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以前の事件から一ヶ月が過ぎていた。

香はあの後一週間眠り続け、最近ようやく体調を取り戻し、久しぶりに智子と喫茶店でまったりとしていた。


すると突然物々しい音がしだした。

香は嫌な予感がした。


『俺の女!俺の女はいるか!』

また総理大臣の武井が、香を怒らせるような事を言って入ってきた。


『居ました総理!香さんです!』

付き人の男が二人を見つけるや否や武井を呼んだ。


『香さん!大変です!』

武井が駆け寄ってきた。


『あんたさっき俺の女って‥‥』

香が怒りかけたとき、それに被せるように武井が話し出した。


『香さん、大変なんです。警視庁の地下のサイバーテロ対策本部に、蠅が一匹翔んでいるんです!』

武井の顔が青ざめていた。


『蠅くらい自分達で始末しなさいよ!』

香が怒った。


『違うんです!モニターの中を翔んでいるんです!』

武井は青ざめている。


『嘘?モニターの中を?』

香も少し青ざめている。


『分かったわ、私も行って見てみるわ。』

香と智子はそう言って総理の車に乗り込んだ。


香と智子が警視庁の地下にある、サイバーテロ対策本部に着くや否や、また信次が香に駆け寄ってきた。


『香さん、ヤバイっす。』

信次も青ざめている。


『蠅はどのモニターにいるの?』

香は50程あるモニターを見回した。


『今はあそこです!』

信次が一つのモニターを指差した。


『今は?』

香がビックリしている。


『そうなんです香さん、あの蠅、50あるモニターの中を自由に行ったり来たりしているんです。』

信次が青ざめている。


『マジでヤバイわね。』

香も真剣に蠅を見つめていた。


『香?何でヤバイの?』

智子がキョトンとして質問した。


『智子、これは本当にヤバイのよ。』

香が青ざめて説明しだした。


『先ずね、この50あるモニターは一つ一つがそれぞれ違う仕事をしているの。例えば、あのモニターは原子力の制御装置を、あのモニターは交通機能のシステム制御関係を、それぞれが、日本を支える大きなシステムと繋がっているのよ。』

香は続けた。


『モニターに蠅がいると言うことは、そのモニターに繋がれている日本を支える大きなシステムが完全に解読されているということになるの。

完全に解読出来なければ、そのシステムに合わせた蠅のプログラムを作成することが出来ないのだから。

次に、その蠅を自由に飛び回らせるには、そのシステムを完全にハッキングしなければ出来ないことなの。

つまり、日本を支える50の重大なシステムは、どこかの誰かさんに、完全に解読され、ハッキングされている証拠なのよ。』

香は更に続けた。


信次くんに合わせてヤバイヤバイと騒いでいた大臣たちも一生懸命聞いている。


『一つのモニターに蠅がいれば、そのモニターに繋がれている、日本を支える重大なシステムは、完全にハッキングされている証拠なの。更に、その50あるモニターを自由に飛び回るとなると、50ある日本を支える重大なシステムを総てハッキングして、モニターからモニターへ移動する度に、次に移動するモニターに繋がれているシステムに合わせて、その蠅のプログラムを書き換えていることになるのよ。』

香は静かになった。


皆も事の重大さに初めて気がついた。


『中国とロシアのサイバーテロ攻撃が続いていたのでしょうか?』

武井が青ざめた。


『それは無いわ、私の送り込んだコンピューターウイルスは、神をも罰するウイルスよ、一度侵食されれば、そのパソコンに繋がれている総てのパソコンを総て処分しない限り治すことは出来ないの。

しかも、一台でも処分し忘れたのを起動してしまえば、またそのパソコンに繋がれた総てのパソコンは使い物にならなくなるわ。

中国はコンピューターウイルス『キリスト降架』で、

ロシアはコンピューターウイルス『キリスト昇架』で、

サイバーテロ組織の総てのパソコンは使い物にならなくしたはずよ。』

香は自信満々だった。


『きゃあ!!』

突然女の子みたいな男の叫び声がした。

『どうしたんだ!』

信次がそちらの方を見ると、真人がいた。

『こっちにも蠅がいます!』

真人は驚いていた。


(何だあのカマっぽい叫び方)

香はイラっとした。


『2匹目?』

香が驚いていた。


『こっちにもいます!』

誰かが3匹目を見つけた。


三匹が50以上あるモニターを飛び回っている。


『何処から沸いてきているのかしら。』

香は不思議に思っていた。


『信次さん、ちょっと来てください!』

金融関係のシステムを任されている美幸ちゃんが突然叫んだ。

『どうしたんだ?』

信次と香が駆け寄ってきた。


『このアイコンの裏から蠅が出てきたんです。』

美幸が震え出している。


見ると一つだけ大きな熊のアイコンが画面の右端にあった。


『このアイコン何でこんなに一つだけデカイの?』

香が不思議に思った。

美幸は黙っている。


すると、アイコンの熊の目がギョロギョロと辺りを見渡しだした。

『きゃぁぁぁぁ!』

美幸があまりの恐怖に叫び出した。

『信次くん、ちょっとこの熊のアイコン退けてみて、裏に何かあるのかも!』

『わかりました!』

信次は香の指示通り、熊のアイコンを退けてみた。


すると、裏から真人の顔のアイコンが出てきた。


『きゃああああ!』

香が叫んだ!


『美幸ちゃん、これはいったい?』

信次が驚いて聞いた。

『私、ずっと前から真人さんの事が好きなんです。』

美幸が顔を真っ赤にした。


『う、嘘でしょ?』

香が驚きを隠せない。


『ちょ!この真人の顔のアイコンの裏にまだ何かあるわ!』

香はそう言って真人の顔のアイコンをゴミ箱へ捨てた。


真人の顔のアイコンをどかすと、そこには何か黒い塊がモゾモゾ動いていた。

みんなが恐る恐る見てみると、何かに蠅が50匹ほど集っているようだった。


『うわぁぁぁ、信次くんちょっと!蠅の集っているそのアイコン、少し揺らしてみて。』

香が気持ち悪がっている。

『はい、わかりました!』

信次はそう言ってアイコンを少し揺らしてみた。

すると、そのアイコンに集っていた蠅が一斉に飛び散っていった。


蠅が総て飛び散った後には、腐った女の死体の頭のアイコンがあり、首にはロープが巻き付いていた。


どうやら首を吊った女の頭部が腐っているようだった。


『何このアイコン!キショイ!』

智子が叫んだ。


『死後二週間って所かしら?つまり二週間前からこの女の死体は熊のアイコンの裏にあったと考えて良いと思うわ。』

香が推測した。


『二週間も前から……』

真人が難しい顔をしていた。


香は少しイラッとした。


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