プロローグ
不定期連載です。
お暇つぶしにでもしていただければ幸いです。
宇宙人がいる、いない。
世の科学者やUFO研究家、映画やワイドショーの宇宙人特番にいたるまで……そんな議論が時にはまじめに、時には面白おかしく議論されていたのは、ほんとうについ最近までのこと。
しかし、そんな人類永遠の謎はあっという間に過去のものとなった。
ある日、地球の主要都市に突如として現れた……重力の存在などまるで無視し、空に浮かぶ巨大なUFO群。それは日本にも当然のごとく表れ、人々を驚きと興奮の坩堝へと導いていった。
日本に舞い降りたUFO――宇宙船は二隻。それぞれクラウディアとソラリスと呼称されており、それらは高度なAIにより自立稼動する意思をもった宇宙船……彼ら流に言えば星船であった。
彼ら――。
そう、その星船にはもちろん……人類が遭遇した”初”の異星人、それも人種の違う2種の異星人が乗り込んでいた。
その名前は長く、一人はフォリン=グラン=ツァ=ライエル。そしてもう一人はソラ=エカルラン=サー=スカーレットと語った。また、これも宇宙人の科学技術のたまものなのか二人して流暢な日本語を話し、人々を驚かせた。
グラン公(宇宙人にも身分が存在するようである)は人類にとってまさに宇宙人の代名詞ともいえる姿によく似ており、マスコミもグレイ現るなどとこぞって報道した。まぁグレイよりはもう少し人間味のある容姿をしていたとはいえ、ある意味いかにも宇宙人然とした姿であり、人々は納得しやすかった。
それに対してエカルラン卿(従者にはソラ姫と呼ばれていたが)は驚いたことにその姿は人類の女性、いやもっといえば少女そのものに見え……ある意味グラン公より驚きをもって迎えられた。
いや訂正しよう、正確には人類と異なる部位も存在した。それは従者の女性二人にも言えることであるが……その少女の背中にはまるで天使のごとく……それは美しい白い翼が存在していた。透きとおるかのように美しい翼を持った少女はそれが飾りではないことを見せるかのように従者共々人々の前で飛び立ち、まるでその場だけ別世界のような錯覚を起させる雰囲気を作り出していた。
その少女はそれだけでなく淡い紫色をした長い髪、肌の色は雪のようにまっ白であり、その目は左は碧、右は深い赤色をたたえた俗に言うオッドアイであり、非常に特徴的な容姿をしていた。そしてなによりそんな少女は非常に儚げで可憐な美少女であり、翼を広げ舞い降りた……まさに天使のような少女を見た人々は一様にため息をつき見とれてしまう一幕もあったりしたのだった。
そんな出来事があったのが今より二ヶ月前。
そしてその異星の姫である少女が地球の、しかも日本の学校に留学を希望していると……衝撃の報道がされたのがその一週間後。しかもソラ姫は日本の一家庭にホームステイまで希望しているとのことでありマスコミ各社は姫の通うことになる学校がどこか? ホームステイ先がどこになるのか? など、こそって予想報道をしてしばらくは盛り上がっていた。
そして時はさらに過ぎ、季節は初夏。
とある中学校にその異星の少女が訪れることで物語は再び始まる――――。
読んでいただきありがとうございます。