第7話 土下座は辛いんだが……
これからチビチビと上げていきたいと思います。
スマホで書いてるんだけど以外と書きづらくて次回からはPCで書こうかなぁ
「……何故だ?」
休日に休むことをせずに公園を遊び回る小学生。
疲れをしらないで騒音を撒き散らしながら走る自動車。
夏に向かって輝きを増す太陽。
そして、公園のベンチに向かって正座をさせられてる俺。
うん。シュール過ぎて意味わからん。
「なんでだと思う? く・さ・び」
「はっ、自分が寝坊したからであります。サー」
笑顔の禊に対して俺の生存本能が反応しているのか、背筋に寒気が走る。
あれ? おかしいな? 笑顔って相手を威嚇するのもではなかったはずだと思ったんだけど。
「ところで、楔、今何時かわかる? あと、私は女だから」
「はっ、13時10分であります、マム」
お昼も過ぎて日射しが一番強い時間帯。初夏というにはまだ早くそれほど暑くはないが、ジッと正座しているのには少しキツい陽気だ。
「今日出掛けるって約束した時間は何時だったかな?」
「12時であります、マム」
「なんで、一時間も過ぎてるのかな?」
「気のせいです」
「反省の色無しということでいいの?」
「すいませんすいませんすいませんなんでもしますので手に持ってるカッターをしまってくださいお願いします」
プライド? 母親のお腹のなかに置いてきたわ。
それに自分が悪いことしたら謝るのは人間として当然のことだ。断じてカッターを持つ虚ろな目をした禊が怖かった訳ではない。
土下座をする事約五分間、段々と地面の冷たさが気持ちよくなっているとさっきまで感じていたプレッシャーが消えた。
恐る恐る頭を上げると不機嫌ながらも虚ろな瞳から戻った禊がため息を吐いていた。
「なんというか、本当にゴメン」
「もう怒ってないから謝らないで」
明らかに怒っている声色だったが、そこを指摘するとやぶ蛇になることがわかりきっているのでスルーすることにする。
「とりあえず、ここに居ても仕方ないし、飯でも食べに行くか?」
「そうね」
「勿論、おごりだぞ」
「ふーん」
遅れてきたんだから当たり前だろ、という視線に耐えて昨日の内に調べておいた店に歩き出す。
幸い、不機嫌ながらも付いてきてくれる禊に感謝しながら足を進める。
「あー、なんというか、デートってもんをするのが初めてだから頑張って探してみたけど嫌だったらいってくれ」
情けない話だが、年齢=彼女いない歴の情報量の無さは絶望的だ。
おかげで、ネットから情報を集めて計画を建てるのに夜遅くまでかかってしまった。
「……隣の部屋なんだから何してたのか知ってるのに カメラもあるし」
「ん? 何か言ったか?」
「別に何も」
妙な寒気を感じるが、禊の独り言が多いのはいつものことだし気にしないことにしよう。
たとえ、隣の部屋から俺の名前が定期的に聞こえるのも気のせいだ。気のせいのはずだ。……気のせいだといいな。
「そういえば、今まで聞き忘れてたけど禊って何が好きなんだ?」
「楔」
「うん、ありがとう。だけどそういう話じゃないから、食べ物の話だから」
「だから、楔」
「え?」
「ん?」
「……出来れば俺以外がいいな」
読者の方々に一応言っておく、俺は決して食べ物ではない。食べ物ではない。
大事なことなので二回言いました。
「楔以外? う~ん」
「嫌な予感がするから先に言っとくが、俺の持ち物もダメだからな」
「…………」
なぜか、禊の表情が口元に指を当てた状態で固まった。
そこから数秒後。
「洋菓子とか好きだよ」
「今の間はなんだ!?」
「考えてただけだから気にしないの」
「う・そ・だ」
「楔が連れってくれる所楽しみだなぁ~」
「今の話の逸らし方雑すぎないか!?」
追及すればこっちにも色々被害が来そうだし、この話は止めよう。
へたれた訳ではないので悪しからず。
今までは一人で歩いていた道を二人で歩く。
誰かと歩くことがこんなに安らぐものなのか。
昔、小さな頃、今と同じように歩いたことがある。
母さんは困ったように微笑む癖があり、確かその日も似たように笑っていた。
それが、母さんとの最後の思い出だった。
それから誰かと歩くことが怖くなった。心を許した相手から嫌われること、その人が危険になること、それらすべての原因が俺にあると考えると怖くてなにもできなくなる。
だけど、
「楔、なに笑ってるの?」
「……いや、今日は楽しくなりそうだなって思って」
今日は目一杯楽しもう。