表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/108

ムースさんの成長!わたし、感激ですっ!

ムースの過去を聞いた美琴はどのような言葉を返したらいいかわからなかった。


以前から彼女が人に対して玩具と称するのには何かあるのではないかと思ってはいたが、まさかこれほどまでに凄惨な過去があるとは。


彼女の体験は五世紀も前のことであったが、美琴は実際に自分がその場にいるかのような錯覚を覚えた。それほど彼女の語り口は臨場感のあるものであったのだ。


故郷を歴史から消され、家族を失い長きに渡る時を地獄監獄の中で生き続けたムース。


そのような生活を送れば精神が崩壊するのも、監獄から出たいと思うのも当然だろう。


いかに悪人であるからといえども、当時の不動やジャドウのやり方は過激過ぎることは間違いない。


今の彼らはどのように思っているのかは不明だが、だからこそこの件を彼らに会ったら問いただしてみたいと美琴は思った。


もっともジャドウは失踪中で不動は入院中なのでだいぶ先の話になりそうではあるが。


そしてムースの話の中で美琴に二つの疑問が浮かんだ。


美味しそうにパフェを食べるムースに視線を向けると、彼女は食べる手を止め、自らのパフェを差し出した。


「食べてもいいですわよ」


「でも、これはムースさんのものでは……」


「ワッフルだけでは物足りないことは見ればわかりますわよ。

遠慮なさらずに、どうぞ食べてくださいな」


ムースがものを誰かにあげる。


それは以前の彼女を知る美琴からは信じられないものがあった。


人を玩具としか思わない大量殺人鬼であるはずの彼女が、自分にものを分け与える。


その姿に、先ほど話に出た謎の男の言葉を思い出した。


『必ず心を入れ替える日が来る』


ムースがこれまでの行いを反省しているかはわからない。


けれど今の彼女には少しずつ優しさが芽生えはじめている。


彼女の心の変化に喜びを感じながら、美琴はスプーンでアイスを掬って一口食べる。


口の中でバニラの香りと優しい甘さが広がっていく。


「とても美味しいです。ムースさん、ありがとうございます」


「喜んでくれてわたくしも嬉しいですわ。あなたのその笑顔、素敵ですわよ」


「……それは恋愛感情的な意味でしょうか」


「違いますわよ」


即座に否定するムースだが、美琴の背筋には冷たいものが流れていた。


パフェを完食したところで、美琴は先ほどの話で浮かんだ疑問を訊ねる。


「ムースさん、あなたは普通の人間ですよね」


「勿論ですわ。超能力はありますけれど」


「それではどうして五〇〇年以上も生きて、しかも外見に全く変化がないのですか」


美琴にとっては素朴な質問だったのだが、それを聞いた途端ムースはは目を見開き口に手を当て、盛大に笑い始めた。


何が可笑しかったのか美琴には見当が付けない。


涙まで浮かべて爆笑したのち、美琴に答えを言う。


「あなたは本当におバカさんですわね。

スター様から超人キャンディーの副作用について何も聞いていなかったのですか」


「超人キャンディーの副作用?」


美琴がスターからキャンディーを受け取ったのは李を捜索していた時だ。


偶然会ったスターに卒業式をすると言われ無理やり会長室に売れていかれ、そこで食べたのだ。


そのあとすぐに医務室に飛ばされ、その後も色々あったのでキャンディーについては自らが会得した能力に関する情報しか聞かされていない。


まさかそれに副作用があるなど、初耳だった。


「その様子だと聞かされていないようですわね。

仕方ありませんわね、わたくしが親切に教えてあげるのですから、感謝してくださいな。

超人キャンディーの副作用。

それは、食べると不老長寿になるのですわ!」


「な、何ですって!?」


ムースの口から放たれた衝撃的な一言に、思わず手からスプーンを離してしまう美琴。


スプーンは真っ直ぐ床に落ちていき、そのまま床を滑っていく。


すぐに我に返った彼女がスプーンを拾おうと椅子から腰を浮かせたその時、何者かが彼女のスプーンを拾った。


「会話に夢中になってスプーンを落とすなんて、集中力が欠けている証拠だねえ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