私と不思議な着ぐるみはその背中を守っている。

G(ゴルフ)チームのみんな〜!聞こえてる〜?」

『ゴルフチームだよ。どうしたんだい、コマンダー?』

「そっちの戦況はどうかと思ってさ〜。」

『キミの予想どおりだと思うよ?』

「そっか〜。このまま予定どおりお願いね〜♪」

『じわじわ下がりつつ、「地点(ポイント):スコッチモーテル」に魔獣を誘導する、ね。どんな大軍隊を配置してくれてるんだい?』

「んん〜?教えちゃったらおもしろくないからね〜。お楽しみってやつだよ〜!」

『はぁ、やっぱりそうか。頼むからうちのメンバーには伝えないでくれよ?士気がガタ落ちしそうだ。』

「死地に赴く兵士たちに、希望のある未来を伝えるのが私の仕事だよ。」

『その未来は現実になるんだろうね?』

「それはそれ、これはこれだよ〜♪」

『キミも喰えないな。とんだ演出家だ。自分も前線に出張ってるんだっけ?』

「そうだよ〜。やっぱり運動も大事だよね〜。椅子に座ってるだけじゃ健康によくないもんね〜♪」

『酔狂だな。普通、前線に立たなくていいならそっちを選ぶ人の方が多いと思うよ。選べればの話だけどね。』

「そうだね〜。でもでも〜、今回は優秀なボディーガードもいるからね〜。あーちゃんの身の安全はバッチリだよ〜♪」

『スカウトとあのうさぎか。確かに万全だ。』

「そうでしょそうでしょ〜♪」

『まあ、キミにはいらない気もするけどね。』

「あ〜!ヒドイこと言うんだ〜。まなちゃんもなんか言ってやってよ〜。」

「私も涼くんと同じ意見だけど…。どっちかって言うと、なんで涼くんがしれっとここにいるのか聞きたいかな。」

『コマンダーの依頼でね。銃整備士(ガンスミス)として招聘されたのかと思ったら、まさかの部隊リーダーさ。』

「こういう時のための抑えにね〜。当たったでしょ〜?」

『初日はほとんど出番なしだったね。どうしてコソコソ隠れるのようなマネしないといけないのか、コマンダーの考えることはわからないことだらけさ。こっちはどっかの誰かさんたちと違って、子供たちやキミたちから隠れる理由はないんだけどね。』

