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そうだ、旅に出よう。



朝の柔らかな日差しで目を覚ます。


僕は寝床にしているやたら神々しい、淡く光っている巨木から身を起こした。


どうも、僕はヴィオラという者です。

一見は下級魔物だけど、魔力量や細かいところはちょっと違う。

ローブを被っている姿で、顔が出る部分には丸いビーズみたいな赤い目が2つあり、それ以外は黒いモヤのようになっている。

下級の時はこの姿だったのだが、レベルが上がるにつれ変異したようで今は頭部を囲むように金色の細い輪っかが浮いており、額部分に水晶のような玉が付いている。その他にも、ローブがちょっと豪華になっているくらいだ。

また、大きさは変異前と変わらず40cmぐらいだ。



そんな僕は朝の日課として、寝床にしている巨木の周辺の掃除を開始した。

まぁ、掃除といっても落ち葉を集めて使えるものは保存、枯れてるものは燃やすだけだけど。因みに保存した落ち葉は薬に使用する。


この薬が効き目のいい万能薬になるんだよねぇ。

これを人間の商人とかに見せたら言い値で売れそうなんだよね。

僕はお金なんて必要としないけど、機会があったら人間に変身して売ってみようかな?




そんなことを考えながら掃除を終えた頃、1体のドラゴンが訪れた。

ヴィオラが寝床にしている巨木の根が張ってる範囲は大抵の魔物は侵入出来ないのだが、そのドラゴンは悠々と降り立った。


「久しいな、ヴィオ坊。気配が薄いと思うたら、こんなところに居たのだな。」


「おひさーだね。ラッドさんこそ、わざわざここまで来てどうしたの?」


ラッドさんは、全身真っ黒なドラゴンだ。寝床の巨木の回りに広がる森の主として、統括をしている。


そして、まだ弱かった僕が幾度となく挑んではフルボッコにされた相手でもある。

何十年か前に、激闘の末に勝てたけど、今も自分よりレベルは高いレベルだと思う‥‥この人全然衰えないから怖いんだよなぁ。



「ふむ、ヴィオ坊は勇者と呼ばれる人間が居たのは知っておるか?」


「え~と、何百年か前にまー君と遊んでた人だよね?

 フュンフ級魔法ごときを自身満々に使ってた。」


「遊んでいるんじゃなくて、一応は戦ってたのだが‥‥確かに遊ばれておったな。

 まぁ、その勇者の称号を持った人間が現れたらしくての。」



勇者とは実際に戦ったことはないけどまー君こと、魔王と戦ってる姿を見た感じはそんなに強くは無かったなぁ‥‥

なんせ、ツヴェルフ級まである魔法でフュンフ級までしか使えないどころか、戦うときの動き、剣の技術、その他諸々はもまぁまぁだったからねぇ。


ラッドさんがわざわざ僕を探して伝えに来るほど重要な話じゃないと思うけど他に何かあるのかな??



「今回の勇者は異世界から召喚した人間がなったらしくての。前回の勇者とは能力も違って来るそうだから警戒するように魔王から友人のヴィオ坊へ伝言を頼まれたんじゃ。」


そう言うとラッドさんが、物を収納したり取り出したりが自由に出来る空間魔法から2

枚の紙を取り出し、僕に渡した。


紙には一人づつ写った隠し撮りの写真が添えてあり、内容は召喚された人間の名前等の簡単な情報だった。


「魔王が持っていても損は無いだろうと、それを渡すようにも言われてのぉ。

 勇者にはちょっかいを出しても良いが、殺したりはしないようにとも言っておったな。」


「ふ~ん‥‥勇者のことはわかったよ。勇者じゃなくてもう一人の方なら手を出しても良いって事だよね?」


「ん?‥‥あー、良いのではないか?そやつについては何も言われてはないからの。」


「そっかぁ、じゃあまー君にもう一人のほうは僕のだから他の魔物に殺させないように伝えといて!」


「うぬ、了解した。‥‥全く今の若いもんは年寄りでさえも伝書鳩のようにつかうからのぉ、労って欲しいわい。」



ラッドさんは愚痴を言っているが、いつものことなのでそのまま魔王城へ向かう姿を見送った。




改めて、まー君からもらった2枚の紙を見る。

勇者の称号を与えられた人間は金髪碧眼の、人の価値観で見ると容姿は美形だ。

性格は正義感が強く、信じたものに一途過ぎるらしい。


「ん~。こっちはまー君の獲物だから、これ以上興味はわかないなぁ。」



もう一人は、勇者召喚の巻き込まれてこちらに来てしまったようだ。

黒目黒髪の中の上くらいの平凡的な容姿だ。

能力は隠しているが、勇者よりも力はあるようだ。

性格は不明だが、勇者となる人物にあまり良い感情は持っていないそうだ。



「能力は巻き込まれ君の方が上なんだぁ!それなら少しは楽しめそうだなぁ。」




久しぶりにここからでて、各地を回るのも楽しそうだなぁ。

召喚された二人も最初は弱いだろうし、強くなってそうな頃合いまで気楽に旅でもして時間を潰そう!

最近は対して戦闘してなかったから感覚を取り戻すのにもちょうどいいしね!



「さて!そうと決まれば寝床を片付けてすぐに旅立とう!

 ここら辺には特に用はなくなったしね。」





柔らかなクッションやシーツで作った寝床を空間へしまって、ついでに2枚の紙もしまっといた。

長くお世話になった巨木にはお礼として聖水の雨を降らせたら、どことなく喜んでいる感じが伝わってきた。








巨木の守りがある範囲からでて、暗く重々しい森の上空を飛ぶ。

飛んでる間に何体かの魔物に襲撃されたが、遊んでいる時間も勿体ないので全て叩き落とした。

巨木を囲む森を出ると人間の住む地域で旅をするには今の姿では不便なので、人間の姿へ変化した。

これで、僕よりレベルの高い人間や真贋を持っていない限り魔物だとバレはしない。



僕はウキウキしながら森から近くにある、まぁまぁ大きな町へ歩き出した。


ただ、近くといっても結構距離があるので町の周辺までは人間の足が出せないようなスピードで走っていった。




本文中に魔法の段階を説明するのを忘れてたので、ここで説明します。


魔法の威力が弱い方から、

アインツ

ツヴァイ

ドライ

フィア

フュンフ

ゼックス

ズィーベン

アハト

ノイン

ツェーン

エルフ

ツヴェルフ

の、12段階です。


因みに、ドイツ語での数字の読み方です。カッコつけたかっただけです。

間違ってたらスミマセン!

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