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異郷より。  作者: TKミハル
楽園の夢
224/369

白炎華

 戦闘シーン有。今回少し短めです。

 アイリッツとアルフレッドがやり合っている中、バタンと突然扉が開いた。


 四人の少女が横並びになり、胸を張りこちらを睥睨する。なんか一人だけ頬を染めて遠くを見つめているのがいるけれども。


 そして、真ん中の金髪の少女が胸を張った。

「よくぞここまで辿りついた!しかし、ここから先は通すわけにはいかない。ここは、リーダーであるあたしミリウムと、その他――――」

 皆まで言わさず、

「疾風刃アリサ」

「神官サーラ」

「……ベルーナ」

とここで決めポーズを取り、

「「「私たち、カルテヴァーロがお相手するわ「わ」!!」」」

そう宣言した。




 …………ちょっと、どう反応していいのか困る。


 思わず固まっていると、四人は後ろを向きひそひそと、

「思いッきりスベってるッぜったい!」

「おかしいわね。いえ、私たちは間違っていないはずよ!ここで相手が、『おまえたちを必ず倒す!』とか、『ふふふ、そちらこそ地獄を味わえ!』とか言うはず。それを待って……」

黒髪のサーラがこちらを期待するように見たが、もちろん言う気など――――。


「ふ、おまえたちに勝てると思うのか!オレたちの力を見せてやる!」

アイリッツが啖呵を切った。付き合いのいい奴だな、と眺めていると、こちらを向き、

「いや、どのみち戦うことになるんだし、さっさと進めとこうぜ」

意外と冷静に返してきた。


「…………くぅっなんだか馬鹿にされてるんじゃないか?」

「どうでもいいけど、ここでこうしていてもさー?もう始めようよー」

「……そうね。敵さんも待たせているし」

「あの決めポーズの意味は!?わざわざ相談の時間まで取ってなんであんなこと決めたんだよ!というかあたしなんで賛成したんだろ……」

くるりと四人はまた振り返ると、

「あのですね、私たちを倒さない限り、王都へ通じる道が開けないので」

「よし、絶対勝つよー!」

「おー」

ミリアムの言葉に気のない様子でベルーナが言って、

「えっと、じゃ、じゃあ、戦いますか」

サーラの開始宣言(?)とともに、ベルーナがバレッタを外しふわっと髪を払うと、その色は黒から薄い桃色へと変わる。小さく開いた口からは旋律が紡がれ、そして、戦闘が始まった。


「たぁああッ」

 ミリアムがこちらに跳躍しつつ蹴りを繰り出し、アリサが腰の奇妙に湾曲した剣シャムシールを抜き、斬りかかる。応戦しようと剣を抜くと、視界いっぱいに白い燃える華が咲いた。


「避けろ!」

 アイリッツが声を張る。激しい爆音とともに、白く蒼い炎が八方へ襲う。躱しきれず、

「痛ッ」

シャロンは腕の一部に燃え凍てつくような痛みを感じていた。そこへミリアムの拳の連撃が襲う。

「くそッ」

 ナックルの攻撃をあるいは剣で受け、あるいは避けつつじりじりと下がると、アリサと椅子に足を駆けつつ斬り結ぶアルの姿がちらりと見えた。その向こうには、閃光を飛び散らせているリッツと、サーラがが閃光を飛び散らせぶつかっている。

 オペラハウスは何かの力で守られているのか、椅子もタペストリーも焼け痕ひとつついてはいない。


「これはどうかな?《戦刃乱舞》!!」

 ベルーナの声とともに、大理石でできた劇場の壁から巨大な刃が突き出し、アルとリッツを襲いつつ、こちらへと向かってくる。

「くッ!」

 風で一旦ミリアムを跳ね飛ばし、急ぎ距離を取って刃を避けつつ二人と合流する。


「ちょっと派手かしら」

 のほほんとサーラが感想を述べ、他の三人が集まってふふんとこちらを見る。ベルーナが髪を青く変え、再び旋律を紡ぎだした。


「埒があかない。…………しょうがない、ブービー君1号2号3号……以下略、行け!」

 アイリッツが懐から人型クッキーのようなもの、を取り出し、放り投げる。


 途端にそれはむくむくと大きくなり、私たちと変わらない姿へと変化する。その数十二体。


 バリバリバリッ、と同時に天井から床へ十数本の雷の柱が落ちた。


 轟音をまったく気にせずアリサとミリアムは、即座に手近な人形へと向かう。


 そして、再び劇場に大きな白い炎が花開いた。シャロンは風を使い、一度高く跳躍して直線で向かってくる炎を散らし、避けていく。


 辺りに焼き菓子のようないい香りが漂ってきた。


「むう……なかなか本物に当たらない」

 ベルーナがそう呟いて、ふっと息をつき、また力を籠めて一面に白い光と爆音を撒き散らす。


 アイリッツがわからないようにくいっと手で合図してきたので、頑張っている偽物に任せて、二階豪華観客席の目立たない位置に一度集合した。


「ひとまず、休憩しよう」

 どこからともなく、ポットを取り出しにティーカップに注ぐアイリッツ。渡してきたので、喉が渇いていることに気づいたシャロンはあっというまに飲み干した。すると、じくじくと痛んでいた凍傷が跡形もなく消え、疲れが和らいでいるのがわかった。遅れてアルフレッドもやってきて、無言で催促する。


 一息吐くと、再び爆音と閃光が支配する下を見やった。

「シャロンが空間把握をしっかりできるようになれば、多分いける。……うまく風を使えよ」

アイリッツが励まして、数の減った身代わりを確認しさっと下へ降りていく。


 アル、と声をかけてシャロンはパシンと片手を鳴らし、また戦闘へと舞い戻ることにした。


 偽物に紛れて、風を撃つ。居場所を悟らせないように。


 意識を切り替えれば、白い華はこちらの目眩めくらましになった。次第にあちらの傷が増え、動きが鈍り始める。


 猛攻による焦りからか、体勢を崩したミリアムをすかさずアルフレッドが狙い、力を込めた一撃を振る。それは避けきれなかったミリアムの脇腹を斬り裂き、壁に筋を走らせた。


「大変!!」

 サーラが慌てて叫び、瞬時にミリアムの元へ移動すると、金と銀の錫杖を構え、

「“女神よ、慈悲を!”」

と唱えてその傷をすべて回復した。

〈補足・魔法道具〉

・身代わり《ブードゥ―》クッキー……エドウィンが魔法道具創作中に、ちょっとティーブレイクしたいな、などと考えつつ作成した代物。18枚入り。

・ポットとティーカップセット……エドウィンがティーブレイクしたいと考えた挙句の創作物その2。ポットからは無限に香り高い紅茶が湧き出てくるが、必ずセットになっているカップで受けないと消えてしまう。

 これらは陶器としての強度しか持ち合わせておらす、どちらか一つが欠けても使えないため、戦闘中使うにはおそろしく向いてない。

効能は精神安定、および若干の体力、状態回復。

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