「そ、そうだね…。」

 結構痛いところついてくるなぁ…

『まあ、子供たちを見送って1ヶ月程度しか経ってないのに、こっちから頻繁に顔を見せに行くのも考えものかな。里親離れできなくなったら困るかもね。』

「それは…。ごめんねとしか言いようがないかな。」

『別にいいさ。こういうのは嫌いじゃないからね。じゃ、こっちも仕事に戻るよ。』

「うん!よろしくね〜、りょーちゃん。」

「またね。」

 そんなくだらない会話をしている間のあーちゃんの魔獣討伐数は2桁をゆうに超える。

 仲間内では「最弱」を自称しているが、その実力は他のメンバーと遜色ない。

 むしろ、副業をこれだけこなせるのだから、総合力はかなり高い部類かな。

「あーちゃん、ちょっと突出しすぎかな。あと、私たちの目標は『ポイント:マクミラン』でしょ?そっちは別の道だよ?」

「お〜、ほんとだ〜。さすがはスカウトだね〜!」

 地図を読ませれば一人前なのに、いざ自分が繰り出すと方向音痴なのが玉に瑕だ。

 まあ、地図どおり進むことも偵察兵(スカウト)の仕事ってことかな。

「ところで、これはどういう状況なのかな?」

「んん〜?」

 地下道からここまでの間、私は何も説明されないまま引きずり回されている。

 たった3人の部隊。

 しかも前衛1人と後衛2人というバランスの悪さ。

「あとこのうさぎ!もう俊くんじゃないのはわかってるけど、いったい誰なのかな⁉︎」

『僕は捌幡浜市のマスコットだよ☆』

「そういうのいいかな。」

『がーん☆』

 俊くん。

 幼馴染で、同僚でもある、今は着ぐるみのあのお調子者は山岳部に置いてきたはずだ。

「恥ずかしがり屋さんなんだ〜。許してあげてよ〜。」

 そうくるんだ。

 いいよ、私がその化けの皮を剥がしてやるから。

「目が怖いよ〜、まなちゃん。暴力はメッ!だからね〜。」

 普段はお母さんのあーちゃんに、まるで子供を扱うように宥められる。

「あーちゃんたちは脇役だからね〜。市街地側(こっち)をテキトーに守って、後で()()()()()の所に顔出しに行こ〜。」



 旧捌幡浜市山岳部側。

 蝙蝠型魔獣「ばっとん」討伐チーム。

 チームコードは「X(エクスレイ)」。

 移動、「ばっとん」の討伐、移動、たまに補給のルーティーンを繰り返している。

 その甲斐あってか、山岳部の一部エリアでは無線通信が復旧し始めたところだ。

 俊くんや綾ちゃんたちとはまだ交信できないけど、西の方で信号弾が上がっていたから合流できたんだと思う。

「隼の奴が言ってたとおり、他のチームも『ばっとん』討伐に協力してくれてるみてぇだな。」

「堡内支所の北側と東側はかなり通信が回復しているみたいですね♪」

「こっちの主力部隊が展開しているからな。俺たちと違って数もいる。それぐらいしてもらわねぇとな。」

「西側はまだ厳しいですね。私たちも隼人さんとまだ完全には通信できませんし。」

「繋がったり繋がらなかったり。繋がっても途切れ途切れだったり、ノイズが入ったりで聞き取り辛ぇもんな。倅たちのためにも早いとこ復旧してやりてぇが、とにかく人手が足りねぇ。しかも、目撃情報があったところは一通り潰したからな。次からは自分の足で探すしかねぇ。」

 私は紙の地図を広げる。

 そこにはいくつもの「×」マークが印されている。

「仮に、『ばっとん』の発する周波数がその居場所から一定の円形の範囲内に影響を及ぼしているとして、今まで攻撃した『ばっとん』の住処がこの印があるところ。今の私たちの位置がここなので、このあたりにいると思います。」

「スゲェな。どうしてわかるんだ?」

「ただの計算です。今まで回った場所、『ばっとん』討伐前後の通信環境の変化から影響範囲を計算。地形などの修正要素を考慮した上で、現状に当てはめて『ばっとん』の位置を逆算しただけです。」

「大したもんだ。さすがはッ!」

 なにかを言いかけた史也さんを、うさじろうこと夏先生がどこからか取り出した刀でど突いた。

 普通なら怒るところだけど…

「ああ、すまねぇ。」

 なにかあるのかな?

「刀…?持ってたんだ…」

 冬華ちゃんの着眼点はそっちなんだ。

「ちゃっと似てる…、かも…?」

 うん?

「それじゃ、かなやんの言う辺りに行ってみるかぁ!」



 俺たちのチームコードは「V(ヴィクター)」。

 行方不明となったジュリエットチームとロメオチームの捜索及び救助が主目標だ。

 そのはずなんだけどな…

「まさかなー。あやちーに銃弾を撃ち込まれるとは思わなかったなー。」

 現在地、堡内中学校跡地。

 その正門だった場所で、俺たちは校舎側から身を隠すように塀の裏で座り込んでいる。

「状況は良くないね。正門入ってすぐの玄関前広場に魔獣が押し寄せていて、校舎は完全に囲まれているみたい。」

「あやちーたちが応戦してるみたいだなー。聞き覚えのある銃声もしてるしなー。」

「だが、俺たちも綾音たちの攻撃範囲内にいる。このまま突っ込んだら魔獣か綾音、どっちかの餌食だ。さっきも、流れ弾なのか魔獣と間違えられたのかはわからないが、あやうく天国弾丸ツアーに招待されるとこだった。」

「サルと間違えられたってことかー?」

 校舎を取り囲んでいるのは猿型魔獣「しんばるもんきー」だ。

 目は充血しているように赤く。歯をむき出しにして下品に鳴く。

 まるでシンバルを叩いているかのように、両腕の開閉を繰り返している。

 俺たちはあんなのと一緒ってか?

