7:最終話 序盤
「なんで・・・友達ができないんだろう。・・・あたしが田舎っ娘だからか。」
あたし、黒木 梓は、今年はれて高校一年生となりました。
中学時代まで山奥の学校で生活していたこともあり、あたしの純粋な心が都会を求めていた。
面白くない番組が多く、最新のアニメもほとんど放送しない。
服屋も最近のお洒落な呉服屋ではなく、おばちゃん思考が強い街中服屋さん。
学校も私の実家から1時間徒歩で一時間かかる。
その道中、田んぼのわき道を通ってくる必要がある。
勿論、最寄駅に新幹線が止まるこもない・・・というかその最寄り駅もバスを使わないといけないくらい。
そんな田舎生活にウンザリしていたあたしは親に土下座で頼み込んで、都会の学校(寮付き)に通わせてもらえることになった。高校受験に受かった時から、ドキドキしっぱなしで、何日も熟睡が出来ない日が続いたりもした。
学校が始まる一週間前から寮に住んでもいいという話だったので、あたしは、速攻向かいましたよ。
駅を何度も乗り過ごしたりしながら。
そして、部屋は2人同部屋という話を管理人さんから伺い、部屋に案内される。
一番乗りと思っていたのだけど、すでに相部屋の相棒が、部屋位置を決めていた。
窓際と取られて、真ん中にカーテンが敷かれていた。
あたしが入るなり、その相棒はよぉっと手を挙げて、そこで挨拶が終了となった。
なんで窓際全部取ってるんだよぉ~っと心の中で沸々と怒りが沸いたのだけど、お、大人のあたしはそ、そんな簡単に怒ったりしない・・・。そう、いきなりこんなとこで相棒と喧嘩しても、それ以降ギスギスした関係になってしまうしぃ~、でも、いきなりこの窓際全部取られて、半分をカーテンで仕切られて仲良くしませんよってアピールを・・・ぶつぶつ。
「あっ、こっち半分取って、ごめん。」
「あ・・・いえ。」
あたしがブツブツっと心の中で呟いていると、爽やかに短文で誤ってくる相棒。あたしはあっけに取られ、言葉が出てこなかった。
あ、先制攻撃もらったんだ。・・・こ、これで注意しにくくなるぅ!!この後、注意したらあたしとっても嫌な女じゃないかぁ~。
その後、何とも無かったかのように、言葉を交わすことなく、あたしは淡々と入口の半分のスペースに自分の荷物を整理していく。
テレビをこっちの方に置いて、その横に洋服ハンガー掛けを置いて、布団を引くスペースはここにして・・・う~ん、悩むなぁ~。
私が悩んでいると、白いカーテンがシャーっと開いていく。
「そんなカチカチっとダイヤル回すテレビ、私、初めて見た。」
「え・・・あたしの村では、一番安いテレビとして、現在も実用化されてますが。」
「アハハハハハハ~、そ、そうなんだぁ~。じゃあ、黒電話とかもぉ?」
「ありましたが・・・。」
「アハハハハ。」
さっきまで無表情だった相棒が、私の家具達を見て、腹を抱えて大笑いしていた。
非常に不愉快です。これが都会の洗礼でしょうか。
「アハハハ、よく笑ったぁ~。パートナーが自分みたいな人で助かったよぉ。私、吉川ありさ。これからよろしくねぇ。」
腹を抱えて涙を流していた吉川ありさは、四つんばいのまま、あたしに左手を差し伸べてきた。
「あたしは、黒木 梓。宜しく。」
あたしは差し出された左手に左手を重ねる。重ねると、ありさはニコリっと微笑み、可愛いエクボが出現する。ありさは、茶色に焼けた肌で身長は150cmかな。胸はあんましないかなぁ。あたしとは違ってマスコットキャラクターと言ってもいいくらい可愛い。あたしは、身長が同じ150cmで、胸はCカップ。スタイルも普通。顔も普通・・・とても特徴がない。
「梓かぁ~、ありさと梓。それに身長・・・私、とっても仲良くなれそうねぇ。これならアレが届いても無駄じゃなくなるかもぉ。」
「あれ?」
「ニヒヒヒ~、明日のお楽しみに。」
