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Final Gift  作者: トキハル
本編
25/49

第22話 ロリコンでシスコンな巨貧乳好き男色オールラウンダー

「本当にごめんなさい。」

 冬華によって引き起こされた一連の騒動が終結した後、俺の部屋は謝罪会見場と化していた。

「はいは〜い!どうして音ちゃんを襲ったの〜?」

「それは…、綾ねーがにぃにを…、その……、連れて行こうとしたから…」

 え?なにそれ怖い。

「おいおい綾音。俺をどこに連れて行こうってんだ?」

「さあ?どこかしらね。きっと楽しいところよ。」

 綾音の言葉はたまに、どこからどこまでが本気なのかわからない時がある。

 だからこそ、

「俺はお前が怖えよ。」

「あら、それは心外ね。綾はあなたの()()()()じゃなかったのかしら?」

「ああそうだ。()()()()()だ。」

 だがそれとこれとは違う。

 なんて思っていたが、ここで外野が予想外の反応を示す。

「にぃに…」

「やっぱり…」

 冬華に加えて奏までもが、なぜか俺に呆れとも、憐れみともいえるような視線を向けている。

「なんだ?どうしたんだ?」

「それは…、いったん自分で考えてみた方がいいんじゃないかな。」

「にぃに………」

 いったいなんだってんだ?

「ね〜ね〜、俊夏さん。とっしーくんって()()なの〜?」

「ああ、()()だな。間違いなく。」

 年長組の間では、よくわからない指示語が飛び交っている。

 冬華や奏も、同意するようにうなずいている。

 だが、ここで俺と同じくその内容を理解していない新から質問が飛ぶ。

()()ってなんのことすかー?」

「およよ〜?」

「あー。」

 これに対して、返ってきたのは諦めるようなため息だった。

「そーか、こいつもいたな。」

「きんにくん、さすがに冗談だよね〜?」

 新は頭の上に「(はてなマーク)」を浮かべたまま首を傾げている。

 個人的には仲間がいて嬉しくも思っていたが…

「…筋肉、ちょっとこっちに来なさい。」

 綾音に呼ばれたと思ったら、

「とっしー……」

 帰ってきた時には敵になっていた。

 本当にもう、なんなんだよ。

「この際だ。気になるあれやこれを本人に聞いてみたらいいんじゃねーか?なぁ?奏。」

「私は…。聞きたいような、聞きたくないような…」

「冬華はどうかしら?」

「わたしも…。奏ねーと同じかな…」

「消極ではないっつーことでゴーだ。よろしく頼むぜ、デカイの。」

「任せて〜!」

 ああ、なんか嫌な予感しかしないな。

「さあ、とっしーくん!答えてもらうよ〜!」

 マジで勘弁願いたいんだが…

「なんですか?」

「まずはジャブからいくよ〜!」

 つまりは、小手調ということか。

 いったいどんな質問が…

「好きな食べ物はなにかな〜?」

 ………?

 なんだ?この初級英会話みたいな質問は?

「冬華の作るメシですかね。」

 この答えに、冬華はニヤケ顔に、奏は苦虫を噛み潰したような顔になる。

「おお〜、さっすが〜!抜け目ないね〜!」

 なんのことだ?

「次の質問だよ〜。好きな場所は〜?」

燈花里(ひかり)園ですかね。あそこにいなければ、奏とも会えなかったかもしれないですし。」

 この答えには、冬華は顔色を変えなかったが、奏はなんだか嬉しそうだ。

 この後も、綾嶺さんから目的語の部分だけ変えた質問が、雨あられと飛んできた。

 訳のわからないまま質問に答えていたが、答えるたびにコロコロ変わっていく冬華と奏の顔を眺めるのはなかなかおもしろかった。

「じゃあ、これが最後かな〜。」

 ようやくか。

「好きな人はいるかな〜?」

 ………好きな人?

「気になる人でもいいよ〜。」

 ………気になる人?