「悲しくなるからこの話はやめよう。」

「んー?」

「でも、場所自体は悪くないよ。綾音ちゃんたちと魔獣を挟撃できる位置にいるわけだしね。」

「確かに、魔獣の数は多いが、後続は来ていないな。」

「なら行くかー。」

 そう言うと新は、帯剣している「さむ」に手をかけて立ち上がろうとした。

「アホか。」

 それを俺たちはすぐに引きずり下ろす。

 その直後、再び頭上を銃弾が通過した。

「な?蜂の巣にされたいのか?」

「なー。あぶなかったなー。」

「まるで他人事だな。」

「まずは私たちの存在を認識してもらわないとね。」

「トライブで信号弾でも撃つか?」

「そうだね。でも、信号弾を撃ったら確実に魔獣の注意を引くから、迎撃しないといけない。」

「『しんばるもんきー』は目がいい。閃光弾を撃ち込めば怯ませることはできるはずだ。その間に対応すればいいだろう。」

「もう一つ、綾音ちゃんたちがすぐに銃撃をやめてくれるとも限らないから、考えなしに打って出るとフレンドリーファイアで蜂の巣だね。」

「全然友好的(フレンドリー)じゃないな。」

「んー?」

 俺たちの会話を聞いていた新は、唸りながら頭の中を整理している様子だ。

「どうしたんだ?」

「あやちーになら気づいてもらえる方法があるぞー。他の人は知らないけどなー。」

 その決定打を聞いた俺たちは、作戦を実行に移すことにした。

「準備はいい?」

「ああ。」

「おー。」

 俺は信号弾を装填したTruthを、新は借り物らしいオートマグをそれぞれ構える。

 春華さんはM39EMRの二脚(バイポッド)を展開する。

「それじゃあ、作戦開始!」

 春華さんの掛け声で、まずは新が発砲する。

 タン。タン。タタタ、タタン。

 よくペアを組んでいる新と綾音の間で決めたらしい合図に則ったリズムで引き金(トリガー)が引かれる。

 なんの因果か、偶然にもオートマグ1弾倉(マガジン)分だ。

 新がマガジン交換を始めると同時に、俺は「Truth」を空に掲げ、トリガーを引く。

 空に打ち上げられた弾丸が、緑色に発光しながらゆっくりと自由落下する。

 気がつくと、校舎からしていた銃声が、「しんばるもんきー」の鳴き声が止んでいた。

「行くよ!」

 俺は素早くマガジンを閃光弾のものに交換し、スライドストップレバーを下げる。

 同時に、銃をホルスターに戻した新が「さむ」と「ぷろだくと」を抜刀し、塀から飛び出す。

 春華さんが塀にバイポッドを立て、狙撃体勢を整えはじめたその横で、俺は「しんばるもんきー」に向かって発砲する。

 刹那、眼前で強い光を浴びた「しんばるもんきー」たちが目を覆って立ち眩む。

 その動きが止まったところに新の一閃が襲いかかる。

 再度のマガジン交換を終えた俺は、「Truth」をホルスターにしまい、「時雨」と「Alive」を抜いて新に続くように打って出る。

 左手に持つ「Alive」で離れた位置にいる相手を攻撃しつつ、右手に持つ「時雨」で確実に仕留めていく。

 もともと一刀や二刀など、状況や敵の種類に応じて抜く刀の数や構えを切り替えながら戦う「武装交換(スイッチング)」と名付けられた戦闘スタイルが俺の基本ではあるが、(新な攻撃手段)を得てからはその選択肢も広がった。

