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6:彩

私達5名は、真っ暗な夜道を歩き、まさに廃墟と相応しい遊園地に着く。

5名と言ったのは、竜君と謙一と光雄君と京子と私の5名。綾子は急に熱が出て動けなくなったとか。

私達は、綾子からのLINEに対し、それぞれ心配するような内容を返信する。


その後、私だけに綾子からLINEが届いて、光雄君を監視するようにお願いされた。

なんていう使命を託されたんだ私は。



「綾子がこれかなったのは残念だけど。私達だけでも命一杯楽しみましょう。」


先頭を歩いていた京子が振り返り、私達に向かって笑顔を振り撒く。

本当・・・私、男だったら京子に何回惚れたんだろうっと思ってしまう。


お姫様のような姿と、明るく憎めない性格をしている京子のギャップに、女の私でさえ可愛いと思ってしまう。謙一や光雄君はもう夢中になってるかもしれないなぁ~。竜君には彼女に対してそういう気持ちを持ってほしくないと心の中で思い、念じてみる。


「ど、どうした、彩?そんな怖い顔をして俺の顔を見て。」

「え、私、そんな怖い顔してた?」

「ああ。少し引くくらいに。」


竜君が私の顔を見て引くって・・・少し私の心に棘が刺さりましたよぉ。

ってか、私どういう顔をしてたんだ。


「さあ、今からこの裏野ドリームランドに入りたいと思います♪」

「な、なんか見るからに出そうだな。」

「お、おお。」

「みんな、ビビったのかなぁ?」

「「「ビビッてねえよぉ!」」」


京子の発言に対し、ビビッてないぞと答える男性陣。まあ、私は今すぐにでも帰りたいくらいビビッておりますが。元々、私、こういうお化け屋敷とか苦手なのぉ~。弟がリビングのTVで見てても、リモコン取り上げてチャンネル変える位。


「彩はそんな大きな胸をしてるから肝っ玉据わってそうねぇ。では行きますかぁ♪」


いや、胸関係ないし!というか私超ビビッて手足震えてるんですけど。気付いて。


京子は、門を繋いでグルグル巻きにされている鎖をぴょんと身軽に踏んで、そのまま門をくぐる。

男性人からすげーという声と、京子の運動神経の良さに私は驚愕する。


「竜なら真似できるか?」

「いや・・・俺も自信がないな。」


私達は、みんなで協力して門をやっとの事で、くぐり終える。


「それにしても、色んなアトラクションがあるんだが、何処に行くんだ?」

「お化け屋敷っていうくらいだから、あのお城じゃないか?」

「そこは、ドリームキャッスルって言って、噂では、生きてる人間を攫って拷問の限りを尽くしている人間がいるとか。」

「こ、怖いなぁ。」

「そうでしょ~。今でも夜な夜な叫び声が聞こえるとかぁ~。ほら?聞こえるでしょう。」

「・・・う~ん、京子が怖がらすから、本当に聞こえてきたよぉ~。ブルブル。」

「ああ、俺も聞こえた気がしたぁ。」

「そう、みんなビビリなんだねぇ。」

「「「ビビッてねえしぃ!」」」


「今日行くとこは、ミラーワールドっといって、そこの目の前の建物なの。」

「へぇ~、ミラーワールドって?あれかな?鏡の迷路になっている奴?」

「謙一君、よく知ってるねぇ☆そう、その迷路だよぉ~。でも此処も噂が合って、入った人が別人になって出てきたり、入った人が二度と出て来れなくなったとか。」

「まじ、怖いっす。私、もう帰りたいです、京子隊長。」


私は、京子の話もプラスされ、全力で走って帰りたいくらい全身が震えております。

京子に帰ると言ったのだけど、駄目ですぅ~っと簡単に断わられてしまう私。

その時、私の耳に誰かの声が聞こえる。


「こ・・・・さ・・・・き、・・・い・・・・た・・・れ。」


男の声のようだ。とても落ち着いているような声だけど、途切れ途切れしか聞こえない。


私は声を放った人を探すように、周りをキョロキョロと確認する。

竜君でもなさそうだし、謙一でもないみたいだ。ってことは光雄君か?・・・いや、違うみたいだ。


その時、もう1人の男子高校生の姿が見える。


「え?」


私は見覚えない男子高校生を見て、声を上げてしまう。すると、その男子高校生は下を向いていた顔を持ち上げて・・・すると、私とその男子高校生の間に京子が割り込んでくる。


「どうしたの?顔色悪いみたいだけど・・・何か見えた?」

「あっ、京子。さっき、そこで身長が高くて前髪で目元まで下りてる男子高校生が・・・あれ?」


京子の横からもう一度男子高校生を確認すると、その姿はなかった。


ひえええー、私見ちゃったよ、幽霊だよ、幽霊。取り付かれて、殺されちゃうんじゃない?