「今一番気になるのは…。綾嶺さん、あなたですね。」

「「え⁉︎」」

「あら?」

「およ〜?」

 冬華と奏の反応を見るに、これは予想外の回答になったようだ。

 綾音が反応していることも踏まえると、間違いないだろう。

 そんなに変な答えだとは思わないけどな。

「今日初めて会って、ここまで俺たちに馴染んでいるんですから、気になって当然じゃないですか?夏先生も『腹黒』とか言ってましたし。」

 補足の説明をつけると、

「「なんだぁ…。」」

 例のコンビが安堵のため息を漏らす。

 しかし、

「『腹黒』はひどいよ〜。とっしーくん!メッ!なんだからね〜!」

 綾嶺さんはなぜかご立腹のようだ。

「綾嶺さん、『腹黒』言ってたのは夏先生ですよ。」

「それもそうだね〜。」

 まあ、あっさりと矛先を変えることには成功したが。

「おっと、そーきたか。」

「『そーきたか』じゃないよ〜。俊夏さん!あやちゃんのことをどう思ってるの〜?ちゃんと愛してくれてるの〜?」

 得意の声マネを交えながら、綾嶺さんは夏先生に詰め寄っていく。

「ああ、愛しているとも。元生徒としてな。腹黒なところも、実は純情なところも可愛げがあっていーじゃないか。」

「も〜!嬉しいけど、元生徒(その肩書き)じゃ満足できないんだよ〜!」

 そう言いながらも綾嶺さんは赤面してしまっている。

 純情というのも間違いではないのかもしれない。

 ただの腹黒じゃなかったか……。

「それはそうと、デカイの。お前、目的を見失ってないか?」

「え…?あっ〜〜!」

 夏先生の指摘を受けて、綾嶺さんが俺の方に向き直る。

「とっしーくん!よくもやってくれたな〜。」

「はぁ…」

 今のは綾嶺さんが自滅しただけじゃないか?

「こうなったら、とことん聞かせてもらうよ〜!」

 矛先がこっちに戻ってきたか…

「なんの話でしたっけ?」

「もぉ〜!トボけてもムダなんだよ〜!」

「はぁ…。俺が好きな人とか、気になっている人でしたっけ?」

「そうだよ〜!早く言っちゃいなよ〜!」

 好き…?

 それに気になるね…。

「綾嶺さんのことはさっき言ったとおりですね。」

「うんうん。」

「冬華は唯一の肉親で、嫌いになるわけないですし、生活面とか、学業面とか、気になるところは腐るほどありますね。」

「なるほど〜。」

「綾音は毒舌ですけど、友人としては当然好きですし、いざという時は頼りにしてますね。」

「それから〜?」

「新はなにしでかすかわからない分、かなり気になりますね。」

「まだいけるよね〜?」

「夏先生も、新とは違う意味でなにしでかすかわからないんで、その他いろいろ含めて気になる一人ですね。」

「へぇ〜。」

「そんなもんですかね。」

「そうなんだ〜。」

「はい。」

「……………。」

「……………。」

「……………。」

「……………。」

「誰か足りなくないかな〜?」

 短い沈黙の後、綾嶺さんがそっと口を開く。

 それを聞いて、俺はここにいるメンバーの顔を順に見ていく。

 綾嶺さん、冬華、綾音、新、夏先生…

 最後に目に入ったのは、部屋の隅で膝を抱えてしおれている奏だった。

「かなやんのことは好きでもなんでもないの〜?」

 綾嶺さんの問に、俺は声を出して笑う。

「そんなこと、あるわけないじゃないですか。奏とは人生のほぼ全てを一緒に過ごしてきたんですよ?笑ったりケンカしたり、これまでいろいろありましたけど、奏がそばにいなかった人生は考えられないですよ。」