 練度が低いために銃の精度はお世辞にも良くないが、そこに生じる隙は春華さんの狙撃がカバーしてくれる。

 なんと表現したらいいかわからないが、奏とペアを組むときとはまた違った安心感が俺を支える。

 そんな俺たちによる突然の背後からの攻撃に、「しんばるもんきー」の注意(ヘイト)は完全にこちらに向いたようだ。

 さっきまで校舎を取り囲んでいたことなんてすっかり忘れて、血眼になってこちらへ突貫してきた。

 慣れてきたのか閃光弾の効きが悪くなり、「時雨」「Alive」に加えて「吹雪」も抜いて応戦する。

 思っていたよりも数が多い。

 気がつけば、俺たちの後方ではM39EMRの重たい銃声ではなく、P90とM45A1の軽い銃声が鳴り響いていた。

「とっしー!」

「わかってる!」

 なにが起こっているかは想像に難くないが、俺たちは事前の打ち合わせどおり目の前の敵に集中する。

 春華さんの完全なサポートが期待できない以上、慣れないことをすべきではないか…

 俺は銃をしまい、従来どおり、右手で「時雨」を順手に、左手で「吹雪」を逆手にそれぞれ構える。

 踏み込んでからの「時雨」による角度浅めの袈裟斬り。

 そして切り返しの横薙ぎ。

 外に向く力を利用して、「吹雪」から二刀への連続回転斬りに繋げる。

 最後に「吹雪」を手首のスナップを生かして素早く順手に切り替え、二刀での袈裟斬りで締める。

 敵に応じてさらなる連撃に繋げることもできる俺がよく使うコンビネーションだ。

「さすがだなー!」

「まだお前には敵わないけどな!」

 何度も相手したきた種類の魔獣でもあり、その性質はある程度把握している。

 前衛コンビとして培ってきた連携も相まって、俺たちは次々と「しんばるもんきー」を斬り伏せていく。

 だが、春華さんのサポートもあるとはいえ、この数を2人で相手するのは骨が折れそうだ。

 気がつけば、俺と新を中心に「しんばるもんきー」の何重もの層ができていた。

「さすがは猿型。魔獣にしては頭いいよな。」

「なー。完全に囲まれたけどどうするー?」

「そりゃ、突破する一択だ。」

 俺と新で一点突破。

 可か不可でいえば、可だ。

 この包囲を突破するだけなら問題はないだろう。

 ただ…

「どっちにいくよー?」

 迷いどころだ。

 校舎側に逃れれば、校舎内のメンバーと合流して迎撃することになるだろう。

 だが、俺たちが突入してから今までの間、校舎側からの援護はない。

 それすなわち、戦闘に参加できる状態にないということだ。

 地の利は得られるかもしれないが、そんな状況下で魔獣を引き連れても対応できるかは怪しい。

 しかも、春華さんを一人正門に取り残すことにもなる。

 じゃあ正門側に逃れるか?

