李さんVS忍者軍団、闘いの決着!そして謎の人影が……
「キャッ」
三人の忍者のうち二人が異形と知った美琴は短い悲鳴を上げるが李は動じない。
それどころか微かに笑みを浮かべ。
「君達の正体は鬼だったのか。でも、一体誰に雇われたのかな」
「そのような重大なことを貴様のような女に吐けるか」
「吐かないのなら仕方がない。君達の人生はここまでだ!」
上空に舞い上がり錐揉み回転をすることで炎を纏った蹴りを作り出した李は、それを銀色の忍者の甲板に見舞った。
蹴りはそのまま銀色忍者の胴を貫き、見事な風穴を開ける。
李が地面に着地したのと同時に銀色忍者の身体は後方に倒れて爆散した。
爆風の威力に美琴のロングヘアは風に靡き、砂埃が舞い上がる。
周囲が埃に覆われる中、彼女は軽く咳き込みながらも李の姿を探す。
だが、彼女も忍者達の姿も濃い砂風の前では探すことはできなかった。
「この光景は、まさか……」
美琴には思い当たる節があった。
この戦法は先ほど自分が忍者達にしてやられたことと同じなのだ。
彼女が確信を持っていると、砂の中から声が聞こえてきた。
耳を澄ませてみるとこのようなやりとりだった。
「畜生! あのアマ、何処へ隠れやがった!」
「美琴さんがやられた借りは返させてもらうよ」
「隊長、声が聞こえ……ギャアアアッ」
「何だと!? グフッ……」
煙が晴れた後に美琴が目の当たりにした光景は中央に李が立ち、左右に忍者達が彼女と向かい合っている姿だった。
だが、忍者達はピクリとも動かない。
それもそのはず。彼らは二人とも李の片方ずつの貫手により、心臓を貫かれていたからだ。
彼女が貫手を抜くと、二人も先の銀色忍者と同様に爆発し、跡形もなく消え去った。
「李さん、危ないところをありがとうございます」
美琴が丁寧に礼を告げると彼女は笑い。
「いや、お礼を言われるほどのことではないよ。当たり前のことをしただけだからね」
ここで彼女は言葉を切り、辺りに倒れた三人の忍者を見渡す。
起き上がる気配こそ感じないものの、李には彼らの心音から生きていることを察知した。
「他の忍者達は君が倒したんだよね。
でも、どうして彼らに止めを刺さなかったの?」
「……敵とは言え、彼らは生きていますから。
生きていればいつか改心をすることもあり得るでしょうから」
彼女の考えを聞いた李は顎に手を当てほんの少し思案した後に口を開いた。
「もしも私が君と同じ状況に置かれたら、間違いなく彼らを殺めていたと思う。
でも、君には君のやり方があるのだから、私はそれを否定しないよ」
「……ありがとうございます」
「周辺の敵は全て不動さんが一蹴したから、もう大丈夫だよ。君は負傷が酷いから、早く帰った方がいい」
彼女は美琴の手を取ると彼女に肩を貸して歩き出した。
彼女達が去って一〇分後。闘いが繰り広げられた路地に一人の男が現れた。
黒いソフト帽を目深に被り、黒いスーツを身に纏った男だ。
顔は青白く、右目にはスコープをはめている。
コートの腰部分からは黒く尖った悪魔の尻尾が生えている。
謎の男は倒れている忍者達の前に歩みを進めると、落ち着いた声で言った。
「起きろ」
すると声に反応し、三人の忍者が意識を取り戻し、ゆっくりと起き上がってきたのだ。
彼らは男の顔を見るなり、深々と頭を下げた。
「め、目黒様! 申し訳ございません」
「失敗したか」
「左様でございます」
「お前達が失敗したせいで俺が動かねばならんとは、実に怨めしい」
彼は忍者達に掌をかざして冷気を放出すると、彼ら三人を一瞬にして氷の彫刻へと姿を変えてしまった。
「お前達の怨みなど食っても旨くはないからな……あばよ」
回し蹴りの一発で三体の彫刻を粉砕すると、男はガラスのように砕け散る彫刻達を背にして歩き出す。
暫くコートのポケットに手を入れ歩き続けたものの、やがて男は足を止めてポケットから手を出した。
彼の手に握られていた一枚の紙で、そこには李の顔写真が大きく貼ってある。
「シャバに降りて早々、仕事の依頼とは全く怨めしい。
だが、依頼達成率一〇〇%の名誉にかけて、李を早々に殺るとするか。この殺し屋、目黒怨がな」




