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第1話 登校途中で幽霊に襲われたんだが……

二週間に一度くらいのペースになります。

暇つぶしにも読んで頂けると幸いです。


 突然だが、この小説のタイトルを見てどう思う?

 ハーレムじゃねえか、とか言った奴出て来い。

 火星まで殴り飛ばしてやるから。

 あ? なんで不機嫌なんだ、って?

 当たり前だろう、タイトル見てみろ。どう見ても全員人外しゃねえか!?

 もうたくさんだっ!!

 人外に好かれるのもいい加減にしてほしい。

 おい、人外って聞いて喜んだ変態野郎。てめーと一緒にすんな。

 いい加減にしないと、ケツの穴から木刀突き刺してエス結腸ぶち破るぞ。

 …………おっと、話が脱線したな。

 話を戻すと、このタイトルについてだったな。

 このタイトルの話をする前にちょっと俺の話をするか。

 野郎の話なんて聞きたくないと思うが、まぁ聞いてくれ。

 俺の名前は鷲竪楔わしたてくさび。みんなからは楔って呼ばれてる。

 珍しい名前なのはほっといてくれ。ちょっと気にしてるんだ。

 まぁ、そんな俺こと鷲竪楔は不幸体質である。

 今、右手で幻想をぶち壊す某主人公を思い浮かべた奴。だいたい正解だ。

 あのツンツン頭と同じ体質だと思ってくれて構わない。

 だが、奴と俺では決定的に違う所が三つある。

 一つ目、奴は不幸だと言いながら結局は可愛らしい女の子といちゃこらしている。しかし、俺は違う。

 二つ目、奴の不幸体質は世界を救う。しかし、俺は違う。

 最後に三つ目、コレが重要だ。

 奴の不幸は人間に嫌われ、人外に好かれる事ではない。しかし、俺は違う。

 不幸体質であっても二つ目までは普通に耐えられると俺は思う。

 だが、最後の不幸体質は少しキツいモノがある。

 まず、俺には人間の友達が居ない。

 というか、出来た事が無い。

 他の人間からすると一緒に居るとイライラしてくるらしい。

 ん? お前の性格が問題なんじゃないかって?

 確実に違うな。確かに俺の性格は根暗で態度が悪いかもしれない。

 だけど、あって一分もしない人に対して言う台詞か、それ。

 話は戻すが、小さい頃はそれでイジメられていた。

 その頃から頑張って小学校高学年にはイジメてた奴ら全員にヤキいれてやったのは懐かしい思い出だ。

 まぁ、そんなこんなで俺には友達が居ない。

 もっと詳しく言うと、周りは全て俺の敵だった。

 そんな俺が中学三年の時、ある事件が起こる。

 簡単にそれを説明すると、凶器を持った頭の残念な人達百二十人とバトった。

 流石の俺でも腕と足が骨折した。

 ん? 軽傷じゃんだって?

 お前、骨折って結構痛いんだぞ。

 まぁ、とりあえず、そんな事件があったから俺は産まれてからずっと住んでた地元を去る事にした。

 人間関係はこんくらいか。

 次にもっとキツいのが人外関係だ。

 もはや、こっちが本編だ。

 マジ、ヤバい。下手したら俺でも死ぬ。呪い殺される。

 あまりヘビーなのは放送規制が入ってダメだから軽いヤツを話そう。ちなみに実体験だ。

 あれは二月の寒い時期だった。

 その日はなんかアイスが無性に食いたくなって夜中に俺はコンビニへ行った。

 家から五分という事もあり、俺はすぐに目的の物を買って自宅に戻ろうとしていた。

 余談だが、アイスを買った時に俺は店員に舌打ちされた。

 それはさて置き、アイスを買った俺は夜道を歩いているとある事に気付いた。

 それは…………、前にある電信柱の下に何か黒い海藻みたいなモノが居る事だ。

 それに気付いた俺は一歩後ずさる。

 すると、それは足音で俺に気付いたのか不自然な動きで起き上がる。

 起き上がったそれを見ると俺はダッシュで逃げ出した。

 何故ならそれは。

 顔の皮膚がボロボロに剥がれ落ちた眼のない髪がボサボサの女だったからだ。

 俺は必死になって逃げた。

 逃げて逃げて逃げまくった。

 だが、奴らは十三日の金曜日に現れる殺人鬼と同じように逃げ切ったと思った瞬間に目の前から現れるんだ。

 とっさに。

「今日は十三日だけど月曜日だっ!!」

 と叫んでいた。

 その後、朝日が昇るまで幽霊と追いかけっこを繰り広げた。

 どうだ。あの不幸だ不幸だと叫んでるハーレム野郎より俺の方が不幸だろう?

