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塔の女神の伝承 (断片)
※第三章は中盤以降予告なしに残酷表現が出てくる場合があります。苦手な方はご注意ください。
病は人の心を荒ませ、追い詰めていく。少年は、暴徒と化した町の人々の目をかいくぐり、古くから神が眠るといわれる塔に辿り着いた。
体に合わぬ剣を握り、襲い来る魔物を薙ぎ倒し、永遠に続くかのような階段をひたすら駆け上がる。
ただ、ただ、大切な人のために。
困難を乗り越え、満身創痍でありながらも、とうとう頂上へ辿り着くことができた少年。
その彼の真摯な祈りが通じたのか、やがてその場に女神が現れ、祝福の微笑みとともに柔らかくささやいた。
〈あなたの望みを言いなさい。私が叶えてあげましょう――――――〉