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恋愛禁止!?厳しすぎます、スター流の過去の掟!!

「一体、過去に何があったんですか」


おずおずと美琴が訊ねると、メープルは棒付きキャンディーを口に咥えつつ、彼女を頭のてっぺんから足の先まで観察し、口を開いた。


「あなた、恋愛経験はあるの?」


「はい。今のところ一度だけですが」


「相手はどんな子なの?」


「それは……言えません」


顔を真っ赤にして俯く。


彼女はスター流に所属し自己紹介をした日に李に一目惚れをしてしまった。


それから長い間片思い状態が続いたが、相手が同性だと判明し、その恋心は終わってしまったのだ。


そして現在、李はレイと名を変え、記憶を失い、敵対する立場にいる。


けれども惚れた過去は変わらないし、たとえ相手が記憶を失っていたとしても、当の本人の前で言うのはあまりにも恥ずかしい。


耳まで赤くしている彼女にメープルは口の中でゴロゴロとキャンディーを転がしながら話を続けた。


「あなたもスター流の一員なら、私がブラックリストに入っていることは知っているわよね」


「はい。実際に調べてみて驚いたんです。

こんな綺麗な人がどうしてリストに載っているのかなって」


「褒め言葉は多少の感謝をしておくとして、あなたはどうして私がリスト入りしたと思う?」


メープルの質問に美琴は顎に手を当て思案する。


リストに載るってことは、やっぱりムースさんみたいに大量虐殺をしたのでしょうか。


それともHNΩさんのように殺し屋をしていたのでしょうか。


でも、それなら世界各国の政府が黙っているはずがありません。


彼女が脱獄したにも関わらず、ムースさんの時と比べると世界の反応は薄く――というよりニュースや新聞にも一切取り上げることはありませんでした。


けれど、スターさんの反応はいつもより慌てていました。


やはりこれだけ憎悪を抱かれているからでしょうか。


悪いことをしてスターさんが直接牢獄送りにしたというのなら、少しは分かるような気もしますが、そうでもなさそうです。


「わかりません」


暫く考えても答えが出なかったので、その旨を正直に伝えた。


すると相手は肩を竦めて嘆息し。


「答えは恋よ」


「恋……ですか!?」


予想の斜め上をきく答えに、美琴は思わず彼女の言葉を繰り返す。


そしてますます頭の中にクエスチョンマークが浮かんできた。


「なぜ恋をしたらいけないのでしょう? 

失恋したら悲しいですが傷つくのは個人であって周囲に迷惑をかけるわけではないはずです。

もちろん、逆恨みとかで犯罪に走る場合もありますが……」


「私は別に相手を恨んだりもしていなかったし、両想いだったわ。

もちろん、犯罪なんかしたこともなかった」


「それなら、どうして地獄監獄に入れられたのですか?」


「当時のスターは恋愛は人を弱くするって考えだったの。

たぶん自分が失恋した時に本当に力が弱くなったからそう思ったのかもしれないけれど。

とにかく、彼はそのように考えてた。

だからこそ弟子達の弱体化を恐れ『恋愛禁止』の掟を定めたの」


「それで、破ったらどうなるんですか!?」


「破門よ」


「破門……! き、厳しすぎます~!」


あまりに厳格な掟に美琴はぐるぐると目を回してしまった。


現在のスターからは想像もできないほど厳しい決まりである。


「別に片思いも失恋も大丈夫だった。だけど、両想いは絶対に認められなかった。

どんなにお互いが愛し合っていたとしても」


するとその言葉に反応を示したのはジャドウだ。手を上げ自らの意見を口にする。


「スター様が懸念されるのも当然だ。

恋愛など人を堕落させる不純物に過ぎぬ。

闘いに生きる吾輩にとっては到底理解できぬ概念だ」


「あなたは当時と変わらない考えね。きっと不動もそうだと思う。

でも、周囲が敵だらけの中でカイザー、あなただけは理解を示してくれた」


カイザーは頷き。


「私は愛する者を守るという気持ちを高めることができるならば、より世界平和の為に闘う意思を強めるだろうし、人が人を好きになるのは個人の自由なのだから、制限するのはあまり褒められたものではないと会長に告げた」


「でも、スターはそれを認めず、却下し続けた」


ここでメープルは地面に視線を落とす。マットを見つめると、嫌でも過去が頭を過り、目に涙が溢れ出す。


「私は同門の男の子に恋をしたの。

彼は礼儀正しくて、親切でカッコ良かった。

厳しい修行で苦楽を共にしているうちに、私達はお互いに惹かれあった。

でも、その想いがスターにバレて私は破門された」


「……」


無言で見つめる美琴に近づき、メープルは更にもう一発掌底を食らわせた。


「あなたは掟を破った私が悪いと思っているのかもしれないけど、悪いのは掟を作ったスターよ! あの人があんな決まりを作らなければ、私達は今でもお互いに愛し合っていたはずなのに!」


美琴に涙を流しながら怒りの形相で往復ビンタを見舞うメープルに、ジャドウは酒瓶を取り出し、上に傾けて飲むと不敵に笑みを浮かべた。


「下らぬ。恋愛感情など長い時を経れば変わりゆくもの。

むしろお前はスター様に感謝すべきだ。

幸せな思い出だけを残したまま別れさせてくれてありがとう、とな」


「わあああああああああッ」


美琴の胸倉を掴み、メープルは鉄拳を幾度も見舞う。


辺りを黒い雲が覆い雨が降り出した。


闘いはまだ終わらない。

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