俺の出番みたいだ
皆様お久しぶりです。
やっと大学にも慣れてきました。
これからちまちまと投稿できたらなー、と思っております・・・・・・
控え室からごきげんよう。
武闘会も順調に進み、 上で今やっている試合が終われば俺の出番です、 はい。 上っていうのは控え室の斜め上に戦闘する場所があるってことね。 とりあえず一回戦だが、 俺は対戦相手が誰かなんて確認してない。 勝てるだろうっていう自信があるからであり、 決して見るのを忘れてたとかそんなオチではない。 断じて違うからな!
「でも、 俺の相手わからないんじゃなー …… 武器を合わせようにもできないじゃないか ……」
頭を抱えて悩んでいたところに救いはやってくる。
極、 稀に。
控え室のドアがノックされ、 俺が応じると見慣れたメイド服を身にまとった女性が一礼してから中に入ってきた。 その背後にはシュシュがいた。
「姫様が入場時間までの少しの間、 お話がしたいとのことでお連れいたしました」
「ああ、 了解。 ご苦労さま」
メイド服の女性はそう言ってシュシュを中に招き入れ、 己は部屋の外に出て行った。
入場時間までシュシュと話せるとか! もうこの試合勝ち確やな!
あ、俺の話し方は練習場での一件で敬語なんて使わなくなりました。
「てことでだ。 どうした、 シュシュ。 俺が恋しくなって会いにきたのか?」
「ち、 違うわよ! ただ、 スターク様は次の相手が誰か理解してるのかなーって思って、 様子を見に来ただけ!」
……はい、 どうやらこの子の勘はすさまじいみたいでございます。
「し、知ってるし」
「じゃ、誰か言ってみて?」
「すいませんでした」
俺が深々と頭を下げるのと、シュシュのため息が聞こえてきたのはほぼ同時だった。
仕方ないじゃない! まず、 興味がなかったんだからな!!
「そんなんだと思ったわよ。 よく聞いてね? スターク様の対戦相手はーーー」
シュシュは呆れながら一呼吸おき、再び口を開いた。
「格闘王アレイスター・タイガーなのよ!」
「あ、はい」
お、シュシュがずっこけた。なんもないところでずっこけたよこの子。
「反応薄すぎよ!タイガーは去年の優勝者なのよ!?」
「あら、そうなの?てか、格闘王ってことは素手?」
「そ、そうなのって……も、もういいわ。ええ、そうよ」
ふむ、素手か。 素手スキルってあんまし使ったことなかったから、ちょっとだけ不安だな。 うん、ほんのちょっとだけどね。 とりあえず、装備変えとくか……
―――――――――――――――
『さぁ、ついにやってきたぜぇ! 予選ラウンド最終戦だーーーー!!! ここで満を持しての登場! 前回大会の覇者、武国ローットレッツァの英雄! 格闘王という異名を持ち、剣聖スティーブ・ゼブラと同等、いやそれ以上とも噂されている男!!! アレイスター・タイガーの登場だー!』
実況の盛り上げとともに、予選最終戦でもあったためか会場のボルテージは最高潮となっていた。 そして、俺はふつうに登場。
こういう雰囲気嫌いじゃないぜ!
俺の向かい側から登場したのはアレイスター・タイガー。 もう見た目からしていかにも格闘家な感じの筋骨粒々な男です、はい。
「うおおおおお、バーニング!!!!!!」
……は? 突然叫びだしたんですが。 なにこいつ、まさかどっかの太陽神シュー〇ー様なのか?
