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明らかになります!李さんとスター流の秘密!

どうしましょう。気づかれてしましました。


「何でしょうか」


一応返事をしますと、李さんは背後からわたしの肩に手を置いて。


「こっちを見てよ」


「でも……」


「いいから!」


李さんが強引にわたしの身体を反転させます。


李さんは仮にも男の子なので、その一糸まとわぬ姿を見る訳にはいきません。


なので瞼を閉じていたのですが、やがてそれも耐えられなくなり、遂に目を開けてしまいました。


すると、わたしの目に飛び込んできたのはふっくらと膨らんだ二つのお胸でした。


男の子はこれほどふっくらとしたお胸を持っているものなのでしょうか。


念の為に彼の下半身を確認してみたわたしは、衝撃の事実に気づいてしまったのです!


「李さんって女の子だったんですか!?」


「黙っていてごめんね」


頭を掻きながら謝る李さん。


正直このスター流道場に女の子はわたしだけかと思っていましたが、同性が他にもいて嬉しい限りです。


これで彼女が女湯にいた理由もわかりました。


でも、その結果としてわたしの初恋は失恋に終わってしまいそうです……


同性ということもあり、わたしは彼女と並んで温かな温泉に浸かります。


身体の芯まで温まるお湯に浸かり、湯気に当たっていますと地獄のような特訓の疲れが吹き飛んでいきます。


気持ち良くなっていますと、李さんが口を開きました。


「私が入門する前はスター流は女子は入門できなかったんだ」


「そうなんですか?」


「当時、スターさんは無類の美少年好きで美少年でないと入門できないという掟があったんだよ。

でも、私はどうしてもスター流に入りたかった。

幸いな事に背の高さや顔立ちからスターさんに女性的な美少年に間違えられて、私を気に入ってくれたこともあって入門することができたんだ。

一人称も『私』から『僕』に変えたりして、なるべく女であることをバレないようにしていたんだけど、ジャドウさんにバレてしまってね。彼の手で破門されそうになったんだ」


「それでどうなったんですか!?」


わたしが続きを催促しますと彼女は頷き、少し間を置いて話を再開しました。


「その時、私の指導をしてくれていたのがカイザーさんで、彼が私を庇ってくれたことによって私は破門を免れ、スターさんも女子も入門しても良いと許可を出してくれたんだ。あの時は本当に嬉しかった」


よく見ると李さんの身体には腕やお腹など沢山の痛々しい傷跡がありました。


今までは中華風の拳法服に覆われて彼女の素肌を見たことがなかったものですから、こうして間近で見ますと、これまで彼女がいかに過酷な修行に耐えてきたかがよくわかります。


温泉に浸かりながら彼女の話を聞いてみますとこれまで気がかりだった様々な謎が解けました。


まず、スター流は世界中の警察機関や軍隊と協力関係を結んでおり、彼らが手に負えないような凶悪な犯罪者や侵略者、獰猛な野生動物などから彼らに代わって闘い人々を守るのが主な仕事だそうです。


状況や相手によっては殺害することも世界的に許可されており、例え何千人も命を奪おうとも罪に問われることは無いのだとか。


考えてみればあまりにも恐ろしい権力超越団体ではあり、仮にスター流が世界征服などを目論んだ場合、この世は恐ろしいことになりそうです。


彼女の師匠格を務めていたカイザーさんはスターさんの弟子の中でも最強の実力者で、スター流の門下生を集めて結成したヒーロー団体「太陽天使隊」の隊長をしているとのことです。


ですが、普段は故郷のフランスでレストランを営んで商売繁盛しているせいか、中々スター流に顔を見せることはないとのことでした。


「あの、李さんはわたしを追いかけてきた忍者さん達についてご存知ありませんか」


わたしは入門するまでのいきさつを彼女に話しますと、彼女は急に歯をギリッと噛みしめ、震える手で握り拳を作りました。


「奴らは美琴さんにまで手を出してきたというのか!」


怒りのこもった拳で彼女が温泉のお湯を叩きますと、水が噴水のように跳ね上がりました。


「李さんは彼らのことをご存じなのですか」


「勿論知っているよ。いや、忘れる訳はないと言った方が適切かな。彼らは、私の家族を私を除いて皆殺しにした憎き敵なのだからね」


「家族を皆殺しに……!?」


「奴ら――暗黒星団は目的の為なら手段を選ばないのさ」


「暗黒星団?」


「スター流と対を成す、世界征服を企む武闘派集団だよ。

その目的達成の足掛かりとなる強力な能力者を得る為なら、何だってする外道の集まりなんだ」


わたしを襲った者の正体が暗黒星団という組織であることはわかりましたが、能力者というのがどうもわかりません。


彼女に訊ねようとしますと、突然、恩戦場の天井付近に設置されているスピーカーから声が発せられました。


「……美琴ちゃんと李ちゃんの入浴姿は最高だねえ」


声はスターさんのものです。彼はわたし達が入浴しているのを知っているのでしょうか。


しかも口振りから察するにわたし達のお風呂を除いている可能性も……?


疑念を抱きスピーカーを睨みますと、続きが聞こえてきました。


「しまった。つい本音が漏れてしまった……

わたしが言いたいのはそうではなくて。

スターコンツェルンビルにいるスター流の門下生諸君! 

とても大事なお話があるから、至急、会長室に集まりたまえ!」


本心がただ漏れなのが気にはなりますが、大事な話と言うのは何でしょうか。


彼の指示を聞いたわたし達は急いで温泉を出て服を着替えて、会長室に向かいます。


中に入りますと、スターさんの机の前には不動さんとジャドウさんの姿がありました。


軽く会釈をして李さんの隣に並びます。


すると窓の外から外の景色を眺めていたスターさんが振り返り、とんでもない事を口にしたのです。


「暗黒星団の配下である忍者部隊が千人ほどこの街に攻め込んでくるから、君達四人で迎え撃ってくれないかな」

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