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9:最終話 終盤

「ひぃぃぃぃ~、何なんだよぉ~こいつ等ー。」

「もっとアッチ行けよぉ~。あっ、危ねぇー。」

「痛ぇ~よぉ~。いてぇ~よぉ~。」


京子先輩と修治が戦っている傍で、転がっている元イケメンの三人。

2人の攻防が間近くで行われていることもあって、鼻水やら涙を流して泣き言を言っている。

まあ、かく言うあたしも、あそこには近付きたくないんですが・・・。


修治の拳が打ち下ろしの右パンチを放つ。

京子先輩は、そのパンチをバックステップを三回行って躱し、距離を取ってニヤっと修治を見て笑う。


「修二君~ 凄いねぇ☆ すっかり念の力を物にしたみたいねぇ~。」

「・・・。」

「元の運動神経の良さもあって・・・惚れ直しちゃいそうよぉ。でも・・・私、修二君の弱点を発見しちゃったぁ。」

「・・・・!!」


パチっと修治にウインクする京子先輩。

修治は隙ありとばかりに、京子先輩に突進する。

京子先輩は、修治が突進してくるのにもかかわらず、両手を肩横まで上げ、十字架のように立ちつくす。

そして、そんな京子先輩の顔面に向かって、修治は右ストレートを放つ。

京子先輩は微動だにせず、時が立つのを待っていた。


こ、これはクリンヒット間違い無しだ。あたしの仕事終わっちゃうんじゃない!いぇ~い♪

楽して依頼達成できるとあたしの心は高揚する。後は徐霊の準備だぁ。ええっと~蝋燭どこだったけぇ。



「フフフ、やっぱりねぇ~☆」


殴られてるはずの京子先輩の無事な声が聞こえたので、蝋燭を探すのを中止して、京子先輩達を再度確認する。すると、修治の拳は、京子先輩の顔面に当たる直前に寸止めされており、その拳の風圧で京子先輩の髪がなびいていた。


ええっと、これは一体どういった状況なのだろうか。まったく動いていない京子先輩の顔面を打ち抜けず止まっている修治。もしかして、某マンガで有名な時を止めるス○ンドが発動したんでしょうか。そうじゃないと、この状況説明できませんがぁ!! まあ時止められていたら、あたしも動けませんが。


「・・・修治君・・・私を殴れないんでしょう。ウフフフ。」

「・・・。」


「ええ~!!ど、どう言う事ぉ~!?」


つい、驚きのあまり、あたしの心の声が大きく外に出ちゃいました。


「私の事・・・まだ好きなんだぁ~。フフフ、そりゃあ好きな子は殴れないもんねぇ~修治君は優しいから。可笑しいと思ってたのよ。修治君の運動神経があれば、私を圧倒できたはずなんだもんぉ~。」

「えっ、えっ、仕事しなさいよぉ!!」


ぶりっこに戻った京子先輩は、ピタリと修治の胸元に顔を寄せて、両手を腹に添える。

その光景を見た元イケメン2人は、きょ、京子先輩ぃ~っと泣いていた。

こ、こんなとこで大勢の前でイチャイチャやめてくれませんかぁ~。あたしへの挑戦状ですか?


「でも・・・私はこれっぽっちも思ってないわぁ!」


ズドーンっという音と共に、修治の体が浮かび上がる。そして口から血を吐いていた。

そして、背中から地面に倒れこむ。


は、発勁打っちゃったよぉ~。京子先輩って何者?


「あ、あずにゃん、すまない・・・。」

「ええ~い、役たたずめぇ!!」


あたしは、京子先輩に対し、構える。左手は印を結び、右手は鞄の中をゴソゴソしている。


「さあ、後は何のとりえも無さそうな貴方だけね。それともイケメン三人と・・・混ざる?」


ゴクっとあたしは唾を飲む。嬉しい提案を脳内イメージしてしまう。


「フフフフ、でも、相手してもらえるのかしらぁ~。」


こ、こいつめぇ~!!あたしを馬鹿にしよってぇ~。あたしの体がメラメラと闘争心が沸きだつ。

そして、右手が目的のものを掴む。


「そこまでよぉ、このビッチめぇ!!」

「爪楊枝が一杯入っている入れ物がどうしたのかしら?」

「見てなさいよぉ!!」


あたしは取り出した100均で購入した爪楊枝お得用の入れ物の蓋を開け、爪楊枝の持ち手を舌で舐める。あたしの唾液が全ての爪楊枝に浸透するように。


「き、きたねぇ・・・。」

「俺、あの爪楊枝、使えねえわ。」


おい、さっきまでビビって腰を抜かしていた元イケメンども、だまってらっしゃい!