 俺の回答に、なぜか空気が大きく変わっていった。

「おお〜!」

「にぃに…。」

「さすがね。」

「よし、帰るか。」

「んー?夏先生おつかれさまっす!」

「やっぱもうちょいいるわ。」

「おおー。」

「……………。」

 冬華とあやね姉妹はなにかを悟ったようにアイコンタクトを取り、夏先生と新は即興コントを披露、奏はさらに顔を埋めて細かく震えている。

「ねえねえ!とっしーくん!例えばの話なんだけど〜。」

「なんですか?」

「かなやんがね〜、他の男の人とお付き合いすることになったらどう思う〜?」

「買い物ぐらいならいいんじゃないですかね。」

「そうじゃないよ〜!ここでいう『付き合う』は〜、『恋人になる』って意味だよ〜!」

 ああ、そっちか。

「奏をどこの馬の骨ともわからん奴に渡すわけないだろ?なにいってるんすか?」

「あわあわ、音ちゃんどうしよう…。とっしーくんの顔がマジだよ〜。」

「姉さん、俊秋はもとからそういう顔なのよ。だから問題ないわ。むしろ、まずいのは奏の方ね。」

 そう言い残して綾音は、膝を抱えた体勢のまま、頭から煙を出して横に倒れている奏のもとへ向かう。

「あー、解散、解散!今度こそ帰るぞー。」

「おおー。夏先生おつかれっす!」

「…………お前も帰るんだよ。」

「おー!とっしー、またなー。」

「じゃ、綾たちも帰るわ。奏ももうダメそうだしね。」

「かなやんはこっちで面倒見るから安心してね〜。」

 夏先生の一声で、場は一気に解散の流れとなる。

「冬華、今回は後片付けを全部お願いするわ。」

「うん!任せて♪」

「じゃあまたくるね〜。」

 瞬く間に準備が終わり、みんなは俺の部屋を後にする。

「………なあ、冬華。」

「なにかな?」

「俺、なにか変なこと言ったか?」

「…………………にぃに……。」

 大きなため息をつき、冬華は部屋の片付けへと向かう。

 荷物を置いて俺も手伝うが、今日はこの後もずっと冬華の反応はイマイチ悪かった。



 ー翌朝ー

 日直の冬華を先に見送ってから、支度を終えて、教室へ向かうべく自分の部屋から出た俺は、同級生たちの熱烈な歓迎を受けた。

「いい朝だな。そう思わないか?なぁ?俊秋。」

「そうか?外は土砂降りだぞ?」

「そんなことはどうでもいい。ところで、昨日はなにやらお楽しみだったみたいだな?」

「は?」

「お前の部屋から『顔を真っ赤にした奏ちゃんが朝帰りしていった』との情報が寄せられている。いったいなにがあったのか詳しく具体的にしっかりと訊かせてもらおうか?」

「お前、なにを言って…」

「『綾音(あやね)ちゃんに似ている巨乳のロリっ子を連れていた』との情報も入っている。どうしてお前はこう…、()()なんだ⁉︎」

 残念ながら、そいつも「綾嶺(あやね)」だ。

 それにまた「あれ」かよ。

 「あれ」って本当になんなんだよ?

「『綾音ちゃんがお前の部屋から出て来るのを見た』と言っている奴もいる。大きいのも小さいのも楽しもうって魂胆だったんだろ?」

 どういう意味だよ。

「普段から、あの可愛い冬華ちゃんと暮らしているんだろ⁉︎まったく羨ましいぜ!」

 そのとおりだ。

 よくわかっているじゃないか。

「それに、『冬華ちゃんの作る飯は絶品だ』って聞いたぞ!夏先生からな!」

 あの野郎…

「頼む!俺らにも冬華ちゃんを分けてくれッ!」

「分けるわけないだろ?冬華に手ェ出したら、殺すぞ?お前ら。」

「「「「「………すまん。」」」」」

「クソッ!撤収だ!覚えてろ!このロリコンがッ!」

「シスコンめ!」

「巨乳好き!」

「貧乳もな!」

「男色野郎!」

 俺はそんなオールラウンダーになった覚えはない。

 それに、最後のはなんだ?

 お前ら、本当は俺の部屋に誰がいたのか、事情をある程度知っているんじゃないか?

「とっしー、なんの騒ぎだー?」

「新、あいつらお前のとこにも来たのか?」

「んー?来てないなー。」

「────ッ!理不尽だーーーーー!!!!!」

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