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本が大好きなふたり。

作者: 七瀬

僕は時間があれば 『図書館』 に行く。

仕事のほんの僅かな空いた時間に、スーツ姿で行く事も

あるし休みの日は、ラフな格好で図書館に行っている。

本が子供の頃から大好きで、勿論、読むのも好きなのだが

本の匂いも大好きで図書館は、まさに僕の為にある場所なん

だと思っている。


あの静かな空間、読みたい本がたくさんある場所。

僕にとっては 『最高の癒しの場所だ。』


僕は図書館に来ると...? どの本を見ても興味をそそられる。

だから片っ端から借りて読んでいる。

ジャンルは関係なく、興味があれば何でも読む。

それは、哲学、ミステリー、医学書、推理、ホラー、恋愛など

何でも興味が湧けば読みたいのだ。

僕は本を読むようになってから、黒縁メガネをかけるようになった。

そしてその時間が、あっという間に過ぎていく。

人は好きな事をしている時は、時間が経つのがはやいものなん

だなと感じる。


そんな時、一番端っこの席で1人の女性が本を読んでいた。

彼女は真っ白なワンピース姿で長い黒髪を掻き上げながら

本を読むために目でゆっくりと文字を追っていた。

彼女の白くて細い綺麗な手で本のページをめくる姿に

僕はドキッとして僕のハートを持っていかれた。

彼女は息を飲むほど綺麗な女性だった。


しかし? ここは 『図書館』だから話しかける事もなく僕はただ彼女を

遠くから見ているだけだった。


僕はチラチラ隠れて彼女の事を見ていたけど......?

彼女は僕に気づいていない。




そしてあの日から、彼女をこの図書館でよく見かけるようになる。

はじめは、彼女とすれ違ったり、少し離れたところから見ていたり

そのうち僕と目が合うようになったり近くの席で本を読んでいたり。

僕にとっては図書館に行けば大好きな本と彼女に逢える喜びが増え

益々、図書館に行く事が楽しくなった。


彼女も僕の 『存在』 を少し気になるようになったみたいだ。




そしてあれから4ヶ月が経って、気がつけば僕たちはいつの間にか隣同士で

肩を並べながら、たまにお互い見つめ合ったり、お互いの本のいいところを

小声で話してみたり、彼女は僕の横で本を読む仲になっていた。


別に大した話をする訳でもなくイチャイチャする訳でもなく、ただただこの

時間が幸せだった。 『ふたりだけの空間。』


なんだか? 少しずつ彼女との【心の距離も縮んでいる】よう気がしている。


正直、彼女の事を何も知らない。名前すら......。

住んでいるところも、何もかも......。


それでも僕はいいと思えた。

だって! 彼女と一緒にいれるのだから。


彼女の事を知らなくても、心は通じ合っている。


この 『図書館』 と言う場所に僕と彼女が一緒にいる事が大事なんだ。

出逢いとは...何処にでもあるのだろう。

僕にもそんな場所があった。それが 『図書館』 だった。

彼女と逢えたのは図書館に来たから出逢えたのだ。

他の場所なら、彼女とは逢えなかったかもしれない。


お互いの事をよく知らなくても、心を通わせることは出来るんだなと思えた。

僕たちのように......。


僕は時間があれば、図書館に行く。

本を読むのと、ここに来れば彼女とまた逢えるから。

その時間の為に、他の事も頑張れると思えるようになった。

全て、この図書館と彼女のおかげだ。










最後までお読みいただきありがとうございました。

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