「そう・・・。それは大変ねぇ~。」


「でこっからどうする?人数分けて中に入るか?」

「そうですねぇ~、 めんど・・・いえ、彩さんの幽霊を見たという怖い発言もありましたし、私としては全員で入りませんか?」

「そうだなぁ~、お、俺もその方がいいと思うぞ。お化けは怖くない怖くない・・・。」

「わ、私も全員で行くの賛成!!」


光雄君が京子の意見にのっかかって、全員で行くといったので、私もここだっとばかりに挙手する。

あの幽霊がこの先出たとしても、全員おれば乗り切れるんじゃないかなぁ。


「じゃあ~行きましょぉ☆。」

「え・・・。」


京子が笑顔で振り返り、私達の顔を見た時、私は京子の顔から恐れを感じる。


え・・・なんでそんなに笑顔なの・・・。いつもの京子の笑顔じゃない。

なんでそんなに待ちに待ったみたいな顔をしてるの・・。

この先に何かあるの・・・。


でも、皆は恐怖におののく私を置いて、ミラーハウスに入っていく。

私は竜君の腕を取ろうと手を伸ばす。


だけど、京子が私が取ろうとした逆の手を引っ張り、竜君をミラーハウスの中へと引き込む。

そして、私の方を見て


「彩も、早く来てねぇ。」


その京子の顔は、笑っていなかった。上から人を見下してみる人の顔だ。


京子が怖い・・・な、何・・・こ、この感覚。竜君達が危ない・・・。

で、でも・・でも・・

竜君が京子に取られる・・・

それは嫌ぁ。


私は、みんなを追いかけるように、ミラーハウスの中へと入る。

そこは人1人が通るのがやっとの狭い道が鏡によって出来ていた。

そして、ミラーハウスの中は、不気味な緑色で覆われていた。


「いきなり初っ端から狭いなぁ。」

「迷路なんだからこんなものだろう。」

「まあ、それもそうかぁ。」

「・・・でも本当に雰囲気あるなぁ~。本当に幽霊が出そうだ。」


「なぜ・・・来た。」


私を除いた4人が会話をしながら歩いていた時、またあの男の声が、私が通り過ぎた入口の方から聞こえる。私は、無意識に後ろを振り返る。


「あ、あなたは・・・幽霊ですか?ガクガク。」

「・・・・此処は危ない。今の内に引き返せ。」

「え?・・・で、でも友達が奥に・・。」

「・・・・諦めろ。・・・あそこまで入ってしまったら、もう彼女のテリトリーだ。お前はまだ間に合う。」


な、何言ってるの?テリトリーって?? 


「うわあああああああああああああ!!」

「な、なんだああああ、これぇ!? 鏡に吸い込まれる。」


幽霊の男と喋っている間に、男3人の悲鳴が私の後方から聞こえる。

それは、竜君三人の声と認識し、慌てて後方を振り返る。


すると、信じられない光景が私を襲う。


竜君達がいた通路が、3人を押し潰すように2つの壁の鏡が迫っていて、その鏡が3人の両手を飲み込みながら、体の中央を目指すように突き進む。京子は動いている鏡の1つ後ろで、その光景を見ていた。


私は何とかしようと、一番後方で飲み込まれていく竜君に近付く。

何もせず立っている京子の横を通り過ぎて・・・


「みんなぁ~ ハァハァ、今すぐ助けるから。」


私は、竜君の腰にしがみ付いて、引っ張るように力を込めるが、微動だにしない。


このままじゃあ、みんなが・・・竜君が・・・。

京子手伝ってぇ!! 

私は、京子に助けを求めるように、京子の顔を見る。


「・・・無駄な事を。竜君から離れて、さっさと鏡に飲み込まれたらいいのに。」

「・・・え・・・。」

「あああああああ、助けてくれぇ~。なんで俺こんな目にぃ~。」

「なんなんだ、なんなんだよぉ~。」


謙一と光雄君は、慌てて必死で体を動かそうとしてるのに対し、竜君は、腰にしがみついている私を見て


「彩・・・君だけでも逃げてくれ。」

「無理ぃ~、私、置いていけない~。」

「・・・これ、京子がやってるんだろ。京子・・彩だけでも逃がしてやってくれないか?」

「フフフ、へぇ~、自分よりこんな胸だけの女を逃がしてほしいなんて言うの?本当、そんなとこ好きよ。ゾクゾクするわぁ~。・・・でも、誰も生かして返すつもりはないわ。」


