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子持ち銀蠅

蠅の群れの下から出た首吊り女の死骸の頭を、皆で静かに眺めていると、熊のアイコンが口を開いて喋りだした。


『見ているわね。』

熊の目がキョロキョロ周りを見渡した。

『ようやく気付いたのね。』

熊の目がみるみる吊り上げって行く。


すると、熊のアイコンは牙を剥いて喋りだした。


『お母さんを殺した世の中達よ!死んで罪を償いなさい。お母さんがどんなに赦しを乞うても、お前達がお母さんを許さなかったように、私も絶対お前達を許さない!!!

赦ざないがらなぁぁぁぁぁぁぁ!』


声は男の声で低く、不気味な吃りがあった。


香がふと回りのモニターを見ると、蠅が全体に飛び散り、1つのモニターに1匹づつとまっていた。


『香さん大変です!この蠅全部子持ちです!』

突然信次が叫んだ。


すると同時に、総ての蠅がウジ虫を産み出した。


すると、50のシステムに少しずつエラーが出始めた。


『あり得ないわ!』

香が言った。


『幾らなんでも50もの巨大なシステムを総て同時に操るなんて、いくらスパコンでも無理よ!

私のスパコン『聖母被昇天』と『受胎告知』までをも操っている事になるのよ!』

香が珍しく考え込んだ。


暫く考え込んでいた香はハッとした。


『量子コンピューターだわ!』


香は信次の方を向いた。


『中国の量子コンピューター『南京大虐殺』と、

ロシアの量子コンピューター『チェルノブイリ』を、

誰かか操作してるんだわ!』

香は驚いている。


『量子コンピューターなら私のコンピューターウイルスも入り込めないわ、でもそれは犯人も同じことよ!

量子コンピューターを中国とロシアの許可無しに、遠隔操作で操るなんて不可能よ!

そうなると犯人は、量子コンピューターを所有しているとしか考えられないわ!

つまり犯人もダークマターカードの所有者よ!

中国とロシアから、こっそり莫大な暗黒資金で量子コンピューターを買い取ったんだわ!』

香は恐怖していた。


『犯人はきっと単独犯よ!一人だわ!しかも、私と同じタイプの人間よ!』

香は恐怖していた。


『しかも、世界大戦が目的だとしても、政治的な理由からではないわ、個人的な世の中に対する恨みから来るものよ!』

香は次々分析した。


『そうと分かれば、まず私がこのウイルスを食い止めるわ!

こっちもドイツから量子コンピューター『ベテルギウス』と『アルデバラン』を買いとるわ!』

香は次々指示を出した。


『それでは失礼いたします。』

そう言って武井が香の胸をまさぐり出した。

『武井?何やってるの?』

香が武井を不思議そうに見た。

『いや、私また香さんのダークマターカードを取り出そうかと思いまして。』

武井がニコッとした。

『今回カードはそこの財布に入れてあるわ、取り敢えず武井、話は後で国会の答弁で聞かせてもらうわ。』

武井を軽くあしらった香は、次々と指示を出し始めた。


香は国際電話でドイツ語をペラペラ話し、いつもの感じでドイツから量子コンピューター二台を買い取った。


『早速

右手に『ベテルギウス』を、

左手に『アルデバラン』を、繋いで頂戴!

量子コンピューター2台を操作するとなると、私の脳の処理速度のレベルを1段階高くしなければならないわ!

脳に相当の糖分が必要になる。

急いで一番糖度の高いガムシロップを入れたペットボトルを100本用意して頂戴!』


香は信次の方を向いた。

『信次くん、ここからが重要よ、サイバーテロなんて所詮イタチの化かしあいで埒が明かないものなの。

だから私はこの侵食を食い止めることしか出来ないの。

つまり、相手のアジトを探しだして物理的攻撃を仕掛ける方がてっとり早いのよ!』

香は指示を出している。


『そこで信次くん、犯人の居場所を突き止めて欲しいの!多分犯人は日本に居るわ、そして、日本の過去30年で起きた首吊り事件と、その回りで起きた不可解な出来事などを調べて欲しいの!

あと、女の子の酷いいじめも全部洗い出して欲しいの!特に蠅というあだ名の付いた子がいないか全国の学校に急いで連絡して見つけ出して頂戴。』

香は次々指示を出している。


『おやっ?』

香が左上のモニターを見て驚愕した。


『信次くん?あの海上保安システムのモニターを見て!

カール・ビンソンとニミッツ、何かこっちに来てない?』

香の顔が青ざめている。


『来てますね。』

信次が唸っている。


『その二人友達なの?』

智子が聞いた。


『智子ん、カール・ビンソンとニミッツは人じゃないの、アメリカ最強の原子力空母よ!小型核兵器も積んでるの!あんなのが日本に来たら、警視庁なんてひとたまりもないわ!』

みんなが青ざめている。


『先ずはあの原子力空母から食い止めにかかるわ!』

香が物凄いスピードでカタカタと量子コンピューターを操作し出した。


『信次さん?あのモニターの蠅って、一匹やっつけるのにどれくらいかかるんですか?』

智子が信次に聞いた。


『相当かかるよ。香さんも言っていたけど、あの蠅は自分の意思で次の行き先のモニターのシステムのプログラムを解読し、自分の意思でそのプログラムに合わせて自分のプログラムを書き換えているんだ。

それも物凄い処理速度の早さでね。

ちょっとした人工知能さ!

一匹がスパコン1台分の処理能力を持っているんだよ。』

信次が唸っている。


智子は香が心配で堪らなかった。


『信次さん!見つけました!』

香が苦戦して9時間程たった頃、一人の男が信次の元へ慌てて駆け寄ってきた。


『静岡に住む遠藤典子と云う女です。』

男が信次に報告した。


『各県の教育委員会に連絡して、総ての教師にしらみ潰しに聞いて貰いました。

するとこの遠藤典子と云う女だけが、香さんの言う条件を総て満たしていました。

因みに巨乳です。』


信次は驚き、それを直ぐに総理に報告した。


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