 正門に固定機銃でもあるなら話は別だが、春華さんを含めても3人でこの数を正面から相手するのは厳しいだろう。

 手詰まりか…。

 包囲網がジリジリと狭まっていくなか、究極の選択を迫られる。

「チッ!しかたな…」

 短い時間の中で考え抜いて出した俺の決断を、聞き覚えのある銃声が無駄にした。

「今よ!」

 俺たちを取り囲む魔獣への不意をついた掃射が、目の前の一団を蹴散らした。

 その実行犯の掛け声のもと、俺と新は同時に、反対方向へと駆け出す。

 正門側に向かう俺は、包囲の一層目を構成する魔獣に駆けた勢いのまま斬りかかる。

 正面のみに注力し、二層目、三層目と順次突破、包囲の外に出た俺はすぐに反転する。

 ようやく全貌が見えた。

「新!行くわよ!」

「おー。」

 同じタイミングで校舎側に駆けた新も包囲を突破していた。

 そして、綾音に呼応して再度魔獣の集団に突っ込み、側面の敵には目もくれずに正面の敵を攻撃する。

 当然のように側面からの攻撃が来るが、それを綾音が迎撃する。

 相談なしでそれぞれが補い合うように対応する敵、しない敵を決め、決めた相手を攻撃することで結果的に互いを守り合っている。

 本来であれば一朝一夕で得られるものではない、この二人だからこその連携だ。

 だが…

「私たちも負けられないね!」

 俺たちならできる。

 知り合って数日、なんらの実績も経験もないコンビだが、不思議とそう確信している自分がいる。

「もちろんだ!」

 春華さんに「吹雪」を渡す。

 なぜかと聞かれたら困る。

 春華さんが欲しがっている。

 そんな気がしたとでも言えばいいだろうか…

「大切に使わせてもらうね。」

 結果、まるで鏡写のように、俺は右手に「時雨」、左手に「Alive」を、春華さんは右手に「M45A1」、左手に「吹雪」をそれぞれ構えることなった。

 駆け出したのは同時。

 正面の敵に斬りかかり、飛びかかってきた敵を銃で撃ち抜き、また次の敵に斬りかかる。

 その行動は完全にシンクロしていた。

 もちろん、ただ行動が一致しているだけではない。

 お互いに補い合うことが大切だ。

 俺たちは相方の死角である背後から忍び寄る影に銃弾を浴びせる。

 まるで銃を突きつけ合うような体勢となり、ようやくお互いの表情を確認した。

「…………。」

「…………。」

 春華さんは不敵な笑みを浮かべていた。

 そして、それは俺も同じだった。

 銃を下ろし、短い会話を交わす。

「一気に片付ける。」

()()は、もう渡してあるよ。」

「ああ、受け取っている。」

 俺は「Truth」を取り出し、煙幕弾を装填、自分たちを取り囲むように展開する。

 次に、なぜか「しんばるもんきー」が好む赤色に発光する信号弾を装填、煙幕の中心に打ち込むと同時に、俺と春華さんは煙幕に身を隠しながら校舎側に移動を開始する。

「新!なにかはわからないけど、私たちも二人に合わせて下がるわよ!」

「わかったー。」

 身を隠すために次々と煙幕を展開する。

 なおも信号弾は元の位置で発光している。

 新と綾音の活躍で魔獣がいなくなった校舎の正面玄関に着いた時、ちょうど吹きつけた風で展開していた煙幕が晴れていく。

 本能に逆らえず、煙幕の中の赤い光に引き寄せられた憐れな猿たちの集団がその姿を現した。

「くそったれども!こっちだ!」

 信号弾を上空に向かって撃ち上げる。

 色はもちろん赤。

 赤く輝くその光を一歩も動かずに目で追う猿たちに向かって、「Alive」で()()()を撃ち込む。

 その威力は想像以上に凄まじく、平坦だった玄関前広場に撃ち込んだ弾数の数だけクレーターを作り、「しんばるもんきー」を跡形もなく消し去った。

「お、おおー。」

「なんなの?この馬鹿げた威力は?」

 さすがの二人も引くほどの様相に、俺も顔が引きつる。

 なんてもの作ってるんですか?大きい先生。

「まあ、当然の反応だよね…」

 一度に多くの同胞が文字通り蒸発したためか、生き残った「しんばるもんきー」たちは散り散りになって逃げていった。

「これが、この世界で3挺の銃しか撃てない特殊弾、『.45NAP』だよ。」



「一旦はお疲れ様、秋くん。」

「ああ、お疲れ…。まだ二人で話す時に()()は慣れないな。」

 涼くんの教育のおかげか、秋くんはしっかりしている。

 目上に人間に対する対応もちゃんとしていて、普通ならそれでなにも問題ないと思うけど、私は壁があるようで少し寂しく感じてしまった。

 だから、みんなと同じように接するようにお願いした。

 そもそもは私が悪いんだけどね。

「まあまあそう言わずに。これからも仕事で関わることはあると思うし、個人的にみんなとはプライベートでも仲良くしたいと思ってるからね。今のうちに慣れちゃってよ。」

「努力する。」

 まだ出会って間もないし、()()も今日始めたばかり。

 焦るにはまだ早い。

「そうそう、それとは別に一つ聞きたいんだけど…」

「俺に答えられることなら。」

「その剣術、誰かに習ったの?」

 想定してない質問だったのか、秋くんはやや首を傾げながらも答える。

「特に誰からも習ってはないな。(こいつ)をくれた大きい先生も専門外みたいだし。」

「涼くんは肉弾戦ってタイプじゃないもんね…。ということは、独学?」

「そうなるな。」

「そっか…」

「なにかあるのか?」

「うんん。ただ、似た剣技を使う人を知ってるから、もしかして繋がってたりするのかなって。」

「実戦での刀の使い方なんてある程度限られるわけだし、たまたま似ている奴がいてもおかしくないんじゃないか?」

「そうだね。そうかもね…」

 煮え切らない様子の私に、秋くんは怪訝な顔をする。

「俊秋!ちょっと手伝ってくれないかしら?」

「わかった!じゃ、ちょっと行ってくる。」

「うん。私も次の準備をするよ。」

「了解だ。」

 でも、()()()()()()()()()()は、()()()と全く同じだったよ。

 私は、そっと空を見上げる。

「やっぱり似るのかなぁ?親子って…」

 ぼそりと、そうつぶやいた。

「………………。」

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