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厭世のアプリオリ  作者: うどんぎつね
1/1

拉致、そして邂逅

習作かつ試験的な作品になりますのでお目汚し、申し訳ありません。


と予防線を張ったところで、どうぞ。

目覚めて暫くしてからの事だった。



押しても引いても開く事のない扉との格闘を終え、白い壁に白い天井、狭く殺風景な部屋の中央に置かれた、ベルベット調の椅子に腰掛けてから、もう随分経つ。


どういった経緯を経て、なぜこの様な場所に軟禁されねばならないのか。


額に手を当て考え込んでもどうにも記憶がはっきりしない。


自分の名さえ、思い出せない。


そうしてまた時が経ち、いい加減不安と焦りが募り始めた頃、何処からか声が響いた。


「落ち着いたかい?」


「はい、まあ、なんとか」


所在の掴めない声の主に訳も分からないまま返事をする。


言葉こそ労うようなものだったが、口調は何処か巫山戯ているような印象を受けた。


「長らく待たせてすまなかったね。今開けるよ。」


目の前の固く閉ざされた扉がカチリと音を立てた。


彼は恐る恐る扉を開き、外へ出る。






その先は長い廊下となっていた。


「所々分岐している道があるが、真っ直ぐに進んでくれたまえ。」

例の声が促す。


臙脂色のカーペットが敷かれ、壁には無数の絵画が掛けられている。

高価な代物であろうカーペットを踏み締め、暫く歩いていると、ある違和感に気付いた。


絵画だ。何の変哲もない油絵には間違い無いのだが、どうにも描かれている内容が不可解だ。


荒野に聳える建造物、野原にて戯れる動物達、多くの人々が闊歩する大通りの情景。


そのどれもが皆、"この世"には存在すると思い難い姿形をしていた。


ワイングラスのように湾曲した形状に、青白い光の筋が張り巡らされ、妖しく発光している塔。


兎のような姿をした動物も額に見覚えの無い、突起状の器官が備わっている。


大通りを往く人々にしてもそうだ。

奇怪な服装をしていて、人種も見事に統一性が無い。


単なる想像上の創作として片付けてしまうのも容易いが、彼はその絵画達に得も言われぬある種の説得力を感じていた。


廊下を進んだ先にまたもや一つの扉に行き着いた。


「開いているよ。入りたまえ。」



今度は確かに扉の向こうから声が聞こえる。


全身の筋肉が緊張により強張るのを感じた。

仕方の無い事だろう。

壁の向こうに居るのは、自分を現在進行形で拉致監禁している存在なのだから。


導入の導入って所です。本格的な展開は後程。

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