第2話「知らない場所」
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《____マス__起きてください》
頭の中で機械のような声が響く。
「いったぁ……」
何やら地べたで寝ていたらしく、私の可愛い体のあちこちが悲鳴を上げている。
起き上がりながら、周りを見渡してみた。
何やらレンガのような造りの壁に、大きな朱色のお洒落な扉。
窓はひとつもなく、あるのは部屋の真ん中にある何故か浮いている大きなひし形の黒い石。
家具なども一切ない殺風景で小さな部屋に、私はいた。
「ここどこぉ!?」
×××
どれだけ時間が経ったか分からないけど、とりあえず落ち着いた。
もう一度自分がいる部屋を見渡して、私は拉致され、監禁されているのではないかと推理する。
いやまって。
美香は、あの時突然消えた美香は、無事なんだろうか。
消えたのか、目に見えない早さで拉致されたのかは分からないけど、そんなの人間では到底できないだろう。
だって、20人くらいいる高校生を、いっぺんに攫うのに結構な人数が必要になる。
しかも、私たちの学校は、私立のセキュリティ万全な進学校だ。
「まあそんなこと考えてもしょうがないよね!」
やけくそになって、扉の前まで歩く。
開いてくれよ! と願いながら押すのか引くのか分からない扉を押す。
《マスターレベルが足りないので、ダンジョンから出ることが出来ません》
起きる時に聞いた、あの無機質な声が、頭に響いた。
「ゑ?」
マスター? ダンジョン?
「…………ど、どういうこと?」
《………………》
なぜか何も無い空間に質問する頭のおかしい奴みたいになった。
いや、本当にどういうこと?
《…………おめでとうございます。あなたはダンジョンマスターに選ばれました》
結構な間を開けて、よく聞くと女性っぽい声が聞こえた。
「ダンジョン、マスター?」
《マスター室中央にあるダンジョンコアに触れてください》
言われるがままに真ん中に置いてあったひし形の石、ダンジョンコアと呼ばれたものに触れる。
ブォンッ。
そんな音と共に、目の前に濃い青色の四角い、例えるとディスプレイの様なものが現れた。
そこには、部屋の鳥瞰図の様なものが描かれていた。
部屋は1つしかなくて、図の左上に『マスター室』と書かれている。
図の真ん中にあるひし形のコアと、洒落た扉があることから、此処のことだろう。
「で、私がこれを見せられた理由は?」
馬鹿は理解が遅いのである。
ちょっと嫌な予感がしなくもないけど、無事帰れることを願うのみ!
《……………………おめでとうございます。あなたはダンジョンマスターに選ばれました》
×××
どうやら私は本当にダンジョンマスターとやらに選ばれたらしい。
とても認めたくないけど。
ナビ子さんと呼ぶ事にした機会声の持ち主によると、私はダンジョンポイントと言うものを集めて、このダンジョンを育成しなければいけないらしい。
なんの為に? と思ったけど、どうやらダンジョンを育成しないと私は死ぬらしい。
それは「ダンジョン攻略的なことをされると、大幅にダンジョンポイントが減少して、ポイントが尽きると死に至る」というもの。
だから死ぬ気でポイントを集めないといけないと。
「…………めっっっっんどくっっさ!」
私の声が、小さい部屋に響く。
ベッドに思いっきり飛び込みたい気分だけど、あいにく家具は何も無い部屋にいる。
客人なんだからもてなしてくれてもいいんだよ。
客人か何かもわからないけど。
取り敢えず、目が覚めてからずっと気になってたことを言いたい気分になる。
「なんで私、全裸なのかなぁぁ!?」