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ゼルネアス・バルロヴ・ヴォロディア・シーヴァー
………終わりになるはずだった。
自分の甘さを呪い、巻き込んだ同志を想い、ただでやられはしない。せめて一人でも多く道連れに、と。
引き吊れるように体が痛み、熱い。苦痛と、それを凌駕する絶望に身を灼かれ……永久の白と、黒き深淵に包まれる。
ふと気がつけば、自分の両手を見ていた。あの時、あの場所で、亡くしたはずの身体。悲鳴と怒号と、炎とで崩れ落ちるはずだった城。命を絶たれたはずの仲間たち。
ただ、ひたすらに、上だけを見据えて、がむしゃらに生きてきた。これまでも、そしてこれからも――――――?
城があれば、その主として、守らねばならない。……終わったはずだった。あの時、あの場所で。
仲間と城を守るため、留まることはできず、許されず。歩みを止めるわけにはいかない。ひたすら前を見据え、ひたすらに、ただ、ひたすらに、先を目指して進み続ける。
長く、長い、降りしきる雪の中のような、先の見えない道を。前へ前へと。
その歩 み の 後 ろ に あ る も の は、