2:流れ
この後に書きたかった事が長くなりすぎて、次の話にしました。
少々こちら側の内容が薄くなり申し訳ありません。
本日中にもう一話あげたいと思います。
夜21:00になり、待ち合わせ場所であった裏野ドリームランド近くの駅に集合した俺達。
この駅は、裏野ドリームランドが営業していた頃は、人が絶え間なく行き来する活発な駅だったのだが、今では誰も降りたがらず、普通電車しか通らない無人駅となっている。
この駅から裏野ドリームランドまでは歩いて5分もかからない。
この駅は、裏野ドリームランドの為に作られたと言っても過言ではない。
噂では、裏野ドリームランドで帰ってこなくなった人達が、この駅から天界にいくとか・・・。
「さあみんな行こ~。」
主催者である京子の一声で、俺達は駅から裏野ドリームに続く道をスマホのライト機能を使用し、足元を照らしながら歩く。
京子の私服姿は、ほとんど見たことがなかった俺は、白いフリフリつきのワンピースを見て、花が似合う清楚なお嬢さんというイメージを頭の中で想像してしまう。さらに言い換えれば、ウェディングドレスに見えないこともない。これは俺の美化かもしれないが。・・・でも白い帽子に、白いヒール。白ずくめだな。
「私服姿の京子、いいんじゃないか? お前じゃなくても俺も目がいってしまうわ。」
「・・・お前は誰彼あれがいい、これがいいって年中言ってるだろう。」
「あんたら・・・目線がエロいんだけど。」
愛の私服は、VネックのT-シャツで胸元がチラっと見え、その上にジャージを羽織っていた。
気になる男がいないからって、ラフ過ぎだろうっと思う。
「修治君は~、こんな時間によく出かけたりするの?」
「・・・いや、・・・ひさしぶりだな。」
「そ、そう? 良かったぁ。」
そして、俺の隣を歩く凛。石鹸とシャンプの臭いで、お風呂上りであることがわかる。これから汚れる可能性もあるのに、なんで風呂入ってきたんだと思ってしまう。他2人の格好が凄く、凛の私服は可愛いねっと思えるような普通の格好であった。間違いなく、愛の私服よりはいいと思うが。
そんなことを話している内に、俺達は裏野ドリームランドに到着する。
裏野ドリームランドの錆びれた入場門は、草の根が巻きついているのと、鉄の鎖と錠で閉じられていた。
敦は錠に足をかけ、軽やかに入場門をくぐる。
くぐった後、手を伸ばし、女子達の入場門をくぐる手伝いをしていた。
俺は女の子達が、こちら側に倒れてこないように支える役を行っていた。
その時、少しお尻を触れてしまったが、これは不可抗力だ。
愛には、この野郎~っと目で睨まれていたが。
女子達が全員入場門をくぐったことを確認し、俺も淳と同様に錠に足をかけ、軽やかにくぐる。
運動神経抜群の淳と同様の事を行った為、女子三人からは、おお~っという声が上がる。
そして、京子の案内により、迷うことなく、俺達は目的のミラーワールドに辿り着く。
「着いたよ~。ここが私がお勧めするお化け屋敷スポットです。」
「へぇ~、京子が案内するくらいだから、あの屋敷、ドリームキャッスルだったけ?あっちを紹介するのかと思っていたんだけど。」
愛はそういって、ミラーワールドの奥で薄暗く光っているドリームキャッスルを指差す。
「そこも考えたんだけど。こっちの方が何かと面白そうで。」
「ここって確か、ミラーの迷路みたいになっているとこだよねぇ。自分の姿が映ってびっくりみたいな。」
「そうそう。自分が映って・・・」
「それでビックリするって、私達中学生じゃないんだから。」
俺達は5人は、愛の言葉に少笑し、その場の雰囲気が少し和らぐ。
「でも、この暗い中で見るミラーってのは、迫力あるもんだよぉ。私が保証する。」
「京子がそう言うんだったら、間違いないか。」
「じゃあさぁ~、2人ずつペアーになって入らないか?」
「・・・淳、私達5人いるんだけど・・・誰かハブれちゃうじゃん。」
「まあまあ、そん時はそいつが運なかったってことでさぁ。」
「時間的には先頭の人が入ったら10分後に入っていくってことでどうかな?」
「まあ、ミラーハウスくらいだし、それくらいでいいかも。」
淳の提案に、愛もしぶしぶノリ、俺達は、番号が書いてある箸をそれぞれ淳の手から引く。
「私、一番だ。」
「おっ、ラッキー!残り物には福があるってかぁ!俺が一番だ。」
京子と淳が一番の書かれた箸を引き当てたみたいだ。
俺はというと・・・。
「はぁ~、なんであんたとなのよ。」
愛が頭を抑えながら、俺のほうをチラっと見る。いや、俺のほうが頭を抑えたいくらいだ。
「修治、俺ちょっとトイレいきたいから変わって・・・・」
「わ、私・・・一人ぃ。ちょ、ちょっと怖いな。」
「なら、仕方ないわね。私が変わってあげるわ。」
「お、おい。」
淳が何かを言おうとしたのを遮って、怖がる凛とさり気無く番号を変えると言い出す愛。俺と淳はそのやり取りの速さに呆然とする。呆然としている淳の首根っこを掴んで愛は、淳に何かを言っている。
淳はチラッとこっちを見たが、わかりましたよぉっと言って、愛の拘束を解いてもらう。
淳の裏切り者ぉっと俺は目線を送ると、ごめんとボディーランゲージで誤る淳。
「それじゃあ順番は、京子・淳のペア、次は、私一人。最後は凛と修治でいいかしら?」
「うん、何でもいいよ。」
愛が取り仕切るかのように順番を決め、京子がそれに頷き、他のみんなも首を縦に振っていた。
なんか今、京子の言葉に棘があったかのように思えたが・・・気のせいか?
