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「ゆうちゃん!いつもありがとう!これからも宜しくお願いします!あ、あとお誕生日おめでとう!」
そう言って凪から手渡されたのは様々な色で作られたカーネーションの花束でした
「「は?」」
「あー、よく覚えてましたね?僕は忘れてましたよ…自分の誕生日」
おや?後輩2名は誕生日を知らなかったようですね
同じように目を見開いてカーネーションを見ています
まあ、オカンはあまり自分の話をしませんから、色々聞かないと答えてくれませんしね
しかしカーネーションですか
オカンも何となく苦笑いしていますが…
「もしかして天宮君にお願いしたんですか?」
「うん!蓮ちゃんに教えてもらって作ったんだけど、色とか花について分からないから全部用意してくれたの!なんか、牧原君に渡すならこれ以上の花はないって笑ってたよぉ?」
にぱりと微笑む凪はオカンがもう怒っていないためか、嬉しそうに経緯を話しています
やはり、一緒に生徒会を運営していた生家は華道の旧家、ご本人も将来的に家元になることが確約されている彼の采配でした
流石ですね
オカンもあきれというか、仕方ないなぁみたいな表情で笑っています
「のう、朝霧?カーネーションとは贈り物によく使われておると思うたが、何が悠斗殿をあのような顔にさせておるんじゃろうか?」
「ああ…」
こちらの後輩2人はコソコソと場の雰囲気を壊さぬよう、小声で語り合っていますね
そして周防少年はあまり花について知識を持たないようです
笑っている朝霧少年はオカンの後輩だからか、結構な読書家だからかどうやら理解したようですね
「5月の第2日曜日…カーネーションは多くの人、特に女性に贈られるだろう?ま、この学園では馴染みが薄いだろうけどな」
「5月の第2日曜日……ん?いや、しかし……」
勘の良い方々ならばお分かりでしょうか?
意外と天宮君はお茶目というか、悪戯好きのようです
「カーネーション、それは母の日に贈られる親愛と感謝の花…もとはアメリカで母の日の制定に起因した女性が亡くなり、その娘が母親が好きだった白いカーネーションを墓前に捧げた事が発祥らしい…ちなみに生きている母親に贈られるのは白以外、特に赤が主流で、亡くなった母親に贈られるのが白のカーネーションという見方らしい」
ふと親子のような、しかしいつも通りの風景を見ながら笑う後輩
「赤のカーネーションの代表的な花言葉は母への愛…学園で母として名の通っている悠斗先輩には苦笑ものだけどな」
今日もオカンと息子、そしてその周りはとても賑やかです