その時、竜君に迫っていた2つの鏡が、竜君の肘部分まで飲み込んだ後、停止する。他の2人の鏡は動きを止めず・・・そのまま鏡に飲み込まれてしまった。


「でも・・・あなただけは当分の間、生かしてあげる。せいぜい私を楽しませてねぇ☆

 彩、あなたは要らないから、すぐに殺してあげるわぁ。私の養分になるまでもないわぁ。」


彩は小さな鏡を何処からか取り出し、それを地面に叩きつけて、鋭利にする。

そして、腰にしがみ付いている私を狙って、突き刺そうと手を振りかざした時、


竜君の腰をつかんでいた両手が何者かに外され、私は、その何者かに腹を蹴り飛ばされ、京子の後ろへと転がり飛ばされる。


「!?」

「ごほごほ、い、一体何?」


私は、軽く突き飛ばすように蹴られた腹を押さえながら押さえながら、状況を確認する。


すると、竜君の横に、あの幽霊の男が立っていた。


「修治・・・。」

「・・・京子、やめるんだ。」


その会話から2人が知り合いだということを知る。


「鏡に取り込んだ貴方が、どうして私の前に立ち、私の邪魔をしてるのかしら?」

「・・・彼等は、関係ないだろう。」

「私に意見するの? このミラーハウスの長たる私にぃ!!」

「・・・・。」

「私のこの若さを保つには生気が必要なの。鏡の中に取り込まれた修治にはわからないでしょうねぇ。鏡の世界とは違い、この世界には老化があるのよぉ。私が何時までも綺麗な私で入る為に、彼等には養分になってもらうの。」


「・・・京子・・・鏡に戻ってきたらいいだけだろう。」

「鏡なんて、面白くない世界に興味はないわぁ!!こっちには私を奮発させる物がいっぱいあるのぉ~。修治もわかるでしょう。・・・それに、私は修治に飽きたの。いつまでも生かされてると思ったら大間違いよ。」

「・・・凜達を消したみたいにか。」

「そうよぉ~。アイツは消したら私も消えてしまうから生かすけど、それ以外の者は私が飽きたら消してあげるわぁ!!大人しくしてなさいよ、修治!!」


「・・・俺は彼女を護る。」

「!?・・・修治、彼女とは面識ないんじゃない?なんで、そんなに護ろうとするのかしら?」


私はお腹を押さえながら、立ち上がり、その2人のやり取りを見る。


「ちょっとあの子に自分の姿が認識できたから、優しくしたの?・・・それと、少し彼女、凜と似てるわね。あの女狐にぃ~。」

「・・・ああ。今度こそ、護る。」

「・・・・・許されない出来事だわ。これは嫉妬かしら?」


そういった京子は後ろを振り向き、私を鬼の形相で睨み、襲い掛かってきた。


私は恐怖で体が動くことが出来ずに、京子の接近を許してしまう。

京子の持っている鏡の尖った破片が、私の顔へと突き出される。


その時、私達の左横に合った鏡から修治と呼ばれている幽霊が飛び出してきて、京子の体をタックルで右横の鏡に叩きつける。


「早く逃げろ。」


私は修治の言葉を聞くと、さっきまでガチガチだった体の緊張が取れる。そして、後ろにある入口に向かって全速力で走り出していた。


「・・・そう、それでいい。逃げてくれ・・・彩。」


私の耳に届いた竜君の最後の言葉、・・・ごめん。ごめんねぇ、竜君・・・みんなぁ。


「逃がすかぁぁ!!」


さっきまで大人しく倒れこんでいた京子が叫ぶと、私の前に大きな鏡が出現する。


あっ、止まれない・・・鏡に飲み込まれてしまう。・・・・竜君、ごめん。私も。・・・


・・・と思った時、修治が私の前に現れ、その全身鏡を拳1つで叩き割る。


粉々に飛び散る鏡が、緑の光を反射する。それは、大量の蛍が夜の暗闇を照らすような光を想像させる。


私は修治君の体をすり抜けて、そのままミラーハウスの入口を通り抜け、そのまま裏野ドリームランドの入口をくぐり抜ける。


「ごめん・・・ごめんねぇ、みんなぁ。」


「一匹逃がしたわぁ~、修治君。・・・まあいいわ。お目当ての者は確保できたし。」

「・・・・。」

「フフフ、そうねぇ~。そんなに強い念があるなら、また相手してあげてもいいわよ。この子の次にねぇ」



次の日・・・私は学校を休んで、朝から家でテレビを見ていた。


「昨日から行方不明の・・竜君達、3名は、現在捜索中で・・。家族の証言だと、裏野ドリームランド・・・。今お話しにあった裏野ドリームランドについてですが、10年前の高校生行方不明事件から、度々、行方不明者が出ているとか。その時の行方不明者は、・・・修治、羽賀京子・・・・。」


私はテレビを見ながら、竜君達が捕まったあの事件が夢でない事を認識しつつ、10年前の行方不明者があの2人である事を知る。


そんな時、私のスマホに着信が入る。

私は自分のスマホの画面を覗き込む。


・・・綾子からだ。



そして、数週間が過ぎ、・・・私達のニュースも取り上げられなくなる。

・・・後、学校にも復帰した私は、クラスメートが羽賀京子の存在を忘れていることに驚愕する。


そう・・・私だけ。私だけが、羽賀京子の事を覚えている。

光雄を失って泣き叫んでいた綾子も覚えていなかったのだ。


・・・また、彼女はどこかで、私達と同じことをしてるのかと思うと吐き気がしてしまう。

彼女の事なら、今度は生存者を出さないように・・・。



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