目黒さんの底力!怨みのパワーって恐ろしいです!
目黒は怨みを力に変える能力の持ち主である。
他人から怨みの力を吸収することも、自分自身の怨みを力に変えることもできる。
今回の場合は、敢えて李の攻撃を受け続けることにより、自らの内から湧き上がる怨みを増大させ、戦闘力を飛躍的に上昇させたのだ。
全身から放出される紫色のオーラに圧倒され、李は僅かに後退する。
その間に目黒は銃を手に取り、怨みの力を注ぐ。
すると銃は一瞬にして長剣へと変形した。
「お前の狙いなど想定済み。
殺し屋ともあろう男が残弾数を把握しないという凡ミスを犯す訳がなかろう」
「じゃあ、さっきはわざと撃っていたと?」
「その通り。お前と俺では戦歴と頭脳が違うんだよ」
頭をコツコツと叩いて先ほどの屈辱を返す。
そして翼を活かした猛スピードで接近すると、クリンチに捉え、ガラ空きとなった腹に膝蹴りを打ち込む。
「ガフッ」
李が口から吐き出した血が顔にかかるが、目黒は冷笑を浮かべて膝蹴りを続行。
幾度にも堅い膝による攻撃を食らった李の腹にはダメージが蓄積されていく。
「どうした。李さんよ。俺が少し本気になっただけで、もうお手上げか?」
前のめりに倒れ込んできた彼女の背に両手を組んで作り上げた拳を食らわせ、地面に倒すと、そのまま右足で彼女の背をグリグリと踏みつけ甚振る。
「ぐ……あああああッ!」
「痛いか、苦しいか? ならばもっと苦痛を与えてやろう」
目黒は大きくジャンプをすると、己の全体重をかけて李の背を踏みつける。
「ぎゃ……あああああッ!」
叫び声をあげながらも、李は己の慢心から生まれた敵の大反撃の前に、近くに生えている雑草を強く握りしめる。
唇を噛みしめ、悔しさのあまり涙が零れる。
捨て身の作戦ならば勝てると思った。
けれど最初から僕は敵の罠に嵌められていたんだ。
全ては計算づくで、掌で踊らされていたに過ぎなかった。
一生懸命考えた作戦だったけれど、結果は全身に酷いダメージを負って、敵に反撃されただけ。
僕は何て馬鹿なんだろう。
カイザーさん、僕はあなたの跡を継ごうと頑張ったけど、あなたを超えられるような器ではありませんでした。
ダメな弟子で、本当にごめんなさい。
目黒の攻撃は肉体よりも彼女の心に深い傷を与えた。
目黒は彼女の身体を反転させ、涙で真っ赤に腫れた目を見て笑い声をあげる。
「お前泣いているのか?
戦闘中に涙を流すとは、強がっていてもお前は所詮、か弱く男に守られているだけの少女に過ぎなかったと言うわけだ。
お前に倒された奴がこの顔を見たら、あの世で爆笑するだろうな」
「何とでも言うがいいさ。
僕はもう君に反撃する力も残っていない抜け殻なんだから」
「いよいよ覚悟を決めたようだな。
では、その心意気に免じて一撃で葬り去ってやろう」
目黒は一度、彼女の喉元に剣の切っ先を突きつけると、羽を使って上空へと舞い上がる。そしてスコープで彼女の細い喉に狙いを定めて一気に急降下していく。
「死ねーッ!」
赤い目を爛々と輝かせ、迫ってくる目黒。
李はもはやこれまでと観念し、自嘲の念もあるのか口元に笑みを浮かべ、瞳を閉じた。