「じゃあ、悪りぃけど、修治。先行くわ。」
「・・・おう。早く出て来いよ。」
「わかってるよ。」
「それじゃあ行って来るね、みんなぁ~。」
淳に中で変な気を起こすなよっと注意する俺。分かってるわっという淳。そして、京子が僕の方を向いて行ってた事が気にかかる。・・・なんで僕の方を見て、みんなぁっと行ったのだろう。・・・きっと、気のせいだと思う。
「あれから十分たったけど、悲鳴も何も聞こえないわね。」
「・・・・ああ。」
「ゴールしたわけでも無さそうだし、私、そろそろ行くわぁ。」
「ごめんねぇ、愛。」
「いいって事よ。本当に恩に来てると思ったら、今度アイスおごってぇ。」
そう言って、にこやかに笑って、愛がミラーハウスの中に入っていく。
「ふ、2人っきりになっちゃったねぇ、し、修治君。」
「・・・・ああ。」
そんなに震えた声を出して喋られたら、こっちまで緊張してしまう。
真夜中、年頃の女の子と2人っきりなんて、意識していない女子であっても緊張するのに。
「あのぉ~・・・ちょ、ちょっと寒くないかなぁ。」
「・・・夏なのに、此処強い風が吹いているから。」
「そ、そうだよねぇ~。ちょ、ちょっと薄着だったんで、さ、寒くて。」
「・・・何か貸してあげたいとこだが、俺もT-シャツ一枚だからな。貸してしまうと裸になる。」
「そ、そうだよねぇ~。さすがに貸りるわけには、いかないよねぇ・・・見てみたいけど(ぼそ)。」
「何か言ったか?」
「うう~ん、 クション。」
本当に寒そうな凛の姿を見て、俺は少し凛との距離を近づける。
「修治君?」
「・・・こんな事くらいしか出来ないが。」
「う、うう~ん・・・嬉しいぃ。」
俺の服の裾を掴んで、何かを呟く凛。
余りにも小さく呟いた凛の言葉は、強い風によって途切れ途切れしか聞こえない。
とりあえず、喜んでもらえたみたいだ。
そして、愛がミラーハウスに入ってから十分くらいが経過した。
「入るか。」
「う、うん。」
俺の服の裾を引っ張りながら怯えている凜と一緒にミラーハウスに入る。
まず、入って驚いたことが、ミラーハウスの中が思っていたものと違った。
言葉にはうまくできないが、危険だという感覚が俺を襲う。
薄くらいはずのミラーハウスが、緑色の光がミラーハウス内部を照らしていた。
こんなに光っていれば、出口なんてあっという間に見つけてしまうのではないかと一瞬思ってしまったが、此処は廃墟になった遊園地施設だということを思い出す。
廃墟になった場所に電気が通っているわけがない・・・。なんだ、この光は。
「こ、怖い。」
俺の後ろにいた凜も、この状況に気付いたのか俺の背中にしがみついて、もう既に泣きそうだ。
2m×2mの正方形のミラーで構成されている迷路を、俺達はゆっくりと歩いて、奥のゴールを目指す。
緑色の光により、俺達の姿を映し出した虚像が、まるで化け物を映しているかのように気味が悪い。
3分も歩いていたら、自分達の映った姿を見た凜が悲鳴を上げながら、すでに半泣き状態になっている。
手も足もガタガタ震えてるわりには、しっかりと掴んだ俺の腰は離さない。
凜の胸が俺の背中に押し付けられ、柔らかい感触とほのやかに温い体温を感じる。
「やっと、来ましたね、修治君・・・と女狐。」
迷路の真ん中くらいなのか、ちょっと開けた場所で俺達を待っていた京子。
そして、俺の顔を見て機嫌よく喋ったかと思えば、凜を見て暴言を吐く。
・・・なぜ京子が・・・1人で此処にいる。・・・淳は?・・・後からいった愛は?




