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大変です!新たな脅威が現れました!

スターさんがチョコレートアイスの入ったカップをトレーに載せて持ってきました。


カップの中に入ったアイスクリームはこげ茶色の光沢を放っていました。


小さな銀色のスプーンで一口すくって口に運んでみますと、アイスクリームのひんやりとした冷たさに滑らかな舌触り、そしてチョコレートの深いコクとほのかな苦みが伝わってきます。


もう一口すくってみますと、このアイスにはわたしが今まで食べたものとは違い、粘り気が強いことがわかりました。恐らくその粘りが舌に滑らかな食感を与えているのでしょう。


一口、また一口と飲み込むうちに、自然と頬が赤くなっていくのを感じます。


甘く優しく、けれどもほろ苦い――


その感覚は李さんが女性と知ってショックを受けた時の気持ちと同じものを感じます。


これが所謂「初恋の味」というものなのでしょうか。


「美味しいかね」


「とっても美味しいです。でも、どうしてこれほど美味しいアイスを不動さんには食べさせてあげないのですか」


そうなのです。


スターさんが持ってきたアイスのカップは二つ分。


部屋には不動さんもいますから合計で三つ必要なはずです。


彼は部屋を出る際に不動さんの姿を確認していますから、彼の存在に気づいているはずなのですが……


すると不動さんがギロリとわたしを睨み。


「俺は甘いものが大嫌いな性質でな」


「でも、美味しいですよ。少し、味見をしてはいかがでしょうか」


一口すくってスプーンで彼の口元に持って行きますが、彼はまるで汚物を見るかのような目をして顔を歪ませるばかり。


無理強いする気はありませんので、自分の口にアイスを入れましたが、これほど美味しいものを食べないというのは些か人生を損しているように思えます。


大満足でアイスを完食し、片づけが終わったあと、スターさんがにこやかな笑みで切り出しました。


「そういえば、先ほど不動君が血相を変えてここに入ってきたけど、何かあったの?」


「ギクッ……」


いきなり痛いところを突かれて、思わず口から変な声を出してしまいました。


先ほどから考えないでおこうと、全力でアイスに現実逃避していたのですが、どうやらここまでのようです。


組織の長である彼に隠し事はいけませんから、わたしは先ほどのテレビのニュースの件を彼に話すことにしました。


「スターさん落ち着いて聞いてください」


「その反応を聞く限りだと、君達が結婚するとか?」


「違いますっ!」


人が真剣な話をしようとしている時に、どうして彼はこのような冗談を口にするのでしょう。


わたしでは彼のボケにツッコミを入れて話が進まないため、目線で不動さんに交代の意思を伝えます。


それを受け取った不動さんは、威圧的な目で彼を見て重厚な口を開きます。


「ムース=パスティスが地獄監獄を脱獄した。アメリカが大混乱に陥っている」


「不動君、君の冗談は笑えないね」


「冗談でない。コレは事実だ」


「まさか――にわかには信じられないけど……」


「見ればわかる」


不動さんがテレビのリモコンのスイッチを押しますと、テレビに映し出されたのはアメリカはニューヨークで浮遊しながら、攻撃してくる戦闘機や戦車をのミサイルや砲弾を蹴りや拳で次々に弾き返している少女の姿でした。


その映像を見たスターさんは顔中に滝のような汗を流し、思い切り引きつった笑みをして。


「あー、不動君と美琴ちゃん。わたしは急用を思い出したから、これで失礼するよ」


「逃げる気だな」


「席を立たないでくださいっ」


立ち上がる彼を二人で左右の手を掴んでソファに強引に座らせ、詰め寄ります。


「地獄監獄はジャドウが管理人を務めていたはずだ。奴は今、どこにいる?

なぜ、よりによってあの女を脱獄させるような大失態をしでかした!?」


「ムースさんという方について、詳しく教えてくださいませんか」


「わかったから、そんなに顔を近づけないでおくれよ」


彼が手で制しますので、わたしたちが渋々距離をとりますと、彼は指を鳴らして一瞬で姿を消してしまいました。


「あの野郎! よりによって最悪の奴の始末を俺に任せるとは!」


不動さんは吠えてソファを手刀で一刀両断にしましたが、彼がそうなるのも無理はないでしょう。


「スターさんがいなくなったということはつまり――」


「察しがいいな。

俺とお前の二人だけで、ムースをどうにかしなければならなくなったということだ」

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