当たりかよ。
「ところで、アンタの名前聞いてもいいか?」
俺は縄を解かれた、いや結局俺が解いたんだけど、取りあえず縄から解放されたキザ狼に尋ねた。いつまでもキザ狼じゃ呼びづらい。
「あぁ、俺はギールだ。このキャンプにギーグっているだろ。あれの弟だよ」
ギールはそう言って笑った。
「あぁ!なるほど、そう言われてみると確かに目元とか……いや、わからんけど」
「そうか?よく似てるって言われるんだが」
いや、俺達からしたら爪の民はみんな同じに見えるっていうか……かろうじて声と格好で区別している状態なんですよね……。
「でも性格は似てないな。ギーグさんはもうちょっと真面目な感じだ」
「あ?あぁ〜、まぁそうだな。あいつはちと堅すぎるよなぁ……だがよぉ根本は同じたぜ?」
ギールの言葉に思い当たる節があった俺はフィル達に聞こえないようにギールに近付いて言った。
「……女好きか?」
「大当たり、にいちゃんはもうそこまで知ってんだな」
ニヤニヤしながらギールが肩を組んでくる。
「そうだ、俺もにいちゃんの名前聞いてもいいかい?」
「いいぜ、田中与一だ、ヨイチでいいよ。……て言うか他の爪の民から聞いてないか?」
「なるほど、ヨイチね……いやぁ俺はしばらくこのキャンプから離れてたもんでな。…………偶然かも知れねえが予言の稀他人サマと同じ名前だなぁ。なんか言葉も通じるしよぉ……ヨイチ、テメェまさか稀他人ってこたぁねぇよな?」
何だが少しギールの雰囲気が変わった気がする。
少し肌がピリピリするような、これは警戒?
「……俺は稀他人だけど?」
俺がそう言うとギールは軽くため息を吐いた。
「あ〜あ、当たりかよ」
そう言ってギールが俺の喉に向けて伸ばした手を、凄まじいスピードで現れたギーグが掴んだ。
「貴様、何故ここにいる」
「よぉ兄貴、久しぶりだな」
ギールはギーグの手を振り払うと高くジャンプして俺から離れた。
……俺今殺されかけたのか?
「大丈夫ですか⁉︎ヨイチ様!」
フィルが駆け寄ってきて動揺する俺の肩を支える。クリスティーナも一応来てくれているみたいだ。
「ギーグさん……あいつは、ギールは何者なんだ?」
「奴は俺の弟、誇り高き爪の民でありながら覇王に尻尾を振る、愚か者だ」
ギーグはギールを強く睨みつけながら言った。
……まじかよ。
「おらぁ別に奴の部下になった訳じゃねえよ。あいつぁ俺のダチだぜ?だがまぁ、一応六冠はらせてもらってる、友愛のギールだ。よろしくな、ヨイチ」
友愛のギールはそう言って笑った。




