第3話 学校に登校したんだが……
お久しぶりです。
色々と終わったのどんどん投稿したいと思います。
「――はっ、夢か……」
うん、なんか土地神がうちに来てなんか色々あった気がするけどきっと夢だ。
俺の現実あんなにラブコメなはずがない。
「一人暮らしが長いからってあんな夢を見るなんて病んだかな?」
俺のヤンデレってだれ得だよ一体?
まぁ、冗談はさておき、さっさと着替えて学校でも行くかな。
いつも通りズボンを脱いで――
ガチャ
「ガチャ?」
「え?」
突然、俺の部屋の扉が独りでに開き、そこには黒髪の美少女が驚いたような顔で固まっていた。
「……」
「……」
固まること数分。
次第に美少女の顔が朱色に染まっていき。
「きゃ――」
「きゃぁぁあ、エッチ!!」
とりあえず、叫ばれると困るので先に叫んでおく。
「えっ、それ私のセリフ!?」
「何を言うんだ? パンツを見られたのはこっちなんだ。俺が叫んで何が悪い?」
「正論だけどね、正論だけどねぇ!?」
禊は何故か納得してないようで、両腕をバタつかせて抗議をしてくる。
「てか、パンツぐらいで何慌ててんだよ、昨日はもっとすごい事言ってたじゃないか」
「ああゆうのは事前に覚悟を決めてるから大丈夫なの、いきなりだとけっこう恥ずかしいんだからね」
顔を真っ赤にさせてそう言う禊。
不覚にも可愛いと思ったのは内緒にしとこう。
「まぁ、とりあえずあれだ。扉を閉めて早く出ていってもらえると助かる」
「あ、うん。わかった」
パンツ丸出しで美少女と談笑するなんてシュールを通り越してもはやフールだ。
……何も言うな、スベったことは本人が一番よくわかってる。
朝食は何事もなく取り終わり、毎度お馴染みな通学路をを通って学校に到着する。
蛇足かもしれないが、一通り学校のことを紹介しておこう。
俺が通っている神那学園は創立二年目の新設校だ。
どうでもいい話だが、学園長が変わり者でこの学校には一芸入試という物がある。
一芸入試とは受験会場で特技を一つ披露して学園長に認められたら合格という非常識な制度だ。
余談だが、俺は幽霊が見えると言ったら合格した。
「学園の事はさておき、俺には一つどうしても言いたい事がある」
「どうしたのいきなり?」
「いかにも不思議そうに首をかしげるな!!」
なんで私には関係ないからわかりませんみたいな表情してんのこの人!?
「俺が言いたいのはなんでお前がなに食わぬ顔で学校に来ようとしてんだって事だよっ!?」
「あ〜、その事? 今日から転入するあなたの親戚の天原禊という事になってるから大丈夫」
「いつの間に!?」
「昨日の夜、神様の力を使ってチョチョって」
「良いのか神様、それで良いのか!? そしてどや顔がムカつく!!」
「愛の力は神をも凌駕するんだよ」
神様がそう言うと何故か説得力があるな。
てか、愛の力とか恥ずかしくないのかこいつは……。
「はいはい、なんで学校に来てるのはわかったけど、ついさっき聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんだが?」
「聞き捨てならない言葉?」
深呼吸を一つしてから。
「誰が誰の親戚だ!?」
「誰ってそれは楔が私の親戚に決まってるじゃない」
「決まってるのか、決まってるなら仕方ない……ってんな訳あるかぁ!!」
「おお、ナイスノリつっこみ」
「んなことほめられても嬉しく無いわ、ボケェ!!」
「出た、楔のツンデレ」
ツンデレちゃうわ、ボケ!!
「照れなくてもいいのに〜」
「照れてねぇから事実だ――」
「お゛い、鷲竪!!」
俺の声にわざと被せるように頭の悪そうな声浴びせられる。
めんどくさいのに会ったな……。
「無視してんじゃねぇぞ、ゴラ!?」
ヤンキーその一が現れた。
俺のターン、俺は無視して横を通り抜けようとする。
しかし、ヤンキーその一がすぐさま回り込み逃げられない。
「待てや、ゴラァ!?」
こいつは語尾にゴラァって付ける地方の人なのか?
とりあえず、もう一度逃げるを選択する。
「だから待てっつてんだろうが!!」
「きゃっ」
ドコッ
「ぐひぇ!!」
おおー、飛んだ飛んだ。
これなら今度のドラフトで一番指名は確実だな。
ヤンキーその一が派手に吹き飛んでごみ置き場に突き刺さる。
「んじゃ、さっさと学校に行くか」
「あ、うん。そうだね」
ん? なんで顔が赤いんだこいつ?
てか、職員室を回ること考えると時間がやべぇな……、しゃあない走るか。
「禊、時間ヤバい走るぞ」
転校初日から遅刻はまずいだろうしな。
「……うん」
俺は禊の手を握って走り出す。
女の子の手って柔らかいんだと人生で初めて知った瞬間だった。
朝、朝食を作って楔を起こしに行ったら、まさかあんな事になると思わなかった。
く、楔のぱ、パン……あんな姿…………………ふへへへ。
あっと、ヨダレが。
あぶないあぶない、楔にこんな姿見せたら幻滅されちゃうかもしれない。
でも、見られたとしても楔は優しいからきっと大丈夫だと私は思うな。
そう、楔は誰よりも優しい。
そして、誰よりも臆病な人間だった。
少し昔話をしようかな、昔って言っても一年前なんだけどね。
一年前の私は自分で言うのもおかしいと思うけど凄く真面目な土地神だった。
どうすればこの街が幸福になるのか、どうすれば住民が笑顔で暮らせるのか、そんな事真面目に一日中考えていた。
そんなある日、一人の男性がこの街に引っ越してきた。
当時の私は彼見た瞬間、全力でこの街から出ていかせなければならないと感じた。
なんで私がそんな事を考えたのかわからない。
ただ言えるのは、彼がいるだけでこの街に良くない事が起こると確信したからだった。
それから、彼の行動を逐一監視するのが私の日課になった。
……今思うと、ストーカーみたいだったんだね、私。
でも、そのおかげで私は恋をした。
あれほどの悪霊達に見いられながらも、自分を見失わない強さに惹かれた。
あれほどまで人に嫌われながらも、人の温かさを渇望する弱さに惹かれた。
あれほどぼろぼろに心を引き裂かれても、大切なモノを守りたいと想う優しさに惹かれた。
だから私は神として……天原禊として彼と共に生きたいと思った。
例え、それが禁忌だとしても。
次話も読んでいただけると幸いです