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2.転生を自覚
目を開けると見えてくるのは、人の姿のようなもの。
はっきり見ることができない。
耳をすますと聞こえてきたのは、人の声のようなもの。
はっきり聞き取ることができない。
どうやら知らない言語のようだ。
目を凝らし耳を澄ましていると、
『視力 が強化されました。』
『ヤイチ言語 を習得しました。』
抑揚のない声がすると、さっきまで見れなかったもの、
聞き取れなかったものを、次第に理解できるようになった。
キレイな顔立ちで黒髪の20歳ぐらいの女が、目の前に立っていた。
「よしよ〜し、ユーリちゃ〜ん イイ子だね〜」
どうやら子どもをあやしているようだ。
「ベッドでネンネしましょうね〜」
そう言いながら、女はひょいと俺を持ち上げた。
うわぁぁ!
あれ?なんで持ち上げられているの?
女にされるがままでいた俺は、次に気づいた時には小さなベッドで横になっていた。
俺、赤ちゃんになってね?
赤ちゃんになっていると自覚した時、
不思議な声の主との会話を思い出した。
そして同時に、前世での自分の人生を思い出した。