そして、次の日の昼頃に管理人さんから荷物が届いたと、連絡が入る。
「梓も手伝ってよぉ~。ちょっと重たくってさぁ~。」
「いいけど・・・。」
あたし達は、物凄く重い、長細いダンボールを4箱ほど部屋へと運び込む。
管理人さんも女の人だったので、女三人でこの荷物は中々キツかった。
「ハァハァ~、ところでこの荷物は一体何?」
「ニヒヒヒヒ~、私と梓の二段ベットだよぉ~。」
「え・・・でも、そんなのどうやって置くの?部屋の半分は埋まってしまうし・・・。」
「カーテン取っ払って、これを部屋の半分に置くつもりぃ。そして、テレビは私の使おう。冷蔵庫も私のでいいよぉ。私のだから私が優先とかにするつもりないから。一緒に使おう。」
「えっ、えっ。」
「・・・でこの二段ベットなんだけど、荷物置きの棚が四つあるから左半分は私で右半分は梓ね。使うベットなんだけど・・・私が下でいい?・・上って寝相悪かったら落っこちちゃうから。」
えへっと舌を出して、頭をコツンとするありさ。なんとも可愛らしいことなんでしょう。
あたしが男であれば、もうこのベットに押し倒してるんじゃないでしょうか。
それにしても、なんともいいあたしにとっていい提案を出してくるありさ。
本当・・・最初のイメージとは違って、ものすごく人思い出でいい人であった。
都会の人は厳しいとお母ちゃんが言ってたけど、こんなにいい人もいるんだなぁ~。
それから学校が始まるまでの時間、あたしとありさは友達になり、なんでもない会話をなにげなく話楽しい時間がドンドン過ぎていく。
そして、学校が始まり、あたしはワクワク感を募らせながら、組み分けされた教室に入っていく。
あたしは、1年A組で、ありさは1年B組だった。友達のありさとは違うクラスになったのが少し悲しいが、部屋に帰れば毎日会えるし、まあ、それはそれ。あたしは、このクラスでも友達を作ってみせる。田舎っ娘っぽさを出さなければ友達ができるとか聞いことがある・・。自己紹介が何より大事とか。
担任の先生が到着し、担任の先生の指示の元、男子から自己紹介が始まっていく。
そして、女性の番になり、あたしの番となる。
あたしは、勢いよく席を立つ。勢いよくたった為、足に椅子が当たり、後ろの席の人に椅子がもたれ掛る。
・・・無言で椅子を直し、仕切りなおして。
「フハハハハハハ!!あたいの名は、黒木 梓。そして、黒木 梓は世を忍ぶ仮の姿!!
霊媒師、あずにゃん!!ここに見参!!」
あたしが自己紹介すると、さっきまでガヤガヤしていたクラスメートがシーンと静かになる。
お、おかしいなぁ~。地方の中学でやった時は、盛り上がったのに・・・。
それ以降、同じクラスの友達が出来ることなく、淡々と時間が過ぎる。
あの自己紹介が不味かったのかなぁ~。
クラスメート達がコソコソ話で、痛い子と聞こえてきたしぃ・・・。
まあ、友達にありさがいるから、寂しくないんだもん・・・。(ちょっと強がる。)
・・・と思っていたら、夏休みが終わって、私が実家から寮に帰って来ると、ありさは部屋で荷造りをしていた。
「ありさ?」
「あっ、おかえり。」
「ど、どうしたの?その荷物?」
「あ・・・うん。 私、今日ここを出て行くんだ?」
「はい?」
「高校やめるんだぁ。」
「え・・・ど、どうしたのぉ?」
「あはははは。私、子供できちゃったんで、結婚するんだ。」
「え、えええええええええええええええええええええ!!!!一体いつ?何処で?誰と??」
ありさの発言に、あたしは驚愕し、荷造りしているありさの顔近くまで顔を近づけ、質問攻めしてしまう。
「バイト入ってすぐに、バイトの店長とそんな関係になっちゃって・・・
気付いたら出来ちゃってた。アハハハ。」
頭をかきながら、苦笑いするありさ。
「それでさぁ~、店長が私の妊娠を知ると、責任取るって言ってさぁ~。それで高校中退するんだ。」