「あたしの接吻により、命を得た者達よ。あたしの式神となり、敵を討て!!」

「「「!?」」」


すると、入れ物に収まっていた爪楊枝達が、宙に浮いて、一本一本が尖った方を京子先輩に向ける。


「いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


爪楊枝達が、自動で京子先輩に飛びかかっていく。京子先輩はその爪楊枝達の突進を余裕で躱していく。

でも爪楊枝達は、躱されてもまた向きを変え、京子先輩に襲い掛かる。


「諦めて刺さって下さい。京子先輩。」

「貴方、霊媒師って奴かしらぁ?それとも陰陽師?こんな馬鹿げた術を使う人初めて見たわ。」

「!?」

「ここに住んで長年住んでいれば、貴方みたいな人がこないと思ってぇ? みんな返り討ちしてあげたけど。」


確かに爪楊枝達の突進がいとも簡単に躱されている。・・・一応、とっておきの術があるんだけど。

動きを封じないと、避けられでもしたら、あたしの霊力が足りなくなる。


「さあ、生半可な中途半端な霊媒師さん・・・そろそろ死ぬ準備はできたぁ?」


爪楊枝達の突進を避けながら、少しずつあたしに近付いてくる京子先輩。


その時、ガシッと京子先輩が羽交い絞めにされる。


「今だ。あずにゃん!!」

「ナイスです、修治!!」

「なぁ、修治君、やめてぇ~。このままじゃああ、きゃあああああああああああああ!!」


羽交い絞めされて身動きできない京子先輩の体に、あたしの爪楊枝達が刺さっていき、刺さった箇所が青い小さい五芒星が出現し、ダメージを与えていく。羽交い絞めしている修治にも同じように爪楊枝が刺さり、ダメージを与えていそう・・・。


「これでぇぇ!! 止めだああああああああああああああ!! 串さじになれ!!」


あたしは裏野ドリームランドに来る前に、コンビニで買った焼き鳥の串を3本投げつける。


「はぁはぁ・・・このままで勝ったと思わないことねぇ・・。私がぁぁ!!私の念でええええ。お前を呪い殺してやるわぁ~。代々まで祟ってやるからぁ~、覚えてお・・・」

「もういいだろう・・・京子。」


あたしの投げた焼き鳥の串が、京子先輩でなく、庇うように体制を変えた修治の背中に食い込んでいた。

食い込んだ背中に大きな五芒星が出来ている。

かなりのダメージを負ったはずの修治は、京子先輩の頬に右手を当てて、何かを呟いていた。


「なんで、なんで、なんで、私を庇ったのぉ、修治!! あんなに突き放した私なんかを・・・。」


庇われて泣き続ける京子先輩の体を強く抱きしめる修治。そして、こっちを見て・・


「あずにゃん・・・俺の念の力も貸すから、さっきの爪楊枝でミラーハウス毎浄化できるか?」

「・・・・その為に、霊力残していたから。でも、本当にいいのぉ? 修治、貴方も消えるわよ。」


「ああ。構わない・・・俺達はもうこの世界には不必要な存在だ。」

「修治~修治~。」

「やってくれぇ。」


あたしは用意していた爪楊枝のお得用5個セットを取り出し、さきほど同様全部に唾液を浸透させ、ミラーハウスに次々と突き刺していく。


「行くわよぉぉぉぉ!!あたしの本日の霊力全部ぶち込んであげる!!はああああああああああああ!」


あたしが霊力を高めていくと、青く光っていた五芒星の輝きがドンドン強くなっていき、当たり一体を真っ白に染め上げる。


「ファイナルディスタンス!!!」


あたしがそう叫ぶと、その真っ白な空間が白い光線を360°関係なく、放っていく。そして、白い光が小さくなっていき、全て無くなると、そこには、ミラーハウスと修治、京子先輩の姿が無くなっていた。


「どうだぁ~やり遂げたわよぉぉぉ!!」


あたしは今日の分の全霊力を使い果たし、大の字で地面に倒れこむ。


「きょ、京子先輩が消えた・・・。」

「ミラーハウスもなくなってるぞ・・・。」

「ゆ、夢だったんかなぁ~。俺、殴られて痛い気がするんだが・・・。」


その時、また真っ白な空間が、あたし達の目の前に現れる。


ええええええ、もうあたし、霊力残ってないんですがぁ~ 一歩も動けないですがぁ!!


