異世界に来たみたいだ
のんびり書いていきます。
俺こと春日拓人は、海の中から浮上するような感覚で目が覚めた。
周囲を確認し、固まる。
俺は昨日の夜、MMORPGを家の部屋の中でやっていたはずだ。そして、寝落ちをしたはずだ。
そう、俺がなにを言いたいのか。
なぜ、家の中で寝落ちしたはずの俺が.....周りを木で囲まれた、雑草で覆われた小さな広場みたいなとこに立っているんだよ......
「えっちょっ......」
わけがわからなかった。つい、いつものくせで自問自答を展開させる。パニックになると自然とやってしまうのだ。
問、ここはどこなのか?
答、知らね。
問、俺はなぜこんなわけもわからないところにいる?
答、わかんね。
問、自分の外見は確認したのか?
答、!!! 忘れてたわ!
自分の中で問答をし、まだ俺自身の外見を確認していないことに気がついた。
「えーと、たしか昨日は......」
部屋着の状態でゲームをやっていたはずだ。その、はずなのだが......
「おいおい......まじかよ......」
俺の服装は、昨夜操作をしていたキャラクターのものになっていた。
全身に着込んでいるのは、己の中二心に逆らわずに揃えた黒を基調としたカウボーイシリーズである。しかし、これは外見だけのもので、中身は全く違う。
俺がやっていたMMORPGの武具には階級がある。一番下の一般級から順に製作級、法具級、秘宝級、伝説級、神話級の計六階級ある。
今の外見であるカウボーイスタイルの下には神話級の装備が全身を覆っている。武器は外見は変えずにそのままにしてある。武器は【蒼天八式・ベルクリウス】という二対の銃で、現実世界でいう【スタームルガー・ブラックホーク】に似ている。ふと、詳細データが気になり、何も考えずに開いてしまった。
【蒼天八式・ベルクリウス】
機械神ベルクリウスの討伐報酬。
そこから撃ち出される銃弾は、はずれることなく、持ち主が敵と判断した相手に命中する。八式とされてるのは、機械神ベルクリウスがデザインにこだわり、試行錯誤を繰り返した結果である。
DEX:+7287
VIT:+5973
PIE:+3046
オリジナルスキル:百発百中・機械神の加護・敵判別
これを見た俺は再び固まる。
おい、こんな壊れた性能だっけ?てか、オリジナルスキルって何すか??アプデがきて性能強化されたんすか???
自問自答再開。
問、外見は大丈夫だったか?
答、いや、うん、なんかもう、たぶん大丈夫です......
問、己のステータスは確認したのか?
答、はは、確認できるのか......?
アニメとかでよく見る指をスライドさせてメニュー画面を開く方法を半分やけくそになりながら実践する。すると、指を右にスライドしたときに、薄い青色の背景のメニュー画面が出てきた。
ほんとにメニューでたぜ......
どうやら指のタッチで反応するようだ。俺は右上にあるステータスという項目をタッチ。パーティステータス画面にうつり、自身の名前(勿論自分の項目しかないのだが)をタッチして詳細ステータス画面を開いて、今日何度目かの硬直に陥る。
名前:スターク・シールロック
レベル:300
職業:ガンマン
サブ職業:ロード・吟遊詩人・忍者・賢者・召喚士
称号:伝説の銃使い・剣聖・蒼天の歌い手・頭領・魔術の深淵に到達せし者・竜の友・呪われし神々を打ち破りし者・超越者・全てを統べる者
HP:340580
MP:109860
STR:55800
DEX:78920
VIT:66780
INT:51090
MND:51090
PIE:35620
スキル
言語理解
限界突破
解析:Lv.MAX
隠蔽:Lv.MAX
早撃ち:Lv.MAX
銃術:Lv.MAX
圧倒:Lv.MAX
剣術:Lv.MAX
盾術:Lv.MAX
槍術:Lv.MAX
弓術:Lv.MAX
詩歌:Lv.MAX
忍術:Lv.MAX
秘術:Lv.MAX
隠密:Lv.MAX
魔術:Lv.MAX
禁呪:Lv.MAX
火属性:Lv.MAX
水属性:Lv.MAX
雷属性:Lv.MAX
土属性:Lv.MAX
風属性:Lv.MAX
光属性:Lv.MAX
闇属性:Lv.MAX
重力魔法:Lv.MAX
召喚術:Lv.MAX
格闘術:Lv.MAX
威圧:Lv.MAX
状態異常耐性:Lv.MAX
オリジナルスキル
剣聖
銃神
弓聖
賢者
全てを統べし者
竜神の加護
神々を打ち破りし者
全てを穿つ者
しばらく声すら出なかったんだぜ......
なんだよこのステータス......いろいろヤバすぎるだろ......
「まあ、いいや......。とりあえず、地球じゃないってことはわかった」
そう、まず第一に考えないといけないことは〔生きる〕ということだ。
「ここがもし[クラスト・ケイオス・オンライン]の世界だったら、どこかに村とかがあるはずだ」
[クラスト・ケイオス・オンライン]、略して[CKO]、これが俺が遊んでいたMMORPGである。プレイヤーの自由度が高く、日本だけでなく、全世界で大人気のタイトルだ。
しばらく歩くと、剣と剣がぶつかり合う音が聞こえてきた。
え?途中経過?特になんもなかったから省略だよ!
「ん?戦闘でもやってんのか?」
俺は警戒しながら音の発生源に近づき、隠密スキル《木隠れ》を発動させて、木の影に身を隠す。そっと顔を出し、目の前で起きていることを把握する。そこは街道が通っていて、馬車と数匹の馬が停まっていた。
八名ほどの騎士風の屈強そうな男たちが馬車を守るように立ち、包囲している男たちと睨み合っていた。包囲している男たちの足元にはすでに動かない騎士風の男が倒れていた。どうやら先ほどの剣と剣がぶつかり合う音は、あの倒れている騎士風の男のものだったようだ。
「おい、抵抗せずに馬車ん中にいるお姫さんをこっちに渡してくれねえかい」
「くっ!誰がそのような要求に従って姫様を渡すか!」
「自分たちの立場がわかってねぇようだな。」
「なんと言われても姫様は守り通す!」
「ちっ仕方ねぇなぁ。おいお前ら!やっちまえ!」
包囲している男たちはリーダーのような男の声に従い、一斉に騎士風の男たちに襲い掛かった。見たところ、騎士風の男たちは強いようだが、やはり数の力には勝てないようで、徐々に押され始める。
どうしたもんかな......できるだけ目立ちたくはないんだよな......
そんなことを考えていると、騎士風の男たちが一人、また一人と倒れていく。そして遂に最後の一人になり、襲い掛かっていた男たちは面白がるように攻撃をやめ、再び包囲網を形成した。
「はあ......はあ......くっ!」
「そら、騎士さんどうする?もうあんた一人になっちまったぜ?」
「たとえ私が倒れようとも......姫様には指一本触れさせん!」
「死んだら守りようがねえじゃねぇか。ほら、今なら命だけは助けてやるぜ?素直にお姫さんをこっちに渡してくれよ、な?」
「断る!!」
「なら、仕方ねぇな。お前ら、殺れ」
あー!くそ!もう見てらんねえ!
「あー、君たち。リンチはよくないなあ」
気がついたら、俺は木の影から歩み出ていた。
読んでいただき、ありがとうございました(´・ω・`)