「あ・・・ああ・・・お、おめでとう。」
あたしが友達がいなくなるという絶望で、声がでなくなっていたが、腹のそこから搾り出す。ありさは、あたしの言葉を聞いて笑顔でありがとうっと返答した。
本当、あたしと違って可愛すぎるよぉ~ありさぁ~。
何処のどいつがあたしのありさを寝取ったんだ!! メラメラメラっと怒りの炎が出る。
「それでさぁ・・・これ。」
ありさは自分の髪留めを外して、あたしの手の平に乗せる。
「これ、私と思って使ってくれない? 梓と一緒に卒業したかったから。」
「え・・・あ、あたしも・・・ありさと一緒に卒業したかったぁ。」
ありさの言葉に、あたしは心が打たれ、涙が頬を伝って、その涙を隠すようにありさの胸に飛び込む。ありさは無言であたしの頭を両腕で抱きかかえ、ありさの涙があたしの髪を濡らす。
そして、一年目の二学期が訪れる。
友達を失ったあたしは、ありさの髪留めを付けて、大人しく席に座っていた。
高校一年の夏を過ぎると、こうも景色が変わるものなのかぁ。
殆どのクラスメートが開放的な服装となっている。
もう夏何かありましたよぉっと言ってるような・・・あ、あたしにも何かイベントが起きてほしい。
「もう~私の彼氏がさぁ~。」
「私の彼氏ってさぁ。」
「俺の彼女が昨日・・・。」
お前等、カレカノって煩いんじゃボケ!!っと心の中で叫んでおく。
その時、緑色の髪をした可愛い系の150cmのイケメンがあたしの目の前に来た。
え、ええ・・・あ、あの・・・ここで止まる必要ないと思うんですが、あなたアッチのイケメングループの一員ですから。こんなとこで止まられたら、周りの女子から勘違いされるんですけど。
「・・・・黒木、梓・・・だな。」
コイツ、憑かれているな。
そう、あたしのイケメンリストの瞬君は、こんな声ではない。もっと可愛く、なぁんでぇ?とかちょっと甘えた声を出すマスコット的存在。こんな、オカルトチックな声じゃない!! はず。
「なに?」
「・・・お前に・・・頼みたいことがある・・・。」
「・・・・。」
「・・・あそこにいる・・・女に誘われた人が・・・いたら・・・・一緒に行ってほしい。」
憑かれた瞬君は、自分のイケメングループを指差す。すると、そこには見覚えない綺麗な女子が、イケメン達の真ん中でウフフっと笑っていた。
本当に見ない顔だけど、そんな中央で陣取っていたら、クラス中、いや、学年中の女子達に刺されるぞ。もう刺されてもいいんじゃないか?ビッチなんだろう?お前、ビッチなんだろう?
「・・・で、あの子に誘われたらって・・・。」
あたしが、逆に質問しようとすると、瞬君の憑き物が取れ、あれぇ?という顔をしてグループの輪に戻っていった。
「おい、瞬? あの女子と何か話してたみたいだけど、お前、仲良かったのか?」
「え、僕、喋ってたの?」
「ああ。何かこっちを見ながら、喋ったけどなぁ。」
「それより、今日、あの遊園地に夜9時に集合でいいかなぁ?」
「面白そうだなぁ。・・・でも先輩、なんで俺達を誘ってくれたんだ?」
「ウフフフ、お近付きになりたくてぇ。」
「そ、そんなに迫られたら、俺我慢できなくなりますよ、羽賀先輩」
京子は上から4つのボタンを外して、胸元を大胆に開けた格好で上目遣いでイケメン達を見ていた。
「あんなビッチの何がいいやら・・・。」
あたしは自分のそこそこの胸を見て、比較する。
「削ぎ落とすか。」
「なぁ・・・瞬。お前が声かけた・・・あの女・・・こっちを睨んでいるんだが。」
「えっ・・・僕の趣味じゃないんだけど。本当に僕、声かけてた?」
「じゃないと、こっちをあんなに睨まないだろう。」
「ええ~・・・。」
瞬が梓を後ろ目で見ると、目が合った梓は手を振る。
「ほら、お前じゃん。」
「記憶にないよぉ~。」




