表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オカンな君に恋をする!?  作者: 陽向楽
オカンのファン
6/12


その日、貸した辞書を取り返すべく同室者のプライベートルーム入った彼は辞書を見つけるよりも早く、青ざめながら飛び出してきた



「とりあえず風紀に捕まっておくか、学園執行部のお縄を頂戴しろ!」


それは本作品の主人公であるオカンこと、牧原悠斗とその同室者にして親友の出雲凪の部屋で繰り広げられる…、あら?


間違えました…


ポジション的にはやや男前寄り平凡脇役、体質はツッコミ、普通なら日の目を見ることのない一般的なモブキャラである彼に起こった悲劇


それは彼と、彼を青ざめさせた同室者とのとあるお話…のようです




――――――――――




○月×日 晴れ


今日も麗しい女神こと牧原悠斗様は朝から爽やかに下々民たる我々に、その麗しきご尊顔を拝見する機会を与えてくださり、またお声を頂けるという至福を与えてくださった


親友であらせられる出雲様と並ぶ姿は、さながらヴィーナスとキューピットのような華々しくも穏やかな一枚絵のよう


今日の昼食は出雲様のご嘆願により作られたオムそば弁当なるモノらしい

牧原様がその細く柔らかな指が形作り、その果実のような口で味を確かめられたらお弁当!

1度でもあやかれるのならば、どんな大金だろうと、この命すら捧げたい!!


本日の授業は教室で2時間、体育のためグラウンドで1時間、特別教室で1時間を過ごされた後、昼食を教室で召し上がられ、午後も教室で学ばれていた


死活問題である窓側の前から4番目というベストポジションを席替えでもぎ取った甲斐あり、今日も特別教室での授業以外は全て拝見することができた

小細工を仕掛けたのは大変だったが、牧原様を拝見するための試練であれば席替えをイジることも、授業を受けながらオペラグラスでS組の棟を観察することも、そしてテストの点を取るために努力す ることも厭わない!


流石は牧原様!

当てられたら質問には淀みなくお答えになり、出雲様のフォローもお忘れではない!


なんて完璧なお方なのだろう!


今日も牧原様を想うたびに思いの丈を詰めた詩が書ききれないほど迸った!


――――――――――



まず、牧原先輩を敬うのはよくわかるけど、女神ってなんだ、女神って!!


ヴィーナスだのキューピットだの形容するのは男相手、しかも先輩相手にすることなのか!?


美しいとか綺麗っていうならわかるけど、嫌みに感じるぞ、俺には!


部活も入っていないし、早朝に会合のある委員会に属している訳でもないのに毎朝早々出て行くのは牧原先輩と出雲先輩の登校を観察するためか!


オムそば弁当とかどんだけ聞き耳立てて会話を聞いてるんだよ!


お弁当の話なんて大々的にするもんじゃねぇし、俺も話したことがあるから知ってるけどお2人の会話って聞きやすいけど小声なんだぞ!?


は?いつ牧原先輩に話しかけたって?


いや、図書館で新作の本をキープしてもらったとき、たまたま牧原先輩と出雲先輩に話す機会があったんだよ


うっせーよ!顔見知りっつーか、読書仲間って思われてるみたいでちょくちょく声かけてもらってんの!


抜け駆けだぁ?


そもそも牧原先輩に邪な想いもってねぇし、お前となんか約束したりしてねぇだろ!


先輩観察のために不正働いたり、オペラグラス片手に授業受けてる犯罪者もどきに言われる筋合いはねぇよ!


つか、俺、教卓の真ん前なんだぞ!?


あれ、お前が細工したせいだろ!


それになんでオペラグラスだけで先輩が特定出来んだよ!


S組の棟までは見えても、クラスや顔、その上答えている内容までわかるわけねぇだろ!!


は?愛の力?


気色悪いわ、そんなわけあるか!



まさか、先輩のクラスに盗聴器とか仕掛けてんじゃねぇだろうな?



なに?読唇術だ?


だから、そもそも唇の動きが何でわかるんだよ!?


…………あー、もういい


迸ったのはお前の変態具合だボケェ!!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