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「会話中に失礼する…悠斗殿、凪殿が迷うておったから届けに来させて貰うた。危険な輩はおらんかった故、あまり凪殿を責めないで欲しいんじゃが…」
開いたままだった扉からひょこりと顔を覗かせたのは古風な話し方とは正反対の幼い顔立ちと小さな身長の子でした
「周防?お前が出雲先輩を保護してくれたのか?」
周防と呼ばれた少年…ハッキリ言って見た目は凪と同じく小学生に間違えられそうな彼は後輩と同じ学年で歴とした高校生です
美少年な凪と違い、容姿的には幼い可愛さでどちらかといえば平凡な顔立ちですが
この学園は生徒層の幅が広いですね
「そうじゃよ朝霧…おお、お主の統括する親衛隊の副隊長に凪殿の保護を伝えておいたぞ?おそらく捜索しておった皆に伝わり帰路についておろう」
「ああ、助かる…ありがとう!隊長として、そして出雲先輩の友人としてとても感謝している」
ほわりと笑う後輩は兄貴の名に恥じぬ母性よりも父性に溢れた雰囲気で少年、周防にお礼を言いました
ここがオカンとのちょっとした違いですかね?
「僕からも、ありがとうございます!保護して連れてきていただけなかったら、今頃どうなっていたか…」
先程までの複雑そうな表情から、周防に向かってとても恩に対する感謝に満ちた態度でオカンもお礼を言っています
「いや、なに…凪殿はそういう輩から狙われやすいのは儂にも分かることじゃからのぅ。及ぶ危険から遠ざけるのは当然のことじゃ…それより凪殿、悠斗殿に渡すんじゃろう?」
「あっ!そうだった!仁くんありがとう!」
小さい子同士がきゃっきゃしてるのって和みますよね
オカンと兄貴も目を細めて眺めています
どうやら少年、フルネームは周防仁というようですが、彼は扉から顔だけを覗かせていて後ろで隠しているモノがあったようです
それが凪がオカンに渡すモノのようです