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1.転生のはじまり
朦朧とする意識の中で、抑揚のない声がした。
『自己意識 を獲得しました。』
意識が次第にはっきりしてくると、今度は別の声がした。
「 … … …」
理解不能な声のため困っていると、再び抑揚のない声がした。
『意思疎通 を習得しました。』
すると、先ほどまでの声を理解できるようになった。
「お主の意思を確認したい。」
なんだなんだ?誰だ?
「時空を超える耐性を持つお主に問う。再び”生”を望むか。」
え? 時空? 再びって? え? 俺死んだ‥‥の?
「左様。お主は死んだ。
お主の魂は、新たな魂に作り変わるはずだった。
しかし、お主は稀有なる魂。
魂に刻んだ知識・経験を失わず、時空を越えられる。」
荘厳だがなぜか親しみを感じる声のため
俺は徐々に落ち着きを取り戻し、自身の状況を理解した。
死んだのか…
…
…
でも…生き返れるのか…うん!生き返れるんだ!
生き返りたい!
生き返りたいです!!
「お主に与えた技能獲得能力を活かし、
新たな時空にて、魂の研鑽に努めて欲しい。」
そう声が聞こえた途端、意識がまどろんでいった。
のう…りょ…って…な