「青年よ! 俺が格闘王アレイスターだ!」
「ア、ハイ」
いや、うん。 実況の人も言ってたからね。 もう把握してますよ、 はい。
俺の目の前、 だいたい二十歩程度の位置でこちらに人差し指を突き出しているおっさn……じゃない、 アレイスター氏。 とりあえず、 礼儀として名乗られたら名乗り返す。
「俺はスタークだ。 別に覚えてもらわなくても大丈夫なんでー」
「そうか! スタークと言うのだな! よろしく頼むぞ!!」
「……ハイ」
うん、だめだ。 俺こういうタイプ一番苦手なやつだわ。
『さあ、両者準備はいいかぁ!? シールロック選手がどこまでタイガー選手に食いつけるか楽しみだ!!では、本日最終戦!!ぅぅ~~~~開始ぃ!!!!!!!!!!!!!』
実況さんの掛け声と同時に試合開始の合図の鐘が鳴らされた。
「≪剛の構え≫!」
と、 それに合わせるかのようにアレイスターが腰を深く落とし、 左手を前に、 右手を背後にした格好になり、 格闘術Lv.2で使用可能になるスキル≪剛の構え≫を使う。 このスキルは単純な物理攻撃力の底上げと被ダメージを10%ほど抑えるバフを己が構えを解除するまで持続させるものである。
んじゃ、俺はっと……
「≪流麗の構え≫」
体をリラックスさせ、 左足だけを少し背後に下げることで格闘術スキルLv.MAXで使えるようになるスキル≪流麗の構え≫を発動させる。 これは≪剛の構え≫のほぼ正反対のバフを己にかける。 ほぼといったのは、≪剛の構え≫の上位版である≪剛鬼の構え≫というものがあり、 ≪流麗の構え≫とは≪剛鬼の構え≫の正反対に位置するものであるからだ。
≪流麗の構え≫は物理攻撃速度および回避率、 受け流し率を5割ほど釣り上げてくれる。 そして、 今装備しているアレスの腕輪の効果でプラス2割ほど伸び、計7割の底上げをしてくれている。
よし、 準備おーけーだ。 どこからでもかかってきなさい! え? 手加減するんだろって? 痛いのはいやです☆
「おおおおぉぉぉぉぉ!」
アレイスターは真正面から正直に突撃をしてきた。 右手が振り上げられ、そこに電流のようなものを帯びている。 格闘術Lv.4で使えるようになる≪エレクトロニカル・ナックル≫であろう。 俺の顔めがけて繰り出される拳に自分の右手を重ね、通り過ぎるように導く。 そのままアレイスターのつるつるな頭をつかみ、 足を払って勢いそのままに地面へとねじ伏せる。
「ぐふぉ!?」
土煙が舞い、俺は追撃もせずにそそくさと距離を取る。
追撃をしないっていうのが手加減だ! 誰がなんと言おうが手加減なんだよ!!
『い、いったい何が起きたんだああぁ!? 俺にはタイガー選手が猛烈なスピードでシールロック選手に突撃していったらそのまま地面にたたきつけられたようにしか見えなかったぞ!? プリウリちゃん、なにかわからないか!?』
『私も全部見えてなかったのでわからないのですが、 シールロック選手がタイガー選手の突進の勢いを利用して地面へとたたきつけたのでしょうね』
『なるほどぉ! さすがプリウリちゃんだ! それにしても、シールロック選手がもしもそんなことをやってのけたのなら、今大会は波乱の展開が待っているのかもしれないぞぉぉ!』
はい、プリウリちゃん正解。 さすが解説を担当してるだけあるやん。
まあ、軽く運動する程度の感覚でやってるわけなんですがね。
「ごほ、ごほっ! 今のは効いたぞ、スターク! だがな、 次はそう上手くはいくまい!」
「お、 おう」
不敵に笑い、アレイスターは再び突進を仕掛けてきた。
先ほどと同様、右手に≪エレクトロニカル・ナックル≫のエフェクトがほとばしっている。
さっきと一緒やん……。
俺は先ほどやったことをそのまま実行しようと軽く身構え、 手をかざ--そうとして咄嗟に飛びのいた。 それとほぼ同時に右手ではなく、左腕に宿った淡い朱色が地面に打ち付けられた。
え、なにそれ。 スキルの強制連携的な感じのやつ!?
「ふはは!よく避けたな!」
「……今のはいったい……」
「今のはな! 俺が修行の中で身に着けた技で、≪虎落とし≫という技だ! まさか躱されるとは思わなかったがな!」
いや、 うん。
≪虎落とし≫は格闘術Lv.4で≪エレクトロニカル・ナックル≫と一緒に覚える技だけど、 本来スキルは一つのエモートが終わるまではつなげられないものだ。 それを連続、 いやほぼ同時に使うっていうほうに俺の疑問があったわけだが……少し、 試すか。
「そうか、 次はこっちからも行ってみようかね」
「おう! ドンとこぉい!!」
てことで、 ちょっとやってみますかね。
感想などなどお待ちしております。