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おなやみそうだん隊!  作者: 宇宙猫
学院にて
4/5

1-3

『おい開けろ‼』


『ふざけんのもいい加減にしろ‼』


『今すぐここを離れなさい‼』


聞こえてきたのは複数の怒鳴り声と扉を強く叩く音だった。

おそらく他のクラスの生徒だろう。生徒たちを押し返そうとする先生の声も聞こえる。

「なによこれ……」

天と菊が怯えている。情けないが僕も怖い。スィオネはまだ寝ている。

しばらくして声が遠ざかっていった。誰も口を開かない。

と、ノックの音が聞こえた。今度は先生のようだ。

「入りますよ」

天と菊はまだ怯えている。今までここまで露骨な悪意に晒されたことがなかったのだろう。

「先生……今のは何ですか?」

天が先生に聞いた。だいたい予想はつくが、詳しい事情を僕も知りたい。

「……全て学院長室で学院長直々にお話を伺ってください。今はこの部屋を早くでなさい」

確かにこの場から早く離れたい。僕らはスィオネを叩き起こし学院長室へと向かった。



「単刀直入に言います。この学院を出なさい」

入室してすぐ、唐突に言われた。遅れて脳がその言葉を理解し始める。

この学院長は自分が何をいっているのか理解しているのか。僕らを解放するということはいわゆる重要財を解放するということになる。天も菊もスィオネも天界では重要な地位についているー詳しくは知らないがーらしいし、僕も僕で猫種族最後の一匹としてこの学院に入れられたのだから。

それに何より……

「学院長!今此処を出たら俺らは根なし草になってしまいます!」

スィオネが叫ぶ。

そう、僕ら四人は全員通いではなく寮生活だった。だから学院から放り出されたらあっという間にホームレスになってしまう。学院長はそれをどうしろと言うのか。

「それと、学院を出る際に連れていってもらいたい方がいます」

ガン無視だった。

「入ってください」

これからどう生活すればいいのか。

最悪あの三人は種族街に戻ればいいが、僕の種族はもうない。まさかお邪魔するわけにもいかないし…………。

種族として申請して街を作るには何人必要だっけ。

どちらにしろ1人ではろくな街をつくることもできないか。この年で体の成長を止めてしまったばかりに子どもを残すことも難しそうだ。


「あ、あのっ……!初めまして!流星と申します!」

そこまで考えたところで聞き覚えのない声によって現実に戻された。立派な角は一見鹿種族のように見えるが、鹿種族と圧倒的に違うのは、尻尾。長い鱗に包まれた……今までこんな種族は見たことがない。

「あなた方には留学という名目で人間の世界に行ってもらいます。それで、彼女を連れていって欲しいのです。彼女は龍頭種族の皇女。絶対に粗相のないように」

「そんな……!むしろ気軽に接してほしいです!」


……はい?


龍頭種族の皇女といったら天界を統べるあの龍頭種族の?

つまり彼女は龍。学院長は何を考えているのか……。

ああ、天たちがいるならば、妥当か。

皇女サマの相手は彼女らに任せて……

「……え?あ、は?皇女様?えっ嘘……」

「おうじょさま…………はじめまひて」

「ふっ、ふ、ふふふ2人とも、お、おち、おち」

「まずお前が落ち着け」

期待して横を見たがまともな反応がない。

スィオネに至っては完全に気が動転している。普段しっかりしている最年長なのにこういうところで使い物にならなくなるのどうかした方がいいと思う。

しょうがないので僕が話しかけるしかない。

「お初にお目にかかります、銀河です。よろしくしたいのですがまずなぜ僕らについて人間の世界に行こうと考えているのかを伺ってもよろしいでしょうか?」

しかし僕の口をついて出たのは無礼にも程がある質問だった。天と菊は目を白黒させている。

しかたない。僕のハートも権力には勝てない。

「えっと、あの、私もよく分からないんです。とにかく人間の世界に行けと母上が…………」

おどおどとした様子で皇女サマが答えた。癖なのか自分の尻尾の先を抱えるようにしていじっている。

気が弱いのだろうが、権力をかさに威張り散らしてくる奴らよりはよっぽどマシだろう。

「そうです。とにかく早く出てください。天界の出立は夕刻、それまでは部屋で待機。それから、午後にあなた方の留学の発表を控えています。心の準備と出立の準備を整えてください」

「留学の発表って、生徒にですか!?」

「はいそうです。わかったらさっさと出てってください。あと、あなた方を学院名簿から除籍させおきますので」

そう言って棚から4本のペンを出して1本ずつ渡していく。このペンは入学式に自分の魔法力を込めて作らされたものだ。

このペンが学院長のもとにある間はこれが在学証明証になるらしい。

結局聞きたいことが何一つ聞けないまま部屋を追い出された。

むかつく学院長だった。


……ほんと、家どうしよう。




* * *




暗い。冷たい。何もない。





そんな中で少女は一人で座っていた。


もうなれてしまった。


彼女を邪魔するものはいない。


このままでもいいと思う。




しかし、もし、もしも叶うのなら、ここから……




* * *




部屋へ向かう途中、扉を見かけた。

行きは見ていない。同じ道を通っていた筈なのに。

見逃した訳ではない。学院長室で一緒になった流星様を除いてみんなが見覚えないといっている。

普通、見かければ忘れる筈がない。


こんな、印象的な……まるで牢屋のような扉なんて……。

どれだけ頑張っても3年前から文章力が上がっていない

下がっているとも思わない(思いたくない)が……

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