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異ノ覇-コトノハ-  作者: 徳永慶喜
33/43

あんたを助けることは出来ない。

 

「おいにいちゃん。この嬢ちゃん頭いかれてんじゃないのか?」


 クリスティーナにいきなりイデアを喰らわせられ水をたらふく飲んだ後、蹴り飛ばされて凄まじい距離を飛び、岩に激突した上に何故かクリスティーナの荷物から出てきた縄で縛られただけでなくクリスティーナに槍で貫かれそうになったキザな狼男が言った。


「いや……俺もあそこまでやるとは…………」


 あれフィルが止めに入ってなかったら確実に刺してたよな……。

 クリスティーナ、やっぱやべぇ。


「自業自得です」


 クリスティーナは言いながらキザ狼を繋いでいる縄を引く。


「おい、解いてくれよ!俺は無罪だ。まだ何もやってねぇ」

「貴方のような者がお姉様に話しかけること自体が罪なのです。わかりますか?ギルティ、有罪、死刑!」

「おい誰か言葉のわかるやつを連れてきてくれ!この嬢ちゃんが何を言ってるのかまったくわからん!渡された指輪とやらが機能してねぇ!」

「残念だけど指輪は発動してるぞ、本当に残念だけど」


 俺の言葉にキザ狼が肩を落とす。

 何だろう、なんか気の毒になってきた。


「あの……私は別に何とも思ってないのですが」

「ダメですお姉様!こんなことを許していては他の者がつけ上がります!お姉様とは、目も合わせてはいけない。そこまで徹底すべきなのです」

「それはちょっと……私が寂しいのですが……」


 フィルが苦笑いで頬をかく。

 こいつの愛は自己中心的だなぁ……。


 というか。


「これってどこに向かってるんだ?」


 俺の質問に同調するようにキザ狼がクリスティーナを見る。


「いえ、柔らかくて掘りやすい土が無いかな、と思いまして……ちょっと、なにを逃げようとしているのですか?」

「ふざけるな!女を口説いただけで埋められてたまるか!」

「何故私が貴方を埋めないといけないんですか!貴方が掘って自分で埋まるんです!柔らかい土を探しているのは私の温情ですよ?」

「尚悪いわ!くっそ、にいちゃん、助けてくれよ!俺はまだ死にたくねぇ!」


 必死に俺に助けを求めるキザ狼。



 ……しょーがねぇなぁ!


「おい、クリスティーナ。流石にやり過ぎじゃ……」

「喋らないでください屑が。貴方も埋めますよ?」

「すまない狼さん。あんたを助けることはできない」

「もう少し頑張ってもいいんじゃあねえか⁉︎」


 だって怖いし。



 そんな俺の横でフィルが小さく息を吐いた。


「クリス。やめなさい」


 少し厳しめの声。何というか、お姉ちゃんって感じだ。


「ですが、お姉様……」

「いいですか?何度も言っているように、私はモテるんです」


 フィルの言葉を聞いてキザ狼が不思議そうな顔をする。

 あぁ、今までのフィルの優等生な雰囲気に騙されてたんですね、その子も大概アホの子です。


「私がモテるのは当たり前なんです。だって可愛いんですから」

「それはそうですが……!」

「いい加減慣れてください。私はこれからの旅でそれはもう幾度となく口説かれる事でしょう。ひっきりなしに、私の可愛さと美しさ目当てに。貴方はその相手を皆埋めていくつもりですか?」


 昨日の夜、俺達の会話を聞いて顔を真っ赤にしてた人の発言とは思えないな。あれなんだろうな、モテてはいるけどそこから先には発展しないんだろうな…………クリスティーナがいるから。


「私は口説かれても何とも思いません。私を口説いている人は私の何を知っているというのですか?何も知りません!そんな者に心を動かされるフィルルグではありません!私は、軟派な者には屈しない!」

「……お、お姉様……」


 何かよくわからないスピーチを終えてフィルは清々しそうな、そしてクリスティーナは感動した様子だった。





「……どうでもいいけど早く縄解いてやれよ」


 俺の素直な感想だった。


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