あたしの嫌な感じ通り、真っ白な空間に京子先輩が現れる。

でも、その京子先輩はおろおろしたように隣の空間を見つめていた。


すると、修治が現れる。


「あずにゃん、俺の依頼を受け、達成してくれたことにお礼を申す。」

「ふん、ちゃんと依頼金はもらうからねぇ。」

「後、京子も心を入れ替えたみたいで、このまま一緒に俺と行くつもりだ。」

「・・・。でも・・・本当に・・私と一緒にいてくれるの?あんなにひどいことしたのに・・・」


その時、京子の後ろからもう1人京子と同じ姿をした人物が現れる。


「一緒にいこうかぁ~♪ 」

「・・・京子・・・・あなたまで・・・。なんで、なんで、私なんかに・・・。」

「もう馬鹿ねぇ~。あなたも私、私もあなた・・・あなたがいてくれたから修治君と1つになれた。」

「でも・・・私は、修治君を・・・・ころ・・・。」


泣きながら何かを言おうとした京子の唇に、人差し指を当てるもう一人の京子。そして、うう~んと首を横に振り、


「大丈夫ぅ。修治君は、私達を愛してくれる。私達が少し道を間違えても、きっと味方でいてくれる。」

「ああ。何も心配せずに俺の後に・・・ついてこい。」

「う、うん。」


そして、修治の横にもう1人現れる。


「おい、修治。いつまで待たせんだよぉ!!このこのぉ~。」

「淳!?お、お前、大分前に・」

「アホかぁ~、大事な親友ダチ置いていけるかっちゅうにぃ!!」

「・・・俺は、お前の事をダチと思っていないがぁ。」

「おいおい~、ここに来て、それ言うかぁ~?」

「ハハハハハ、 さあ行こうか親友。」

「ああ。」


「待ってよぉ~!!」

「凜!?」

「なんでお前が此処に・・・。」

「あれれれ?京子さんお2人と修治君でいかせるとおもってぇ? 私も修治君好きなんですけど。」


「私もいるんだが・・・。」

「愛。」

「私は、鏡の京子、お前の事は許してないからなぁ!!・・・だから向こうでいい男紹介しろよ。」

「う、うん。」


「じゃあなぁ、あずにゃん。」

「ありがとう、あずにゃん。」

「・・・・・その・・・普通で何のとりえもないと言ったが・・・訂正する。お前はきっといい女になる。私が保証する。」


そういうと、白い空間が閉じて行き・・・黄金の光の粒が空へと上がっていく。


あたしは、その光景を倒れながら見送る。


「財布の場所教えてから、いけよ。」



その後、イケメン2人は倒れたあたしを置いて、これは夢だっとブツブツいいながら家に帰っていた。


あたしはどうやって帰ったかというと・・・


瞬君があたしをおぶって帰ってくれたのだった。

なんであたしにそこまでしてくれるんだ? これは・・・惚れましたか?あたしに。


フフフ、いいですよ。記念にそこ真っ直ぐ行ったとこにあるホテルで休憩しても。


「助けてくれてありがとう・・・。僕、京子先輩に操られていたのかも・・・。ええっと・・・。」

「黒木 梓です。」

「黒木さんが助けてくれたんでしょ・・・。ありがとう。」


そういって、家まで運んでもらって・・・何事も無く、ご帰宅される瞬君。

お父さんとお母さん、今いないといったんだけど・・・そのままご帰宅。



そして、あたしが本当の霊媒師であるという噂が学校内に広まり、


霊媒師としてのあたしの高校生活が始まるのであった。


霊媒師として活躍していくあたしの姿を拝見できるかどうかは・・・作者の気分しだいです。


・・・・END













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