 さて、ここで最初の話に戻るか。

 タイトルについてだ。

 そして、その意味についてだ。

 まぁ、とりあえず、説明がてらこれまでの事を回想してみる事にする。

 あれは新しい街に引っ越して一年が経ったある日──







 四月二十日。


「ひっさしぶりにヤバいな」


 まさか、学校に行くために家を出て追いかけっこをする事になるとは思わなかった。


「きゃはははは、まって。ねぇ……まってよ」

「きゃははははははははははは」


 あー、うるせぇ。

 甲高い声で笑うなよ。メッチャ頭に響いて気持ち悪い。


「きゃはははははははははははははははははははははははははははははははは」

「どこまでいくの、むだなのに」

「きゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」


 とりあえず、あれか。

 相手を見ないことには対処も出来ないか。

 俺は意を決して振り返る。


「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」


 うん。見なきゃ良かった。

 顔の歪んだ子供がおかしな方向に曲がった脚を宙に浮かせて迫ってくる姿なんて。


「マジ、ホラーだ。本当に起こってる怖い話だ」


 さっきよりスピードを上げて俺は後ろから追っかけてくるそれを引き離そうとする。


「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」

「神社まで逃げよう。うん、そうしないと俺の心が折れる」


 俺の今住んでいる天原市には街の中心に大きな天原神社がある。

 引っ越して来たばっかしの頃に一度行っただけだが、あそこは神聖な空気があり、こういった輩から逃げるのに多大な効果あると思われる。


「そうと決まれば、ダッシュあるのみだな」


 三十六計逃げるにしかず。


「はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」

「……マジ、怖いんだけど」


 俺はこの後三十分間全力ダッシュをした。





「と〜ちゃ〜く」


 学校の階段の八倍はありそうな石段を二段飛ばしで駆け上がり、俺はあれがついて来ていないか振り返る。


「ねぇ、もうにげないの?」

「きゃははははははははははは」

「じゃあ、おにいちゃんもこっちにきなよ」

「きゃははははははははははは」

「きゃははははははははははは」


 俺の顔が引きつる。

 仕方ないだろう。安全地帯と思った場所が全然安全じゃなかったら。


「……やべぇ、死んだかも」


 人間は殴れても幽霊は殴れない。

 理由は簡単。殴る方法が無いからだ。

 てか、殴る方法があれば負ける気はしねぇな。


「こんな時に強がってどうするんだ、俺」


 とりあえず、また逃げるか……。

 って、あれ? 体が動かない。

 というか、声も出てないし。


「つかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえたつかまえた」


 あー、オワタ。金縛りとかセコいだろ、流石に。

 うわ、近付いて来やがった。

 ちょ、まっ。近くで見るとマジ怖い。

 目玉が無くなって空洞になってるとことかマジ怖い。

 やっ、ちょっと。腕さわんなよ。おい、止めろ。うちの店ではそういうサービスはしてねぇんだよ。

 てか、なんかヌルッとした!! マジきしょくわるい。


「いただきます」


 それの口がエイリアンみたいに裂ける。

 食われるぅ!? 文字通り食われるっ!!


「そこまでにしなさい」

「はっ!!」


 綺麗な声で我に返った俺は慌ててそれと距離をとる。

 ん? 身体が動く?


「おねえさん………………だれ?」


 食事を逃したからか、それは不機嫌な声をあげる。


「ここに来てもそれだけの力があるという事は相当強い悪霊のようね」

「おい、あんた。気をつけた方がいいぞ。あれかなり強い」


 俺は悠長に話している女性に声をかける。


「やっぱり、優しいのね。大丈夫。私はこの街の土地神だから」


 これが求婚してきた五人の人外のうちの一人、天原市の土地神、天原禊あまはらみそぎとの出逢いだった。







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