プロローグ
生まれた時から疑問に思っていた。
僕は何のために生まれたのだろう?
人間は僕らの存在を経験値を稼ぐための存在にしか見ていないであろう。
そして、同じ魔物達や魔族は僕らを見下している。
そりゃあそうだ。
だって下級魔物だもの。オークよりも弱いのが僕らだもん。
だから今もかなりのピンチに陥っている。
僕は下級にしては珍しいといわれる意思がある魔物だ。
ウィップという人間が決めたランクで最底辺のEランクの魔物。
スライムと同じく経験値稼ぎに役にたつらしい。
スライムと違うところと言ったら初級魔法を使えるくらいだ。
まぁ、その魔法も速度も威力も無さすぎるから、
避けて本体に一撃で呆気なく殺られる。
「あっちに行ったわよ!……ファイヤーボール!!」
僕らが群れになって寝床を作っている時に、冒険者達に襲撃をされた。
突然のことで仲間も混乱して次々と殺されていく。
僕は近くの仲間と共に冒険者達の攻撃を避けて森の奥へと逃げる。
後ろから人が走ってくる足音、魔法を詠唱する声が迫ってくる。
仲間と共に夢中で逃げていると、前を遮る木々がなくなった。
そして木々の変わりに目の前に現れたのは体長5mくらいはある魔獣だった。
そこからは一瞬だった。
目の前で魔獣に踏まれたり噛みつかれて、無惨に散っていった仲間たち。
僕は魔獣を認識した時点で近くの木陰に隠れた。
だが、他の仲間は混乱しているので魔獣に突っ込み簡単に殺されていった。
あとからきた冒険者達もあたりを飛び回っている仲間を殺している。
コレが、僕達に課せられた運命だなんて思いたくなかった。
そして僕は心から強くなりたいと思った。